ムーミン谷の11月 T.ヤンソン

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あちこちへ浮気をしつつ、ようやくムーミン・シリーズの最終巻に到達しました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

ムーミン谷の11月
著:T.ヤンソン 訳:鈴木徹郎  講談社文庫

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まっ白な雪にとざされて、長い冬眠に入る前のムーミン谷の11月......人恋しくてムーミン家に集まってきたフィリフヨンカ、ホムサ、ヘムレン、スナフキンたち。  ところが、心をなごませてくれるはずのムーミン1家は旅に出ていて......。  フィンランドの女流作家ヤンソンが読書に贈るファンタジックで魅力的なムーミン童話の最終巻。  (文庫本裏表紙より転載)

KiKi は前作の Review で「次に読むことになるムーミン・シリーズのタイトルが「ムーミン谷の11月」であることから察するに、この島での生活は長続きしなかったことが想定できちゃうんだけど・・・・」な~んていう戯けたことを書いたわけですが、な、な、なんと、この本ではムーミン一家は全くと言っていいほど姿を表しません。  どうやらムーミン一家の「灯台のある島暮らし」は続行中の模様・・・・・^^;  そんなムーミン屋敷に集まってくるのはこの表紙(↑)に描かれている個性豊かな皆さんたち。  性格も考え方も生きるうえでの拘りもすべてが異質な者同士が寄り集まっているんだけど、そんな彼らの心の中の揺れ動きだとか、些細なことで衝突するドタバタ劇の中に、まるでそこに一緒にいるかの如くに寄り添っているムーミン一家の「存在感」とでも呼ぶべき気のようなもの・・・・・。

決してホラーチックでもなければ、フェアリーテール的でもなく、でもフィジカル(物理的)にはそこにいないのに、確かにそこにいる感じ・・・・・。  それが何とも不思議で同時に「ああ、これこそがムーミン一家」と感じさせてくれる物語だと思います。

  

先日、確かNHKの「週刊ブックレビュー」だったと思うんだけど、そこで「絆」について語られている方が出演されていて、「絆というのは、今この時代、同時代を生きている人間同士」という絆ももちろんあるし大切だけど、「自分がここにあるそのきっかけを作ってくれたご先祖との絆、自分とその一族を育んでくれた土地、風、水といった大自然との絆もある」というようなことを仰っていらしたんだけど、何となくそれを思い出しました。  何て言ったらいいんだろう・・・・・。  ムーミン谷に強烈すぎるほどに溢れている「ムーミン一家の存在感」とこの方の仰る「ご先祖、土地、風、水との絆」に何か共通するものを感じたのです。

人間はとかく「思想」だとか「理想」だとかいうある種の概念にとらわれがちだけど、それとは異なる次元で進行していく「誕生 - 生育 - 死」という大きな流れ、そして誰かがある瞬間にはそこに確かにいて、このプロセスを全うしたという記憶・・・・のようなもの。  ひょっとすると「存在する」ということはその「記憶の欠片」みたいなもののことを言うのではないか?  そんな気分になりました。

巻末の解説によれば、著者の T.ヤンソンさんは「ムーミンって、動物なんですか、人間なんですか?」という問いかけに対し「ムーミンは Varelser (ヴァーレルセル)です。」と答えられ、この Varelser というのは「存在するもの」というちょっと哲学的な言葉なのだそうです。  「たしかに、いることはいるんだけれども、なんと言い表していいのかわからないもの」というような時に使われる言葉なのだそうです。  何だか日本人の意識の中には人知れず存在していて、案外大事にしてきている「魂」とか「霊魂」という言葉に近いものを KiKi は感じます。

現代人の私たちは「存在する」とは「目に見え、手で触れ、何らかの反応が感じられるもの限定」のような感覚があるけれど、そして科学的にはそれが正しい認識であるかのごとくに教えられてきているけれど、昔の日本人は例えば亡くなった方が生前毎日使っていたお茶碗というような、生活に密着したさり気ない小物に「亡くなった方の魂が宿る」と考え、それをいつまでも大切にし、そしてそれに語りかけたりする生活をしていました。  今では「迷信臭い」とか「非現実的な・・・・」というような扱いをされかねないそんな風習・文化だけど、でも大真面目にそれをやっている人にとっては、亡くなったはずの方は今でも確かに存在している・・・・・その表れとも言えるわけで、「存在する」とは何か?に関して色々考えさせられました。

最後に・・・・・

この表紙の絵、何だかいいなぁと思うのですよ。  余りにも個性的過ぎて、落としどころがなさそうに見えなくもない面々が唯一一緒にできること。  それは「みんなで同じものを同じときに見る」ということ・・・・・。  見たものをどう斟酌するかは個人個人に委ねられているけれど、それはそれとしてその「同じものを同じときに見る」という形で同時に存在できる・・・・・ということに、安心感のようなものを感じました。  季節は11月。  すべての生き物が息をひそめる季節を前にしているというのが、また何とも言えない空気感をもたらしている素敵な作品だと思いました。  ちょっと難解な物語ではあったけれど(^^;)ね♪

 

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