西風のくれた鍵 A.アトリー

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せっかく「時の旅人」を読んだので、これから暫くは岩波少年文庫に収録されているアトリー作品を読んでいきたいと思います。  てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

西風のくれた鍵
著:A.アトリー 訳:石井桃子/中川李枝子  岩波少年文庫

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西風がくれた木の実の鍵で幼いジョンが知った木の秘密とは?...  表題作のほか、動物たちのことばがわかる妖精のスカーフを拾った少年の話、ピクシーに見そめられて結婚した少女ポリーの話など、幻想的で楽しい六つの物語。  (文庫本裏表紙より転載)

まずは収録されている物語をざっとご紹介しておきましょう。

「ピクシーのスカーフ」
おばあさんと荒野へコケモモを摘みに行ったディッキーは 虹色の小さなスカーフを拾います。  おばあさんにはピクシーの持ち物に違いないから捨てるようにと言われますがどうしても捨てられずこっそりポケットに入れてしまうディッキー。  すると、ディッキーは地面の下に埋まっているものが見えたり 動物の話していることが理解できたりするようになって...。

「雪むすめ」
氷で覆われた北の国を治める霜の大王と妃の氷の女王は深く愛し合っていましたが子どものいないことを寂しく思っていました。  りりしい若者である北風は世界中を旅しながら 北の国の王女にふさわしい子どもを探しましたがなかなか見つかりません。  そして、ようやく見つけた女の子とは...。

「鋳かけ屋の宝もの」
年寄りの鋳かけ屋は小さい田舎町を歩いて旅して回りながら仕事に使った金物の欠片で子どもたちにおもちゃを作ってやっていました。  ある日、大きなお屋敷で鍋の修理をした後に給仕の少年から「おもちゃの材料に...」と庭師が掘り出したという金属の塊をもらいます。  鋳かけ屋がその塊を火にかざすと、ひとりでに形を変えていき...。

「幻のスパイス売り」
1年に1度だけやって来るスパイス売りのおばあさんのもとにお城のコック長ダンブルドア夫人の下で働く見習いコック・ベッシーがスパイスを買いに走ってやって来ます。  礼儀正しく優しいベッシーにスパイス売りのおばあさんはいつも商品とは別にスパイスをもう1つ渡してくれて、「大事に取っておくように」と言うのでした...。

「妖精の花嫁ポリー」
小さな田舎家に農家の作男が妻と14人の子どもを抱え貧しい暮らしをしていました。  1番上の娘ポリーは兄弟の中でも特別の器量よしでしたが、ある夜、男の家に小さなピクシーが訪ねてきてポリーと結婚させてほしいと言います。  承知してくれれば欲しいだけ金貨をあげようと言いますがポリーの両親は「とんでもない」と即座に断ります。  すると、次の晩にまたピクシーがやって来て...。

「西風のくれた鍵」
「なぞなぞかけた といてみろ この鍵(キイ) カエデの木をあける」
西風は歌うと幼いジョンのそばにカエデの実(キイ)を投げつけて去ります。  ジョンはカエデの実の鍵で開く錠を探して回りますが見つかりません。  最後にカエデの大木の狭い隙間に実を入れてまわしてみると カチリと音がして幹の一部分が開いて戸棚のようなものが現れます。  ジョンが見た、カエデが自分の奥に隠し持っていたものとは...。

 

こういう物語を読んでドキドキ・ワクワクする時間を持つことができる子供は幸せだと思います。  でも、今のご時世、この本の対象学年らしい(裏表紙にそう書いてある)、小学5・6年以上の子供はこういう物語を読んでどんな感想を持つのでしょうか?  なんか嘘っぽい。  子供だまし。  こんなことあるわけないじゃん!  そんな声が聞こえてくるような気がします。  恐らくはもっと幼い子供じゃないと、こういう物語が受け入れられない時代になっちゃっているんじゃないか?  そんな風に感じるのは気のせいでしょうか?

どことなく「ファージョン・テイスト」が感じられる、イギリスの豊かな田園風景を背景とした幻想短編集。  ちょっと面白いなぁと思ったのは、イギリスの田舎の方では自動車が走るような時代になっても、ピクシーや妖精が暮らしていたり、アニミズム的な物の見方が残っていたりしたように感じられること。  もっともそれはアトリー個人の感性によるものなのかもしれませんが・・・・・ ^^;

素敵だなぁと感じたのは、大学で物理を学び一時期は理科教師として生計をたてていた「科学者経歴」のアトリーが、こういう物語を書いているということです。  彼女の自然への観察眼の素晴らしさもさることながら、科学的なものの見方をできる女性が、それでも「偉大なるよくわからないもの」として自然を敬う気持ちを持ち続けていたということが驚きでさえあります。  

科学万能の時代になってから、世の中からは妖精とか妖怪といった「摩訶不思議な生き物」はある意味で淘汰されちゃっている(というか存在を許されなくなっちゃった)けれど、目に見えないもの、科学的にはうまく説明できないもの、明快な答えの出ないものをあるがままに信じ、大切にする心・・・・・がこれらの物語には息づいていて、それが今という時代にちょっと(というよりかなり)疲れちゃった KiKi のようなおばさんにはなんとなく心地よいんですよね~。  

さ~て、次は「氷の花たば」です。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年5月15日 16:28に書いたブログ記事です。

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