むらの原理 都市の原理  原田津

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自分ではよくわからないまま「あんたもムラの一員だ」と言われ、有権者でもないのに「ムラの選挙」に結果的に参加してしまった KiKi。  いずれはこのムラで「ホンモノのムラの一員」として暮らすことを考えている以上、「本質的にムラっていうところがどんなもんなのか?」  それをもっとちゃんと考えておかなくちゃいけないなぁと感じています。  本来ならそこで暮らしながら考え、答えを見つけていくべきだとは思うけれど、やっぱり都会人の哀しさか、何らかのガイドのようなものが欲しいなぁと考えちゃうんですよね。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

むらの原理 都市の原理
著:原田津  社団法人 農山漁村文化協会

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むらと都市は異なる原理で...食と農は同じ原理で...四十年にわたる農村巡礼のなかに、都会育ちの著者が感受した異と同のハーモニー。

自立したむらの人間は権利を必要としないが、自立する条件のない都市では管理される事を拒めない。  だからよりよい管理を求めて権利を行使する。  むらと都市の原理的差異を明らかにし「すみわけ」を説く。  (以上、Amazon より転載)

この本に出会えたことをまずは感謝したいと思います。  KiKi が漠然と頭の中で思考しながらも、どうにもこうにも整理がつかなかったある種の問題意識に1つの視点を与えてくれた本だったからです。  この本に書かれていることは、KiKi がかつてこのブログでご紹介した、内山節さんの著作に書かれていたことと、根っこには同じ問題意識・感覚があり、それを別の切り口から切り出した本。  そんな印象を受けました。  

本書の構成は3章に分かれていますが、著者の「社会に対する視点のキモ」は第1章に集約されていると感じます。  因みにその第1章は1970年代に書かれた論考なのですが、KiKi には「古さ」のようなものは一切感じられず、どちらかというと「これまでそんなことを考えてみる事さえしなかった新しい視点」というように感じられました。

著者は、70年代に急速に経済発展する日本という国の中で、「むら」と「都市」という2つの社会体はそれぞれが持つ原理を異にする社会であるとし、お互いに「すみわけをする」ことこそが必要だと提案されています。  ここで異なる原理と言うのはむらは義務と幇助で成り立つ自立した社会、都市は権利と管理で成り立つ分業の社会であるとし、原理が異なる以上、並立することはできても、どちらかの理屈で1本化することは困難であるとしているのです。  これをもっとわかりやすく説明するなら、都市に住む住民は、生活に必要なあらゆることがらを外部委託しており水一杯、卵一個つくることができないのに対し、ムラに住む住民(=農業者)は食料・水・燃料を自らの手で生産したり採取したり、自立することが原則的に可能。  そんなムラでの生活においてはことさら権利を主張する必要はない。  なぜならばそこには管理委託がなく自分で決めて自分で実行することができるから。  と論破しているのです。  生産と生活の次元が同じムラでは個人ではなくムラとして自立できるけれども、都市のように望んでも自給が果たせない環境では、行政による管理が必要になり、結果として市民には「行政によるより良い管理を求める権利」が発生するという著者の指摘は KiKi には斬新なものに映りました。  と同時に KiKi がムラの選挙で感じた自治意識とでも呼ぶべきものの正体はコレだったのか!と合点がいったような気がします。

自給できない都市に於いては、農業の意味は食糧生産でしかなく、都市住民が食糧を求める権利を行使し、それに国が応じる義務が発生すると、国は食料自給率という数字で計算し始めるというくだりを読んだ時、改めて KiKi はこの「食料自給率」という言葉に感じていた KiKi の「胡散臭い」という感覚の源はここにあったと得心しました。  そして更に問題なのは、農業を工業と同じように効率性という尺度で測る(食料自給率を上げるために)ように仕向けるために、ムラの農業は多品目少量輪作の農法からモノカルチャー化され、それによって生じる病害虫を農薬(これも工業製品)でたたき、土地は大型トラクター(これも工業製品)で整備され、そのことを農業の近代化と呼び、都市的観点から構造改革を求めていったとの説にも、なるほど~と頷かされました。

