キルトに綴る愛 H.オットー

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先日読了したこの本にチラッと紹介されていた本を吾妻郡図書館で発見しました。  てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

キルトに綴る愛
著:H.オットー 訳:中野恵津子  講談社

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アメリカの小さな田舎町のキルティング・サークルに集う8人の年配の女性たち。  メンバーの一人を大伯母に持つ娘・フィンの目を通して、彼女たちの生き方とアメリカの女性の歴史が重ね合わされる。  (Amazon より転載)

あちらの本(「アメリカン・キルト」)で紹介されていたのは、この本そのものというよりは、この本をベースにしたこちら(↓)の映画でした。  残念ながら KiKi はまだこの映画を観たことがないのですが、今回この本を読んでみて、1度は観てみたいなぁと感じました。

キルトに綴る愛
製作年:1995年 製作国:アメリカ 監督:ジョセリン・ムーアハウス 主演:ウィノナ・ライダー 他

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大学院生のフィン(ウィノナ・ライダー)は、卒論を仕上げるために祖母ハイ(エレン・バースティン)とその姉グラディ(アン・バンクロフト)が暮らす家にやって来た。  祖母の家には女性たちが集まり、それぞれ思い出話をしながらキルトを作っていた。  彼女たちの話を聞きながら、婚約者との結婚に懐疑的になっていたフィンの心も変わっていく。  結婚へ踏み切ることに迷っていた主人公を軸に、キルトを作る年老いた女性たちの物語がオムニバスのように織り込まれていく。  それぞれの女性たちの生き方、恋愛観を込めながら、一枚のキルトが仕上がる過程が美しい映像で描かれ、豊かな感動がある。  見どころはなんといってもエレン・バースティンほか達者な出演陣。  彼女たちが口にする含蓄ある言葉が静かに胸にしみる。  若かりし日のウィノナ・ライダーの可愛さは絶品。  女性向け映画ではあるが、男性にも充分感動してもらえるだろう。(茂木直美)  (Amazon より転載)

正直なところ、「アメリカン・キルト」を読んだ時にはこの映画そのものにもさほど興味が湧かなかったし、まして原作本があることにも気が付きませんでした。  でもね、たまたま吾妻郡図書館でこの本を見つけたときにはこの美しいキルト模様の装丁(↑)に吸い寄せられるように惹きつけられ、ふと気が付くと借り出しカウンターに並んでいました(笑)。  今回、この本を読んでみて映画そのものにも興味を持ち、魅力的な出演陣の顔ぶれを改めて眺めてみると、ムラムラとこの映画を観てみたいモードが湧きあがってきました。

登場する年配女性たちの生き様の物語はともかくとして、彼女たちがキルティング・サークルで作っているキルトを映像で観てみたいなぁ・・・・と。 

   

物語そのものは正直なところ、KiKi にはさほど興味深いものではありませんでした。  キルティング・サークルに集まる妙齢の女性たちの若かりし頃の恋物語を手を変え品を変え聞かされてもねぇ・・・・っていう感じ(苦笑)  もともとそういう人様の恋愛模様にはどちらかというとあんまり興味がない方なので・・・・。  でもね、そのお話の中に織り込まれている「時代の空気」だとか、その空気の中で女性たちがキルトを作り続けた背景にあるものには興味を引かれました。  あの「アメリカン・キルト」の中でも同じような話が「又聞き」的な書き方で書かれていたんだけど、こちらの物語ではそれが「人から聞いた話」ではなく「私がこうした話」として描かれているので、説得力が違います。

一番感銘を受けたのは、白人と黒人の間に生まれた子供として生きたアンナ・ニールの物語でした。  孤児となったアンナを引き取って育てたアンナの大叔母ポーリーンとポーリーンの雇い主である白人女性の間で交わされるアンナの曾祖母が作った「昔の夢」という名前のキルトを挟む会話には、一昔前の自分を見せつけられたような気分になりました。

奴隷生活を余儀なくされているポーリーンがアンナのために現金を作りたいが故に夫人に「昔の夢」を売ってしまうのですが、彼女はそれを後悔し続けます。

キリスト教徒は世俗的財産を欲しがったり惜しんだりしてはならないのだ。  物質的なものより精神的なものがわれわれを支えているのだから。  でも、ポーリーンは途方に暮れ、自分の歴史を盗まれて動揺している。  あのキルトをただの飾り物としか考えない人間に独占されて悲しんでいる。  アンナは知っている。  ポーリーンが夫人にそれを売ったのは、自分のために何かを買ってくれようとしたからだと。  ただ、世の中には金に換えられないものがあることに、もっと早く気付くべきだった。  アンナは、それを売る時のポーリーンが手を握り締めて耐えたことも知っている。  彼女は手放してはならないものを手放した。  でも、手放してしまったのだからしかたがない、もう元には戻らない、ということもアンナは知っている。

この物語の作者はキルトを作るのと似たような手法でこの物語を描き上げています。  訳者のあとがきによれば

原題からもわかるように、小説の一部は、キルトの作り方というハウツーものの形式を借りている。  作者の仕掛けはそれだけではなく、この小説全体が一枚のキルトになるように、7つの物語で(キルトでいう)「ブロック」を作り、それぞれの冒頭においた「レッスン」でつなぎ合わせ、その全体を囲む「ボーダー」の役割をいちばん最初の「プロローグ」といちばん最後の「クレイジー・キルト」に与えている。

とのこと。  その「レッスン」の部分がキルトでいう「ラティス」になると思うんだけど、アンナ・ニールの物語の初めに置かれた「レッスン」の部分が KiKi にはもっとも多くのメッセージを伝えてくれたように感じられます。  人類が発明した「奴隷制」について久々に、ちょっぴり時間をかけて考えさせられました。  と、同時に「ものを作る」ということに関しても多くを考えさせられました。

出来合いのパターンを買ってきて作るキルトがあります。  でも、あなたはそういうキルトを1枚も持っていません。  自分で作らないキルトなど、どこがよいのか、あなたには理解できないからです。  作品の中に自分を組み込まなければ、ただの裁縫でしかなく、ひとりで過ごす長い夜の暇つぶしにすぎないと思っているのです。

ずいぶん前の話ですが、ハワイを訪れたある女性がキルトを2枚購入し、それを本土に持ち帰ってデザインをコピーし、自分の名前でコンテストの応募しました。  その作品は賞をとりました。  あなたはその女性を哀れに思っています。  他人のストーリーを「借用」したくせに、それを自分で考え出したようなふりをしたのですから。  そのキルトが彼女のオリジナル作品ではないとは知らなかった審査員は、彼女に賞を与えました。  その結果、原作者であるハワイの女性はパワーを失い、ほかの女に自分の歴史の一部を奪われました。  一方、他人のデザインを盗んで社会的な力をつけた女性のほうは、ますますパワーを強めていったのです。  人を踏みにじって。  人を犠牲にして。  この話はあなたの胸に深くしみいります。

う~ん、KiKi もオリジナリティのある作品が作れるものなら作ってみたいけれど、あんまり自信がないなぁ・・・・。  でも「ものを作る」と言う行為は本来、そういう精神を大切にするところにこそ成立するべきものなのかもしれません。  まあ、今の KiKi にできることは、通信教育やらパッチワーク本を見ながら作成するものは公の場所には出さないこと・・・・・ぐらいだよなぁ。  もっとも恐らく KiKi はコンテストに応募するな~んていう大それたことは一生できそうもないけれど・・・・(笑)

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年2月27日 23:30に書いたブログ記事です。

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