グリーン・ノウの魔女 L.M.ボストン

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新年から始めた「新年おめでとう企画、グリーン・ノウ物語を再読してみる」もとうとう全6冊のうち5冊目です。  現代社会とは時間の流れ方が全然違うこの物語の世界観を、今、再読してみたらどんなことを感じるのか、正直多少の不安を抱えながらの読書だったのですが、Lothlórien_山小舎暮らしによってリハビリができていたせい(?)か、想像していた以上にスンナリと馴染み、読書もそこそこのペースで進んでいることが、ちょっぴり嬉しかったり驚きだったりする今日この頃です(笑)  ま、いずれにしろ、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

グリーン・ノウの魔女
著:L.M.ボストン 絵:P.ボストン 訳:亀井俊介  評論社

51y3evi9uwL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

グリーン・ノウをうばいとろうとするおそろしい魔女メラニー。  ふたりの少年とひいおばあさんは、大切なやしきを守るため、勇気と知恵で立ちむかいます。  (単行本扉より転載)

KiKi はこのブログでも「魔女研究」というカテゴリーを置いているように、実は「魔女」っていう言葉にはかなり弱いんですよ。  何て言うか、ものすご~く「キャッチー」な言葉で、この言葉には反応せずにはいられなくて、ある種の憧れのようなものを抱いている・・・・・そんな存在(造形物)が魔女なんです。  でもね、KiKi のイメージする本物の魔女っていうのはこの物語のオールド・ノウ夫人みたいな人なんですよね~。  少なくとも白雪姫やらシンデレラに出てくる悪意剥き出しの魔女は魔女じゃない。  KiKi にとってはそういう悪意剥き出しのキャラクターっていうのは魔女の風上にも置けないヤツ(笑)で、「魔女」というよりは「人間」だと思っているようなところがあるんですよね。  そして、そういう KiKi のカテゴライゼーションにピッタリくるのが、この「グリーン・ノウの魔女」の魔女・メラニーなんです。

メラニーは、グリーン・ノウ屋敷に残っていると彼女が信じている古い魔法の本(なんでそうなるかっていうと、遠い昔、グリーン・ノウ屋敷には魔法使いが住んだことがある!から)を捜している哲学者として、オールドノウ夫人と子供達(トーリーとピン)の前に現れます。  この人、冒頭では普通のヒトなんですよ。  小柄でちょっと特徴のある歩き方をする、普通のヒト。  ただ、彼女がグリーン・ノウ屋敷に訪ねてきてからの一挙手一投足、発言の一つ一つがいちいち癇に障るタイプ。  この世の中に、ここまでいやらしい人間はちょっといないような(それでいて、このミニチュア版だったら案外いそうな)、神経を逆撫でする天賦の才に恵まれているような、要するにお友達にはしたくない感じのヒトなんです。  

で、当初は普通のヒトとして現れたメラニーなんだけど、オールド・ノウ夫人が、彼女の思い描くような反応を示してくれない(どちらかというとヤンワリと拒絶する)ことにより、本性をさらけ出して、さまざまな攻撃を次から次に仕掛けてくるんです。  この魔女、箒にも乗っていないし、呪文を唱えたりもしないんだけど(もっとも裏では唱えていたのかもしれない・・・・ ^^;)、言ってみれば人の気力を萎えさせるようなことをするんです。  オールド・ノウ夫人、トーリー、ピンが怯えたり怯んだりする描写によって、この女性の存在感が浮き彫りにされ、何だか少しずつ大きくなってくるように感じられ、その圧迫感から読み手に緊張感を与えるというあたり、さすがです。

 

ここまでの4巻の物語の展開と比べると、いきなり劇的すぎるほど劇的なお話になっているのもビックリ。  ボストン夫人の物語らしく、相変わらず1つ1つのエピソードは地味・・・・というか、ハリウッド映画的ではないんだけど、それでもよ~く練り上げられたお話ばかり。  

錬金術、コウモリの本、魔法玉、ペルシャ鏡、モーゼの十の力、山羊の角と、民間伝承や迷信などがうま~く小道具として扱われ、「邪悪なもの」「聖なるもの」を感覚的に感じさせるのが、KiKi には何ともいえないツボ!!  読んでいて、ウキウキしてきてしまいます。

どんどんエスカレートしていくメラニーの攻撃に立ち向かうオールド・ノウ夫人、トーリー、ピンの姿がまた素敵なんですよ。  オールド・ノウ夫人は、やっぱりオールド・ノウ夫人でどんな災難に見舞われても、オロオロしたり日々の習慣を変えたりすることなく、普段通りに庭の手入れをし、キルトのほころびをつくろい、村に買い物に出かけます。  トーリーとピンがハイキングで見つけてきたドルイドの「力の石(らしきもの)」を身に着けているとは言え、その揺るぎない姿には思わず微笑んでしまうのと同時に安心感を感じます。  トーリーとピンは想像していた以上に大人びて、何だか頼もしさを感じます。

この物語を読んでいると「進歩」が絶対的に良いものと考え、変わり続けることを追い求めている現代社会の中で「ふと足を止めることの必要性を考える時間も必要よ」と諭されている・・・・そんな気がしました。  と言うのも、結局彼らにメラニーと戦う力を与えていたものは「ず~っと変わらずにそこにある根っこのある暮らし方」そのものだったような気がしてくるんですよね~。  そして、メラニーは戦力外として目もくれなかった2人の少年が実はグリーン・ノウの最強戦力で、そんな彼らを突き動かしていたのは、グリーン・ノウ屋敷を、オールド・ノウ夫人を、この家に住まうすべての人々(生死を問わず)を守ろうとする意志の力だったというのが素敵だなぁと思うのです。

ところで・・・・初読の子供時代には考えたこともなかったんだけど、大人になった今、この物語を読み返してみて、この物語で描かれている「ご近所さんの脅威」とか、「強引に屋敷を手に入れようと現れる人間」なんていうのは、作者のボストン夫人がマナーハウスに住まわれている間に実際に経験された辛い事件があった影響かも・・・・と感じました。  この「グリーン・ノウ物語」が評判になればなるほど、そのグリーン・ノウ屋敷のモデルでもある彼女の「マナー・ハウス」はある種の「不動産的価値」を上げていったことが想定できるような気がするんですよね~。(← こういう物語を読みながら、こんなこを考える時点で、KiKi はやっぱり都市化された現代人だなぁと感じずにはいられない・・・・ ^^;)

 

さて、残すところ「グリーン・ノウ物語」はあと1冊。  終わってしまうのは何だかちょっと寂しいので、ここいらでちょっぴり寄り道をして著者:L.M.ボストンさんの自伝「メモリー」にちょっと浮気をしてみたいと思います。  

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年1月12日 21:21に書いたブログ記事です。

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