夏の王 O.R.メリング

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先月はボストン夫人月間で、ボストン夫人の「オールドノウ物語」 & パッチワークに邁進していた KiKi。  2月に入り、これといったテーマもないため、昨年の積み残しを消化したいと思います。  まずは O.R. メリングの作品を制覇(?)し、そのあとはサトクリフ作品に進みたいと考えています。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

夏の王
著:O.R.メリング 訳:井辻朱美  講談社

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妖精たちの特別な夜―「夏至祭」の前夜、最初のかがり火の火をともす「夏の王」をさがしてほしい。  ほんとうは、あんたの妹がその使命を果たすはずだった。  妖精を信じる少女オナーは、祖父母の住むアイルランドで事故死した。  一年後、その死に責任を感じる双子の姉ローレルがふたたびアイルランドをおとずれると、妖精があらわれ、オナーは現実世界と妖精世界のはざまにいて、彼女の使命をローレルがかわりにやりとげたとき、妖精世界へ迎えられると告げる。  そこでローレルは、海賊女王やワシの王に助けられつつ、謎めいた少年イアンとともに「夏の王」をさがしはじめる。メリングのケルトファンタジー第4弾。  (単行本扉より転載)

ヨーロッパには、夏至の日妖精の力が強まって、祝祭が催されるという言い伝えがあると聞いたことがあります。  シェイクスピアの「真夏の夜の夢」は、まさに、夏至の日の夜に繰り広げられる人間と妖精の恋物語。  その「夏至」という言葉と「夏の王」という言葉が微妙にシンクロして、読み始めるまで KiKi の期待はこれ以上はないっていうほど膨らんでいました。  メリングのケルトファンタジー第4弾。  第1巻の「妖精王の月」の後日譚という位置づけの物語です。  

今号のヒロイン・ローレルの亡くなった双子の妹オナーの日記に出てくる「七者」は、「妖精王の月」で活躍したあの7人なんだろうなぁ。  彼らが登場するのを期待していたんだけど、結局彼らは出ず仕舞い。  まあ、かくも現代人は妖精世界とは別の次元で動いているわけです(笑)  でも、その代わり・・・・といっては何だけど、「妖精王の月」ではちょっと可愛そうな存在だったミディールや、妖精のお医者さん;ハートおばばなど「妖精王の月」の登場人物がちらちらと顔を覗かせるのが嬉しかった♪

今回の物語も基本的には現代のアイルランドが舞台で、2人の女の子が物語の核を成しているのは「妖精王の月」と同じなんだけど、あちらでは「妖精王」を現実の世界に連れて行こうとする物語だったのに対し、こちらでは亡くなった妹を妖精の世界へ甦らせようとする物語。  ローレルを動かしているのは亡き妹への愛であり、生前彼女の話を聞こうとしなかった自分への後悔の念。  ある意味で、ローレルの冒険は贖罪の旅となっています。  そうであるだけに、これまでの物語に比べると冒険そのものをワクワク・ドキドキ楽しむ物語というよりは、ローレルと一緒に自分の内面を見つめ直す物語になっていると感じました。 

ローレルは祖母がとりあげた牧師の息子イアン・グレイと共に、「アキルの年古りたワシ;ライーン」、「西方の海の女王;グローニャウェイル」の助けを借りて、囚われの夏の王を見つけ出し、夏至祭りの前日に、幻の島ハイ・ブラシルのかがり火に火を点さなければならないんだけど、その過程で起こることは「向こうからやってくる事件」というよりは、「ローレル & イアンの深い喪失感と自責の念」を象徴する出来事のように感じられて仕方ありませんでした。  「夏の王 ≒ イアン」という構図も結構早い段階で透けて見えていたし・・・・・。  そういう意味では現実世界と妖精世界の融合の物語・・・・というよりは、人間の精神世界に踏み込んでみた物語という感じがします。  でもね、残念なことにそんな深淵なテーマを扱っている割には本が薄すぎて、どことなく中途半端な感じがしないでもないんですよね~。  ところどころ、唐突な感じを抱きながら読み進めたし、同時に世界観の構築がちょっと荒っぽいんじゃないかと感じました。

ところで、ライーンの話の中で、アイルランドの5つの祖(アサローの鮭、ベアールの古き女、ベン・バラウバンの大ジカ・ブラックフット、水をつかさどる「白い貴婦人」、鳥の王にしてエーリ族のあるじ・ライーン)について触れられていたのですが、これはもっとじっくりと知りたかったなぁ。  ライーンと「白い貴婦人」はこの物語に出てきているのですが、シリーズ全作を読み通せば、出揃うのかなぁ・・・・。  それにライーンは語りを通してある程度見えてくるものがあったんだけど、「白い貴婦人」に至っては蜃気楼みたいな存在だったのもちょっと残念。

いずれにしろ「ケルト」ってやっぱりまだまだ知らないことが多い、深~い世界だったなぁ。  


 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年2月 3日 11:23に書いたブログ記事です。

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