かるいお姫さま G.マクドナルド

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先日に引き続き、今日も G. マクドナルドの岩波少年文庫作品です。  

かるいお姫さま
著:G.マクドナルド 訳:脇明子 画:A. ヒューズ  岩波少年文庫

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魔女にのろいをかけられて、ふわふわ浮いてしまうお姫さま。  重さがもどるただひとつの場所である湖も魔女のたくらみで干上がり、お姫さまはしだいに弱ってゆきます。  お姫さまを救う方法とは?  「昼の少年と夜の少女」も収録。  (文庫本裏表紙より転載)

この本には ↑ にもあるように表題作と一緒に「昼の少年と夜の少女」が収録されているんですけど、どちらかと言えばこちらの「昼 & 夜」の方が KiKi 好み♪  「かるいお姫さま」の方はその設定からしてナンセンスで面白いと言えば面白いんだけど、怖いと言えば怖いお話だと思うんですよね~。  待ち望まれて生まれてきたお姫さまが悪い魔女の呪いによって重さをなくしてしまう・・・・と、何だか「眠れる森の美女」を彷彿とさせるようなおとぎ話の王道(?)でスタートするんだけど、ただただ体がフワフワと浮いているだけならいろいろ不便はあっても、それはそれで楽しそうにも思えちゃう。  でもね、どうやらこのお姫さま、失ってしまったのは体の重さだけではなく、オツムの重さ・・・・というか、人間らしい感情が少し欠落しちゃっているような危うさを感じるんですよ。  どんなに深刻な状況でも笑っていて、挙句お姫さまのために、干からびそうになっている湖の水を堰き止めようと命を投げ出そうとしている王子さまを見てもケラケラと・・・・。  ここまでくると「いつもニコニコ、明るくていいねぇ♪」というレベルはとっくに通り越して、何だか寒気がしてきちゃうんですよね~。  とは言っても、そこはマクドナルド。  単なる「荒唐無稽」のお話で終わらせないあたりはさすがです。

でもね、やっぱり心にどっしりと響いてくるのは「昼の少年と夜の少女」の方だと思うんですよ。  題名からも想像できるとおり、これは夜を知らずに育った少年と昼を知らずに育った少女が出会う物語です。  とある魔女の何らかの計画(但し、その計画とやらがどんなものだったのかは最後までわからず終いなんですけどね ^^;)のために特殊な環境で2人を育てているんだけど、魔女の目を盗んだ2人は魔女が隠そうとしているそれぞれの知らない世界(少年にとっての夜、少女にとっての昼)にそれぞれ直面することになるんです。  そして、それはそれぞれの想像を絶する世界だったんだけど、この若い2人が偶然出会うことで、少しずつ驚きや恐怖を乗り越えて互いを(夜と昼を)理解しようとする・・・・というお話です。
 

太陽を燦々と浴びて育った少年は輝きと快活さを持つ一方で、力を勇気と思い込み、時には身勝手さをも見せるようになります。  対する16年もの間小さなランプが1つしかない部屋に閉じ込められていた少女は、少年を見守る包容力を持つと同時に闇に対する恐怖に怯える少年を力強く支える強さも併せ持つようになります。  KiKi が特に感動したのは幽閉されていた少女が感じる初めて出会う外界の新鮮さ、夜の美しさの描写で、これは絶品と言ってもいいんじゃないかしら。  そして、彼女が初めて出会う全てのものに愛情を感じる姿が何ともいじらしいんですよね~。  そんな少女だからこそ、ちょっと傲慢なところがある少年に対しても母性愛にも似た包容力を示すことができることがスンナリと納得できちゃうんですよね。  

物語の最後、お互いの助けを借りながら生きていこうとする2人がようやく魔女の支配から逃れ幸せになれそう・・・・というところで、作者はかなり意味深な言葉を少女に吐かせます。

でもわからないわよ。  いまに出ていくとき(Go Out) になってみないと・・・・。  外(Out) には、あなたの昼よりもっとすばらしい昼があるんじゃないかしら。  あなたの昼が、あたしの夜より、ずっとすばらしかったみたいにね。

この物語。  Go Out という言葉に「外へ出る」という意味とランプなどが「消える」という意味とがあることを利用した言葉遊びがそこかしこに出ている物語・・・・・ということなんだけど、KiKi には正直なところ、この最後の言葉の意味するものがちゃんとは理解できていないように感じているんですよね~。  恐らくは「死後の世界」を想定しての言葉じゃないかとは思うんですけどねぇ。  う~ん、これはできれば1度、原文で楽しんでみたい物語です。  原文で読めば理解できるのかどうかは定かじゃないけれど、恐らく何度も出てくる Go Out を原文から一つ一つ咀嚼して大切にイメージしていけば、そしてそこかしこに暗喩的に出てくる「生 vs. 死」をもっとストレートに感じることができれば、マクドナルドの言いたかったことの片鱗ぐらいには近づけるんじゃないかと思うんだけどなぁ・・・・・・。  
   

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