グリーン・ノウの川 L.M.ボストン

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L.M. ボストン夫人の「グリーン・ノウ物語」3作目を読了しました。  うんうん、少しずつ読書の調子(波?)が戻ってきたぞ!!  お正月早々の停滞気分はやっぱりお屠蘇のせいだったのかなぁ?(笑)  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

グリーン・ノウの川
著:L.M.ボストン 絵:P.ボストン 訳:亀井俊介  評論社

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夏のあいだ、グリーン・ノウのやしきを借りたのは、ビギン博士とミス・シビラというふたりの女の人でした。  ふたりは、やしきに三人の子どもたちをしょうたいします。  心おどる川の冒険が、三人をまっていました!  (単行本扉より転載)

そうそう!  すっかり忘れていたけれどこの第3作ではトーリーも、オールド・ノウ夫人も、そしてなぜか庭師のボギスも出てこなかったんですよね~。  設定としてはオールド・ノウ夫人が長~い旅行に出ていてその間、ビギン博士(これまたおばあちゃん)とミス・シビラという2人の女性がこの屋敷を借りて、2人だけで過ごすには広すぎるこのお屋敷に、難民少年のオスカーとピン、そしてビギン博士の姪のアイダの三人の子どもたちを招待する・・・・というものなんだけど、子供時代の初読の時以来の KiKi の疑問。  それはオールド・ノウ夫人とトーリーが出てこないのは良いとして、どうしてボギスまで出てこないんだろう??というもの。  普通、庭師っていうのは生物を相手にしているだけに、屋敷の主人がいないからって「一緒にお休み~♪  鬼のいぬ間に何とやら~」とはいかないだろうと思うんですけどねぇ・・・・(苦笑)  ま、それはさておき、第1巻が晩秋からクリスマス、第2巻が春、そしてこの第3巻は夏のグリーン・ノウの物語です。

で、色々疑問は尽きないものの、夏のグリーン・ノウがこれまた素敵なのですよ!!  イギリス人が川遊びに特別な想いを抱いているっていうのはこちらのエントリーでご紹介した「たのしい川べ」でもそんな指向が描かれていて有名な話だけど、この物語で出てくる3人の子供たちほど、イギリス人の川の楽しみ方を素敵に教えてくれる人たちはそうそう多くはないような気がします。  3人が真夜中にお屋敷をこっそり抜け出して、月明かりの川を漕ぎ下って行って、さまざまな幻想的な世界にめぐり合う様子の描写なんて本当に素敵で、ため息が出ちゃうぐらい!!

  

それにしてもこの物語。  常に寄る辺ない人が登場するんですよね~。  トーリーにもそんな孤独感・浮遊感・疎外感があったし、オールド・ノウ夫人にもボギスにもあったし、スーザンやジェイコブにもそれはありました。  そして今回登場した2人の難民の子供にも、彼らが出会うはぐれ白鳥の子供にも、たった1人で沼地に住む世捨て人にも、風車小屋に隠れている巨人のテラックにも・・・・・。  でも、そんな彼らの孤独感・疎外感もその正体は、ビギン博士がず~っと追い求めていた巨人を目の前にしてもその存在を信じようとしなかったその姿に対して、子供たちが語った言葉

がっかりしたわ。  おとなにはなんにもしてあげられないのよ。  おとなってどうしようもないものなのよ。

ぼくにはわからないな。  それが世界中で一番欲しいもので、しかもそれが目の前にあるっていうのに、なぜ見ようとしないのかしら。

おとなってものは、しょっちゅうそうなんだ。  いまあるものはきらいなんだ。  ほんとうに興味深いものがあるとしたら、それは昔のものでなくちゃならないんだよ。

によるものなのかもしれません。  このセリフを読むとね、KiKi はどうしても感じてしまうのですよ。  悪意のない「ある種の無関心」こそが「寄る辺ないと感じている人」の生みの親なのかもしれない・・・・と。  「相手をあるがままに受け入れる」ことがなかなか上手にできない人間というしょうもない生き物に対する苦言だなぁ・・・・と。  と、同時に、今ある自分とは違う存在になりたがり「自分探し」とやらに夢中になっている現代の私たちに対する痛烈な皮肉だなぁ・・・・と。  今ある自分を認めようとしない姿と自分以外の人に対する「悪意のない無関心」は実は根っこのところでは同じものなのかもしれないなぁ・・・・・と。    

そしてね、人よりも多くの痛み・悲しみを抱えて生きている「寄る辺ないと感じている彼ら」だからこそ気がつくもの、見えるものがあるようだ・・・・・と。  私たちは多くの「モノ」を持ち、「見る力」も持っているはずなのに、世界の美しさを目に止めることを忘れ、その美しさを素直に受け入れ感動し畏う気持ちさえも見失ってしまっているのかもしれません。  そしてそういうことに気が付くためには「悲しみ」が絶対に必要なものなのだとしたら、何だかちょっとやり切れないなぁと思っちゃうんですよね~。

でもね、せめてもの救いがこの物語にはあると思うんです。  それは2人の難民の子供と徒党を組んで一緒に遊ぶアイダの姿。  そんな彼らをオールド・ノウのお屋敷に招待したビギン博士の思いつき。  子供たちにせっせと食べ物を作り喜んで食べている姿に大満足のミス・シビラの自己満足。  子供たちと一緒にボートではしゃぐビギン博士の姿。  隠れ住むことをやめてサーカスの道化になって子供たちにウィンクを送るテラック・・・・。  ところどころちぐはぐな感じがすることは否めないんだけど、そこには「自然な、わざとらしくない善意」があって、その善意があるが故に、どこかでつながっていると感じさせてくれる何かがある。  そんな彼らの姿はこの物語の中の美しさの1つだと思うんですよね~。

KiKi も含めて多くの人が、ありのままの自分を丸ごと受け入れてほしい・・・・と願いがちだけど、丸ごと受け入れるな~んていうのはある種の幻想なのかもしれません。  仮にちぐはぐなところがあったとしても、それでも相手に対して「無関心」にはならず、「あるがままを受け入れる」まではいかなくても「あるがままを見つめて」くれたりあげたりさえすれば、この世の中は多くの人にとってもっと生きやすいものになるのかもしれません。 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年1月 7日 20:42に書いたブログ記事です。

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