いのちをはぐくむ農と食 小泉武夫

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今回の各地の野菜の放射線汚染騒動から、もう少ししっかりと「食と農」に関して考えてみたいなぁと思って手に取った本の1冊です。

いのちをはぐくむ農と食
著:小泉武夫  岩波ジュニア新書

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1年間に農業に就く後継者が5000人を割り、食料自給率も40%を割った。  しかも、食品の安心・安全にも不安が大きい。  そんな日本の農と食に未来はあるのだろうか。  各地で活性化策をアドバイスしてきた小泉先生が、再生へのカギをにぎる取り組みを紹介してくれる。  小学生からお年寄りまで、しっかりと道を切り開いているよ。  (新書本裏表紙より転載)

震災が発生する前、多くの人たちが「食料自給率」を問題にしていました。  でもその時点では KiKi はこの手の本を読んでみようとはあまり思いませんでした。  それはこういうことに興味を持っていなかったから・・・・ではなく、考えても考えてもある種のドツボに嵌ってしまって、そこより先に思考が進んでいかなかったからです。  と言うのも、今の自給率の低さは問題だと思っているけれど、じゃあ何パーセントだったらいいのか?と考えると100%がいいとは必ずしも言い切れないと思っているところがあるというのも原因の1つです。  

安かろう悪かろうは問題だと思うけれど、安くて高品質のものであればそれが異国産のものであってもそれを取り入れることが悪とは言えないわけで、じゃあほどほどのところっていうのはどこなのか??  それを考え始めると、コレという妙案なんていうのは出てくるはずもなく、常に思考がぐるぐると堂々巡りをするだけでどうにもならなくなってしまうのですよ。  それにね、もっと言えば物の品質ってよく簡単に口にするけれど、正直なところその良し悪しっていうのが見ただけ、触っただけでわかる・・・・と言えるほど KiKi は物を見分ける力が自分にあると思っていません。  

子供時代に母の買い物につきあって野菜を見るときはここを見る、魚を見るときはここを見ると教わらなかったわけじゃないけれど、野菜は今では見た目だけは綺麗に作ってあったりするし、葉物なら水が霧吹きされていてシャンとしていて見分けがつかなかったりもするし、お魚に至ってはサンマとかアジみたいな一匹ものならいざ知らず、切り身になってしまっていたら何をどう見ればいいのか正直なところわからない・・・・ ^^;  国産物の方が鮮度という点では勝っているだろうとは思うし、鮮度が勝るということは余計な小細工をしていないという意味で安全かもしれないけれど、その「程度の差」がどれくらいなのか?となるとチンプンカンプンです。

 

ま、そういう意味でこの本には期待していた(何せ裏表紙によれば「再生へのカギをにぎる取り組みを紹介してくれる」とあったので)のですが、正直ちょっと期待外れでした。  「国産が安全だ、安全だ」と連発している割にはどうして安全なのかがきちんと書かれているわけではないし、食料自給率が低すぎることを嘆いていてそこは共感できるものの、「じゃあ何パーセントだったら健全と言えるのか?」に関しても明確に書かれているわけではなく、著者の主張は「日本は現在工業国だけど農業国になるべきだ(つまり100%超の自給率になるべきだ)というものなのかなぁ??」と漠然と感じるような書き方になっているように感じられるんですよね。  食糧危機という観点からは確かに輸入に頼っているよりは自給率が高い方が安心だとは思うけれど、モノの見方っていうのはそれだけじゃないしなぁ・・・・。  

言いたいことはよくわかるんですよ。  KiKi も著者と同じようにこれまでの日本の農政は間違っていると思っています。  だいたいにおいて「専業農家では食べていけない」というムードが蔓延している時点で明らかに間違っているのです。  そもそもわが日本国は江戸時代までは言ってみれば農業国だったのです。  でも、西欧列強に圧倒的な国力の差をつけられて、富国強兵・殖産興業という流れの中で農家の二男坊以下が半分口減らし・・・という意味合いも含めて、工場労働者になっていき、その延長線上に今はあるわけですよ。  ところが工場労働者の方はどんどん経済的に安定していったけれど、農家の方はその国家的プロジェクトによる口減らしのために過去よりは楽になったけれど、誰もがうらやむほどの経済基盤を持ちえたわけではないし、都市の方がどんどん華やかになっていったがために若者の農業離れが今も継続している・・・・・これが実情だと思うんですよね。

この本の中でとある町の農家の3割強が所得が1000万円以上と書かれていたりもするのですが、読んでいて最後までわからなかったのはこの1000万円がすべて農業所得によるものなのか、はたまたそれ以外の所得を含めてなのか?に関しては詳細まで言及されていません。  その町の農産物の販売高順トップ7が

1. エノキダケ
2. ナメコ
3. ハーブ
4. クレソン
5. シイタケ
6. スモモ
7. 梅

となっていること、そもそも最初は梅と栗に着手したけれど年に1度しか収穫できなくて目標所得には及ばなかったため、安定収入を目指してキノコ類に手を出したということ、ハーブ・果実は加工品にもできるという記述があることからすると、恐らくは農業取得だけではないんだろうなぁと想像できちゃうんだけど、この町の人たちの意欲的な活動には敬意を表するものの、結局は日本の多くの農村では農業だけでは食べていけない(食べてはいけるかもしれないけれど、現代社会の市民生活のレベルを維持するのは困難な)状況であることには変わりはないわけで・・・・・。

それにね、普通の人がある日「農家になりたい!」と思ったとしても、そうそう簡単には農家にはなれなかったりもするわけで・・・・。  そして仮に「農家になりたい!」と思った人が農家になれたとしても、結局は産物の流通経路を持たない限りは自給自足 & ご近所配りの域を出ないわけでもあって・・・・。  う~ん、何となく感情論的(感傷的)な記述の多い本だなぁ・・・・と。

この本の中でもっとも目を見張ったのは、食料自給率が低く他国からお金を出して食料を仕入れている我が国・・・・にも関わらず、コンビニ弁当を筆頭に小売店の賞味期限切れ、学校給食やレストランの残飯、そして家庭での残飯等々で年間2千トンもの食料を廃棄処分にしているという記述を目にした時でした。  もしもこれが事実だとしたら、自給率もさることながら、まずはこの無駄を何とかしなくちゃいけないでしょうねぇ。  ビジネス的に考えればこの廃棄率分だけ食品価格は当然のことながら上乗せされている(もしくは原価を圧縮している)はずなわけで、その上乗せ分でもっと建設的なことができそうな気もするし、コストの圧縮は往々にして低品質化をも招くわけで、こんな実態を放置したままで食の安全もへったくりもないかなぁ・・・・と。 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年4月 4日 11:15に書いたブログ記事です。

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