ほんとうの空色 B.バラージュ

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「やりこみ系ゲーマー」だった KiKi が親類の子供に触発されて始めたドラクエのエンディングを未だに迎えていないにも関わらず、それをそっちのけで再び読書三昧の日々を送っています。  その理由の1つは夏の農繁期を過ぎちょっぴり時間に余裕ができてきたことにもあるけれど、それ以上に以前ほどはゲームの世界にのめりこめなくなっていることもあるような・・・・・。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

ほんとうの空色
著:B.バラージュ 訳:徳永 康元  岩波少年文庫

518lmiEecfL__SL500_AA300_.jpeg (Amazon)

フェルコーは貧しい母親と二人暮らし。  少年が、野原の花の汁でつくった青い絵の具で空を描くと、その空にほんものの太陽や月や星が輝きだしました。  少年は、つぎつぎと不思議な出来事にめぐりあいます。  みずみずしいハンガリーの名作。  (文庫本裏表紙より転載)

以前から KiKi はハンガリー民謡とかジプシーの音楽なんかを聴くと、「異国情緒」というよりは「親近感・・・・のようなもの」を感じ、日本人と気質が合う民族という印象があったりしたんだけど、この物語を読んでいても同じような郷愁に近いものを感じました。  

物語冒頭では貧しい少年の描写から始まっているので、昔よく読んだタイプの「貧困の中で幸せを見つける」というプロットの物語なのかなぁ・・・・と思い、中盤で野原の花の汁でつくった青い絵の具が出てくると、いわゆる手仕事世界系のほのぼの文学かなぁ・・・・と思い、その絵の具で描かれた絵の空にほんものの太陽や月や星が輝きだすとそのあまりのシュールさに唖然とし、と、同時にこの物語がどこへ向かって語られているのかチンプンカンプンに・・・・ ^^;  描写は美しいんだけど、いったいこの物語のテーマは何なんだろう????ってね。

全てが KiKi の中で解決したのは最後も最後、ラスト2ページでした。

 

少年の夢を広げた「ほんとうの空色」で彩られた絵や道具箱のふたや、そのしみを残した半ズボンに拘り続け、それを宝物のように大切にしてきたフェルコーが、かつての秘密の仲間の1人であり、彼にとって初めての異性でもあるジュジの目の中に、これこそ「ほんとうの空色」を見つけ出し、と、同時に少年時代の象徴でもある半ズボンに別れを告げるというプロットに思わず舌を巻きました。  う~ん、これは深い!!

そう言えば、KiKi の小学生時代、とある担任の先生がクラスの男の子たちにず~っと半ズボンを強制していたことがありました。  もう「過保護」という言葉が市民権を得始めてていた時代、多くのクラスメートの男の子たちは夏場はともかく冬には長ズボンをはいていました。  先生としては半分はひ弱になってきている男の子たちの健康増進のため、そして残りの半分は「どうどうと半ズボンをはいていられる年代は限られているんだから」という2つの理由があったらしいんだけど、一部のPTAからは非難轟々でした。  自分が♀故に「男の子の世界」を必ずしも理解できていなかった KiKi に初めて「少年時代から青年時代への通過儀礼」(もちろん当時の KiKi は「通過儀礼」なんていう言葉は知らなかったけれど)を意識させた出来事でした。

と、同時に何かを得るためには何かを捨てなくちゃいけないこともある・・・・・ということをさり気なく表現していて、そこにも深いものを感じました。

それにしても・・・・・・

この物語に登場し、フェルコーと「ほんとうの空色」の画材の出会いのきっかけを作ってくれた用務員さんがいいなぁ。  だいたいにおいて学校の用務員さんっていう存在は、先生ともちょっと違えば親とも違う、○○ちゃんのお父さんお母さんとも違う、ビミョーな関係の存在だと思うんですよね。  半分友達で半分大人・・・・・みたいな。  今の学校にも用務員さんなんているのかしら??  KiKi の子供時代にはどこの学校にもいらして、叱られる時だけは「大人カテゴリー」の人なんだけど、それ以外の時は「友達カテゴリー」の人で大好きでした。

今では名前さえ思い出せないあの用務員さん。  今はどうされていらっしゃるんだろう??  この物語でもいつの間にか存在が消えちゃっているけれど、この用務員さんの存在に何だか甘酸っぱい郷愁のようなものを喚起され、不思議な読後感を残してくれた作品でした。

 

P.S.

この作者、あとがきによればバルトークやコダーイと親交があり、あのバルトークのオペラ「青ひげ公の城」の台本を書いた方なのだとか!!  う~ん、およそ同じ作者の作品とは思えない!!

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年9月12日 11:09に書いたブログ記事です。

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