時の旅人 A.アトリー

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昨日、今日とLothlórien_山小舎は雨模様。  昨日はそれでもお外仕事ができそうな程度の降り方だったのですが、ちょっと所要があって沼田まで出かけたりしていたので、結局庭仕事はお休みでした。  ま、そんな中、最近ちょっとペースダウン気味だった読書をする時間を持つことができました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

時の旅人
著:A.アトリー 訳:松野正子  岩波少年文庫

51CM23KWVVL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。  王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。  (文庫本裏表紙より転載)

久々のアトリーです。  実は今年に入ってから「グリーン・ノウ」を読み始めたとき、「あ、これは近いうちにアトリーの『時の旅人』も再読することになるだろうなぁ。」と思っていたのです。  この物語に初めて出会ったのは KiKi 小学生の頃でした。  当時の KiKi は幽閉されているメアリー女王に感情移入したり、そんな彼女を命がけで助けようとするアンソニー・バビントンの姿に「騎士道精神」のようなものを感じたりと、どちらかというと「ロマンチック」なイメージだけを勝手に膨らませ、感銘を受けたものでした。  だから、正直なところ主人公であるはずのペネロピーにはあんまり興味がありませんでした。

それが中学生になって再読した時には、メアリーもアンソニーも、ロマンチックもどうでもよくなって(^^;)、今度はイギリスの田園風景というか、舞台となるダービシャーの描写と中世の人たちの暮らしぶりに興味をひかれ、その描写を丹念に読む読み方をしていました。  で、相変わらずペネロピーにはほとんど興味が湧かず・・・・・ ^^;

そして今回。  実に40年あまりの時を経ての再読と相成ったわけですが、やっぱりペネロピーにはほとんど興味が湧かず(^^;)、今回もっとも興味を持ったのは「時って何だろう??」ということでした。  そもそもこれまでの読書では冒頭に出てくる以下の言葉は読み飛ばしていたのです。

時あり
時ありき
時あらず
    - 日時計の銘 

これ、原文では以下のような英語になっています。

Time is
Time was
Time is not
    - Sundial Motto

この何気なく be 動詞を並べ、最後に否定するという構文がイミシンで、「時」というものについてアレコレと考えさせられます。  

以前 KiKi は「デジタル時計が嫌い」というお話をさせていただいたことがあったかと思うんだけど、ある一瞬を数字で切り出して表示するあの「デジタル時計」というヤツは忙しい現代人向きかもしれないけれど、正しい時間を瞬時に認識できるという意味で合理的・効率的かもしれないけれど、「時」というものが「今」というものが「過去」と「未来」の接続点であるのに過ぎなくて、一続きのものであることを思い起こさせません。  そこへいくとアナログの時計は一目見ただけでその「繋がり」を意識させてくれます。

 

ま、そんなことを考えながら読書をしていったら、最後の最後、「あとがき」にたどり着いたら訳者の方も「時」について触れられていたので、何となく KiKi の感性が初めて訳者の方に追いついたような気分でちょっぴり嬉しい・・・・・(苦笑)

「時」についてあれやこれやと考えさせられ続けている間に、KiKi の心にもっとも強く印象付けられたのはバーナバスおじさんの以下のセリフでした。

背後に水の力があるからこそじゃ。  命と同じじゃ。  背後に力がなければならん。  人間を苦難と戦わせ、負けずにがんばらせる力が。  サッカーズのこの泉はかれたことがない。  これからもかれることはない。  いつまでも、いつまでも続いていく

時の営みとはかくあるべき・・・・か。

KiKi が多くの面で共感を受ける内山節さんの言葉を抜粋した以下のビデオに流れる精神はこの物語が語ろうとしている「時」の概念と親しいものがあるように感じました。

「一代で創り出せないものに 人は支えられて ある時代を生きている」

この言葉の重みを体感できるようになるまでに KiKi は50年近い年月が必要でした。  母たちの世代の人たちが KiKi たちの生き方を見て「1人で大きくなったような顔をして!」と言うことが何度もあったけれど、つい最近まで KiKi はその言葉の本質をちゃんと考えてみようとはせずに「口うるさい年長者のお小言」としか受け止めていませんでした。  このある意味での「刹那主義」が KiKi が大切にしてきた「個人主義」の別の顔だったと気が付くのに多大な時間を費やしてしまいました。

時間軸の中にいる自分を認識した時、人は初めて「古き良きもの」を大切にしたいと考えるようになるし、モノを大切にするために手入れをするようになるのだと思います。  それは単にモノを大切にするということではなく、そのモノに込められた先人たちの想いを自分の中にもあるものとして意識する行為なのだと思うんですよね。

私は、過去のできごとと、現在のできごとと、未来のできごとと、
そのどれもの一部分であって、そのさまざまの時の中にいて、
自分のすきなように、自由に動けるかのように思われました。

タイム・トラベラーである主人公ペネロピーの上記の言葉はまさにそれを言いえた言葉なのだなぁと感じます。  彼女はなぜ自分だけがこんな時間旅行をできるのかを考えて上記のような言い訳(?)を思いつくわけだけど・・・・・。  そしてそんなペネロピーだからこそ、彼女の生きる時代に残っていたメアリーが幽閉されていた城壁の廃墟の姿に心を痛めるのだと思うんですよね~。 

00000028.jpeg

「時」にはこんな残酷な一面もある・・・・。  でも自然と言うヤツ(時も自然の一部であるとして)はかくも力強く、人の成すことはかくも脆いということでもあるのかなぁ・・・・と。 

さて、最近はめっきり音楽関連のエントリーが減ってしまったこのブログだけど、この物語を読んでいると「グリーン・スリーブス」が何度も出てきて、思わずCD棚に駆け寄り、V.ウィリアムズの「グリーンスリーヴスによる幻想曲」を久々に聴いてしまいました。  久しく聴いていなかった音楽だけど、この曲も素敵ですよね~♪  (以下のビデオはグリーンスリーヴスによる幻想曲ではありません)

 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年5月11日 11:06に書いたブログ記事です。

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