KiKi は今「高山農園(仮称)」についてあれやこれやと考えているわけだけど、それを考えるうえで「根っこは都会人である KiKi の都会人的な発想」「都会人的な一方向的な押しつけ」がないかどうか、反省する必要があるなぁとあらためて感じました。  都市主導の「経済価値優先思想」を「脱落ちこぼれ会計人」を目指している KiKi 自身も相変わらず持っていることに気が付かされた・・・・そんな気がしています。  自分の行おうとしていることが一体なんなのか、あらためて考えてみたいなぁと思います。  

もう1つこの本を読んでいて KiKi が得心したことにムラの人が大切に思う「地力」という考え方があるというくだりです。  ここLothlórien_山小舎は元はと言えば地元酪農農家のHさんの畑だった土地をHさんが老いるに従い面倒を見きれなくなって、ヒノキ林に転用した土地に建っています。  そういう意味では畑だった時代があった分だけ「地力」はわずかに残っているのですが、林だった時代も長いため、ここで畑を維持するのはかなり大変だったりします。  雑草の生え方は「林時代の遺伝子」みたいなものを確実に受け継いでいるし、毎年毎年牛糞を梳き込み、腐葉土を入れ、耕耘機を回しながら地力を回復させつつ菜園を営んでいる・・・・そんな感じです。  そうであるだけに、昨年からLothlórien_山小舎に隣接する自分の地所でもないところにも畑を作り(大家さん了承済み)、今年からはこれまた自分の地所でもないところに田んぼを作ろうとしている(これまた大家さん了承済み)わけですが、都会人の KiKi が戸惑ってしまうぐらい、彼らはその対価を要求もしなければならば・・・とこちらからある意味「適当に」差し出すものであっても受け取ろうとさえしません。  

都会人の感覚からすると土地は「固定資産」であり、「カネと引き換えることができるモノ」であっても、Hさんや I さんにとってはこれは「カネと引き換えにする固定資産 ≒ 自分の所有物」という感覚が極めて希薄で、どちらかというと「あんたが無償で地力を維持(もしくは回復)してくれる」という感覚の方が強いんですよね~。  もちろんここには「思うような値では売れない」という事情もあるにはあるけれど、それでも「賃貸料を取ろうとさえしない」という姿勢そのものに、都会的な経済原理とは相容れない原理・・・・と呼べるようなものを感じています。  このことを著者は

工業社会では土地と言えば、それは地球の表面の一区画 - 地片とでもいうべきもののことである。  だが農業世界で土地と言えば、地片だけでなくその地片にこめられた労働をも含んでのことである。  (中略)  地片が労働によって生産力を備えたことを農業を営む人は地力という。  (中略)  工業社会の土地と農業社会の土地とを、同名ではあっても、決定的ともいえるほどに、異物にしているのである。  (中略)  地片という側面と地力という側面、その後者のウェイトが高ければ高いだけ、私有ということの根拠はうすれていく。  (中略) 「金は一代、土地は百代」という(農業社会の住人が持ち続けてきた)ことは、私有欲の強さを現すものではなくて、まったく逆に、農業社会の土地の公有的な性格を言い表しているものと理解しなくてはならない。  「土地は本来、公のものであるのに、金にしてしまえば私のものになってしまう」ということなのである。  ただし、公とは国ではない。  ムラである。

と述べています。  なるほど~。  正しい(?)ムラ人になるためにはまだまだ KiKi は修業が足りないっていうことみたいです。    

さて、この本を読んでいたらちょっと放置気味の「内山節さんの著作」を読みたくなってきてしまいました。  図書館から借りてきた本がまだ何冊もあるんだけど、どうしよう・・・・・・ ^^;      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年4月22日 12:02に書いたブログ記事です。

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