古事記 梅原猛

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岩波少年文庫の「古事記物語」で古事記への敷居をぐっと下げたところで、もう何冊か積読状態になっている「古事記関連本」を読んでみようと思います。  てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

古事記
著:梅原猛  学研M文庫

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「古事記」の撰者は藤原不比等である。  稗田阿礼という人物は、藤原不比等以外に考えられない。  「原古事記」には柿本人麿もかかわっていたのでは?  このような大胆な仮説を裏付けるべく、梅原猛が初めてその「古事記」の現代語訳に挑戦した記念すべき作品。  アイヌ語は縄文時代ゆかりの日本語の祖語と考える著者は、アイヌ語を学びなおして、「枕詞」など従来読み解けなかった難解な文章の意味を明らかにしていく。  (文庫本裏表紙より転載)

これはある意味で不思議な本ですねぇ。  前半部分は古事記の現代語訳、後半部分は「古事記に学ぶ」と題された梅原先生の研究論文の草稿(まだとっかかり状態で、学説になる前の所感のような雰囲気)で構成されています。  で、裏表紙に書かれている(↑)、この何とも興味深い新説に関して触れられているのは後半部分なんだけど、そこもある意味でまだ完成された状態ではなく、この説を実証するために様々な試みを用いて「古事記」を訳してみたのが前半部分・・・・ということのようです。

でね、一言一句比較してみたわけじゃないんだけど、古事記全文を取り扱っているわけではないような雰囲気なんですよね~。  取り扱っている話題自体は岩波少年文庫の「古事記物語」とほぼ同じ。  で、こちらの方が好ましいのは「古事記物語」の Review に書いた歌謡部分に関して、現代語訳した詩だけではなく、読下し文が併記されていること・・・・ぐらいでしょうか?

例の「八雲立つ」の歌はこの本では以下のように紹介されています。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
(多くの雲が立っている。  その雲が多くの垣根のように、わたしの家を取り巻いている。  その中に、わたしは妻を取りこめる。  ああ、雲が垣根をつくっている。  多くの多くの垣根をつくっている。)

古文の現代語訳作品には多い翻訳の形で馴染みがある・・・・ということもあるとは思うんだけど、歌そのものを楽しめるうえに、意味もわかる、こういう形で紹介されている本の方がどことなく安心できるような気がするのは気のせいでしょうか?

 

この本で一番面白いのは、後半部分の「古事記に学ぶ」の章だと思うんですけど、ここ、面白いことは面白いんだけどちょっと中途半端なんですよね~。  例の裏表紙に書かれていた「稗田阿礼 = 藤原不比等」説もある意味で言いっ放しの感が否めないし、「原古事記には柿本人麻呂が関わっていたのでは?」に至っては言いっ放しという以前に「そんな仮説も成り立つような気がしているが断言するには時期尚早」と書くに留まっている・・・・ ^^;  アイヌ語に関してはいくつかの枕詞の例が出ているので「なるほど」と思わされるんだけど、どの訳文にそれが生かされているのか、一般にはどういう訳文が多いのか、それをアイヌ語の知識を生かしたからこそこういう訳になったんだという比較とかがされているわけではないので、ふ~んと読み飛ばして終わってしまえる・・・・そんな感じなんですよ。  まあ、これはあくまでも大衆向けの文庫本で研究論文じゃないわけだからこうなってしまうのかもしれないけれど、裏表紙で興味深い新説をぶちあげた以上、もうちょっと違う書き方もあるんじゃないの??と感じないでもありません。

それにしても、こうやって何冊かを読めば読むほど、我が日本国の神様たちの大らかさ・・・・というか、性的に解放されている雰囲気・・・・というか、「そのてのことは黙して語らず」という KiKi の子供時代にはこの国に確かに存在していた(ような気がする)不問律を培った精神文化はいったいいつ頃から育まれたのだろうか?と思わずにはいられません。  いや~、あっぱれです(笑)

ところで、あのイザナギ & イザナミの最初の子供、ヒルコはどこへ流れて行っちゃったんですかねぇ。  どっかで沈んじゃって、それが所謂「プレート」の元になっていたりして!?

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年3月 9日 10:15に書いたブログ記事です。

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