氷の花たば A.アトリー

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「時の旅人」から始まった、岩波少年文庫のアトリー作品読書。  4冊目の作品はこちらです。

氷の花たば
著:A.アトリー 訳:石井桃子/中川李枝子  岩波少年文庫

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雪道に迷った父親の命をすくい、お礼に娘を要求した白いマントの男の正体は?  表題作のほか、美しい木こりの娘の秘めた恋、「麦の子ジョン」と名のる神秘的な少年の話など、みずみずしい自然の息吹を感じさせる六つの不思議な物語。  (文庫本裏表紙より転載)

メリー・ゴー・ラウンド
イングランド中央部にある「ペン」という村に春の巡回キャラバンがやってきます。  2人子供、ジョンとマイケルはキャラバンの一員であるリーおばあさんから青銅でできた綺麗な呼子笛をもらいます。  これを吹くと.....。

七面鳥とガチョウ
七面鳥とガチョウはお城でごちそうを食べるため、ファージンゲール農場を抜け出します。  途中、コブタやクリスマス・プディング(!)なんぞも仲間に加わり、みんなでお城を占拠していた泥棒どもを追い払って.....。  「ブレーメンの音楽隊」にちょっと似たようなおはなし。

木こりの娘
暖炉の焔の中から現れる金色のクマの頼みを聞いて、木こりの娘チェリー・ブロッサムは、イラクサでクマの上着を作ってあげます。  さらに、クマは桜の花びらを縫ってチェリーの花嫁衣装を作るようにと告げます。  そして......。

妖精の船
海に出た父ちゃんの帰りを待つ息子トム。  クリスマスの朝に見たのは、小さな不思議な船でした。  乗組員はキャプテン・ダックと24匹の白ネズミ。  船が贈り物を持ってきたのは夢だったのでしょうか.....。  

氷の花たば
ある冬の日、雪の中で帰路を見失ったトム・ワトスンは、雪のように真っ白い見知らぬ男に起こされ、帰り道を教えてもらいます。  その代償としてその男が要求したものとは.....。

麦の子 ジョン・バーリコーン
おばあさんが落穂ひろいの際にムギ畑で拾ったきれいなイースターの卵。  割れると中から小さなジョン・バーリコーンが生まれます。  ジョン・バーリコーンは麦刈りを手伝い、農家に祝福をもたらすようになり.....。

本作もアトリーの短編集です。  「西風のくれた鍵」がケルトの妖精物語風だったのに対し、こちらはどちらかというと民話風。  いずれの作品も「どこかで似たような話を読んだことがあるような・・・・」と感じさせられるあたりは、やっぱりアトリーです(笑)。  それでいて、アトリーならではの自然描写の美しさは本作でも冴えていて、ひとつひとつの作品がキラキラしています。

民話風・昔話風ではあるんですけど、時代的にはやっぱりある程度現代に近い時代のお話(バスが走っていたりする)で、それでいて、これらの物語に登場する小道具・大道具の類のもの;メリー・ゴー・ラウンドの「青銅の呼子」然り、七面鳥とガチョウの「古い城」然り、木こりの娘の「廃墟」然り、バーリコーンの「教会」然り、何百年も昔からそこに存在し、時を超えて多くのことを見守り続けたものたちが、物語の展開に大きな関わりを持っています。  お話の中にそんな「時間軸」のようなものを感じさせられるのがアトリー作品の1つの特徴のような気がします。

 

個人的には「西風のくれた鍵」の方が好みかも。  この「氷の花たば」の収録作品の方が KiKi にはちょっと「乙女チック」にすぎるように感じられる作品が多いような気がします。  

そんな中で KiKi のお気に入りになったのは「麦の子 ジョン・バーリコーン」で、イギリスの農民の麦信仰が強く表れている面白い作品だなぁ・・・・と感じました。  しかもね、この物語が巧みだと強く感じさせられちゃうは、「農民の土着的な信仰」と「キリスト教」が対立関係には設定されず、スンナリと融合させられちゃっているところです。

麦の子の卵を拾ったおばあさんがキリスト教徒で「おらの子供は、キリスト教徒でなくちゃならないから。  いまのままだとお前は、異教徒か何かだろ。」と言った時には当然この物語は信仰の対立関係が出てきてどうなっちゃうんだろう??と思ったんだけど、その麦の子の洗礼名を与えるに当たって牧師さんが主張する聖書から借用した「モーゼ」という名前になりそうなところで、教会の天使たちやらその他の彫像たちが「ジョン・バーリーコーン」と叫び出し、結果として「モーゼ・ウィンクルの名は、もう問題にもなりません。  赤ん坊にはジョン・バーリーコーンの名が授けられました。」とあっさりまとめられてしまった時には正直唖然としました。

でも、そうであるだけに、この物語の読後感は爽やかで素敵なものでした。

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