お姫さまとゴブリンの物語 & カーディとお姫さまの物語 G.マクドナルド

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先日、このエントリーでもお話したように久々に「赤毛のアン」を読み返してみて、苦手意識はさほど薄れはしなかったものの、せっかくの機会なのでこの際このシリーズを読破してみようと考えた KiKi でした。  そこで例の吾妻郡図書館で同じシリーズ(講談社の完訳クラシックシリーズ)の「アン本」を何冊か借りてきました。  で、一応は第2巻の「アンの青春」を半分ぐらいは読み進めてみたのです。  でも、敢え無く Give Up!  第1巻の「赤毛のアン」を読み通すことができたのは偏にマリラ & マシューへの共感があったことを再認識した次第です。  やっぱり主人公に魅力を感じられない本っていうのはダメみたいですねぇ、KiKi の場合・・・・・ ^^;  ま、てなわけで、せっかくの読書タイムが我慢比べになっちゃうな~んていうのは避けたかったので、「やっぱり赤毛のアンと KiKi の相性はあんまりよくないみたい」と結論付け、スッパリと読了は諦めることとしました(笑) 

じゃ、次に何を読もうか??  と考えた際、ふと頭をよぎったのはこの本のこと。  「岩波少年文庫の絶版本」ばかりを続けて読んでいた時期に出会い、大きな感銘を受け、この作者の作品をもっと読んでみたい・・・・と思いつつも放置してあることを思い出しちゃったんですよね~。  そこでこの機会に G. マクドナルドの世界に浸ってみようかなぁ・・・・・と。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

お姫さまとゴブリンの物語
著:G.マクドナルド 訳:脇明子 画:A.ヒューズ  岩波少年文庫

2011_Feb22_002.JPG  (Amazon)

山奥の館にかわいらしいお姫さまが住んでいました。  地の底に暮らす恐ろしいゴブリン小人たちが、お姫さまを誘拐しようとたくらんだことから、人間対ゴブリンのすさまじい戦いが始まります。  (Amazon より転載)

カーディとお姫さまの物語
著:G.マクドナルド 訳:脇明子 画:竹宮恵子  岩波少年文庫

1141090.gif (Amazon)

少年カーディが、地下のゴブリンの国からお姫さまを救いだしてから1年。  ふたたび王国が危機にさらされました。  カーディは、権力と富をねらって策略をめぐらす悪者たちと勇敢に戦います。  「お姫さまとゴブリンの物語」の続編。  (文庫本裏表紙より転載)

あの「金の鍵」に感銘を受けつつも、どうしてもこの本に手が伸びなかった理由。  それは、この「カーディとお姫さまの物語」の表紙の絵にありました。  どこかで見たことがある画風。  決して嫌いではないものの、明らかに「漫画」のソレに何となく抵抗を覚えちゃったんですよね~。  今回 KiKi が読んだ「お姫さまとゴブリンの物語」は少年文庫特装版の方(↑)なんだけど、今、巷で売られているものは「カーディ~」と同じコレ(↓)だし・・・・・。

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でも、この挿絵。  あの竹宮恵子さんの挿絵だったんですねぇ・・・・。  KiKi が中学生ぐらいの頃一世を風靡し、KiKi も夢中になったあの漫画家さんにこんなところで再会できるとは思ってもいませんでした。  で、人間っていうのはゲンキンなもので、誰の作品なのかわからなかった頃には「敬遠」のネタだったこの絵が、あの懐かしい時代の思い出深い漫画家さんのものだとわかった瞬間に親しみを覚えてしまうのですから・・・・・・ ^^;

  

ま、それはそれとして読後感のお話をしなくちゃいけませんね。  正直なところ、「金の鍵」で受けた衝撃ほどのインパクトはありませんでした ^^;  でも、これはこれでかなり好きな部類の物語でした。  やっぱりこういう情景がふわ~っと浮かび上がってくるような、それでいてちょっぴり霞んでいるような想像力を総動員して世界観を味わうような物語が KiKi は好きなんですよね~。  ま、ちょっぴり説教くさいところがあるのが玉にキズですけど、この時代(& この時代よりちょっと前の時代)の物語はそんなものという先入観があるため、それが胡散臭いというほどではないと感じている自分にちょっと苦笑・・・・。  でもね、説教くさいと言えどもそこにピリッと効いてくるものがあったりもするんですよ。

「人は自分に信じられることを信じるしかできないものよ。  そしてね、たくさん信じることのできる人は、少ししか信じられない人に寛大でなくちゃいけないわ。」

これは「お姫さまとゴブリンの物語」に出てくる不思議な存在である「大きな大きなおばあさま」のセリフなんだけど、この場面設定である「幻想的なもの」を信じるか否かというのみならず、実生活でも感じることの多い「人間の性向」を表している言葉だと思うんですよね~。  たとえばお仕事をしている中でも、「こうだ!」という思い込みの強い人ほど、その思い込みに沿わない事実を突きつけられても信じようとしなかったり・・・・・。 

「お姫さまとゴブリンの物語」の軸をなしているのは、「正しい心のありようとはどんなもの?」という問いかけのような気がします。  大きな大きなおばあさまの存在がそれを象徴しているように KiKi には感じられました。  若く美しい外見を持ちながらも老成しきった雰囲気を纏い、「信じて貰えなければ存在を確認することも難しくなってしまう不確かさ」を秘めた存在。  相手を信じることや理解し思いやることは、言うは易し行うは難しの筆頭みたいな人としてのありよう、心の持ちようだと思うんですよね。  疑われることは悲しいし、辛いし、苦しい・・・・・。  でも、人は自分が信じようとしていないときにはそこに想いを馳せることはありません。  

そして、小さなお姫さまが具現化している姿。  両親にはほとんど会えないという境遇にありながらも、その寂しさに打ちひしがれることなく、小さいながらもルーティ(侍女)の意見には惑わされず、自分が本当に正しいと思うことを貫こうとする姿勢(まるでその行動原理が「姫であるから」ということだと強調せんばかりの描写多し!)に感銘を受けました。  そしてこのお姫さま、凄いなぁと思うのは年齢の割に胆がすわっているんですよね~。  そしてそれが不自然じゃない。

「出来るように頑張るわ」

「もしかして怖いと思うかも知れないけど、すぐにその気持ちを消すようにするわ」

無鉄砲でもなければ、ありもしない勇気を誇示するわけでもない。  でも、いざと言うときには「できる限りのことをし」「怖いと思ってもその気持ちを乗り切れるようにする」というのはこれまた言うは易し行うは難しだと思うんだけど、それがこのお姫さまの口から出ると何だかほっとしつつも誰でもできそうなことに感じられる・・・・・。  そんな素敵な人物造形だと感じました。

さて、いろいろ事件があっても結果、ハッピーエンド(? ゴブリンたちにとっては必ずしもハッピーではなかったけれど・・・・ ^^;)を迎えた「お姫さまとゴブリンの物語」の続編「カーディとお姫さまの物語」ですが、こちらのお姫さまはこの幼いお姫さまではなく、「大きな大きなおばあさま」であり、物語の主人公も小さなお姫さまから前作でもでてきたカーディに移ります。

全体的に暗いトーンが漂う、おとぎ話・ファンタジーというよりは、人間の心の中に潜むできれば目をそむけていたいような醜さ(怠慢・傲慢・利己主義・裏切り・謀略)をこれでもかっていうほどデフォルメした物語になっています。  前作のゴブリンもなかなかイヤな奴らだったけれど、今作の人間ほどは酷くなかった・・・・そんな気がしちゃうぐらい・・・・(苦笑)  そんな中で「お姫さま」であり「女中」であり、「大きな大きなおばあさま」でもある「善意」がとりあえずの勝利をおさめ、ハッピーエンド・・・・となるのかと思いきや、最後の最後でまたまた影をさして終わるというこの物語。  これはマクドナルドの抱えていた不安の表れなんでしょうか??  でもね、この最終章、何だかそのまま現代につながっているようなそんな気がしちゃうんですよね~。

カーディはこれ(荒れ果てて廃墟と化したお城の城壁や砦の施設)を見て惜しいと思い、これらにまつわる昔の物語のためだけにでも、こんなにほったらかしておくべきではないのにと考えました。  しかし、都ではあらゆる人が、こうした崩壊のしるしをこの地が富み栄えている何よりの証拠だと見なしていました。  商業と個人の利益の追求こそが暴力を克服し、過去のあらゆる問題は開いた門から流れ込む富の下に没し去ったというわけでした。

現に、ある哲学者たちの一派などは、都の過去の歴史が役に立つのは、それがいかに未熟なものであったかを知ることによって、現在の住民たちが自分たちおよびその時代の優秀性を確認し、その栄光の座から祖先を見下ろすことが可能になるからであって、そのことがなければ歴史などはきれいさっぱり忘れた方がよいと教えていました。

何だかこの描写に、マクドナルドの皮肉が、そして、立ち止まってもう一度じっくりと考え直すことをしなければとんでもないことになるという警告が含まれているように感じました。  

それにしても・・・・・・

この「カーディとお姫さまの物語」に登場するリーナをはじめとする異形の獣たち(≒ カーディ & 王様の援軍たち)は、本当のところ何者でどこへ行っちゃったんでしょうか???  

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kikiさん、お久しぶりです。
やっと一段落をして、ブログをひさ~しぶりに開けたところです。
せっかくのコメントをいただきながら、返事が遅くなってごめんなさい!


kikiさんはマクドナルドなんですね、今。
この本、ずいぶん前にLibriVoxで聴きました。
とても素敵な朗読の方で、面白かったです。

それにkikiさんに私も賛成で、どこか暗いというか、
深い闇があるような、不思議な雰囲気がただよっていますよね。
マクドナルドのほかの作品は全く読んでいないので、
今度きいてみようと思います。

そうそう、先週娘の試合があって、Cambridgeのさらに北に日帰りで行ってきました。
Cambridgeをすぎて、ふっと道しるべを見たら、
Hemingford Greyと書いてあって、わくわくしました。
この出口のすぐ近くのあのグリーンノーの家があるんだなぁ、とまわりの田舎の風景を眺めました。

また遊びにうかがいますね。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年2月21日 23:52に書いたブログ記事です。

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