白鳥異伝(上) 荻原規子

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せっかく図書館で「これは王国のかぎ」を借り出し読了したのを機会に、以前途中で放置してしまった「勾玉三部作」の残りに挑戦することにしました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

白鳥異伝(上)
著:荻原規子 絵:佐竹美保  徳間 Novels Edge

51JErRyxzzL__SL160_.jpeg  (Amazon)

「・・・・三野(みの)はおちる。  ・・・かの者はつに悪しき力を発動させ、わしにはさだめを読むことはかなわなくなった・・・・」  遠子(とおこ)は小さな声でたずねた。  「かの者とは・・・小俱那(おぐな)のことですか」  「そうじゃ・・・かの力をとりおさえなければならぬ。  わしらのほかにも橘はいる・・・象子(さきこ)・・・わしら以外の橘はどこにおるか、申してみなさい」  象子はくちびるをしめしてから、暗唱するように言った。  「朝日ののぼる日高見(ひだかみ)の国、夕日の沈む日牟加(ひむか)の国、三野の国、伊津母(いづも)の国、名の忘られた国、これら5つの国には勾玉があり、5つの橘がそれを守っております。  (本の裏表紙より転載)

これは面白い!!  少々、少女マンガチックなところが気にならないではないけれど(この本の挿絵が・・・・ということではなく、筋運びが・・・・です)、ファンタジーと言えば英国物という先入観にも近いものを持っている KiKi にとっては「よくぞ日本神話をベースにこんな作品を書いていただきました!!」という想いを抱かせるに十分な面白さです。  そして何よりも嬉しいのがさすが国文学を学んだ方が書いた日本神話ベースの物語であるだけに、美しい古代の日本語を彷彿とさせる名詞の数々に出会えることです。

上記の引用文に含まれる国名しかり、巫女やヒロインの名前しかり・・・・。  現代の私たちにも決して馴染みがないわけではない「音」に当てられる文字が物珍しくもあり、想像力をかきたてられもし、石とコンクリートの文化がすっかり定着したこの国のもともとの姿に想いを馳せることができるように感じます。  それが「ストーリーの追いかけにくさ」と表裏一体になっているのが日本神話の残念なところなんですけどね~(笑)

 

古事記・日本書紀・万葉集等々に出てくる漢文調の文字列は、正直読んでいてウンザリすることも多いし、ルビがふってある所はよいとして次からは読み方がわからなくて戸惑うことも多かったり、これが同じ国(要するに日本)の人間が使っていた言葉なのか!と愕然とすることも多いけれど、それでもそこに自然と共にあった往時の人々の「想いの丈」みたいなものが込められていることも多くて、そこに自分にも通じる感性の根っこのようなものを感じ安堵感を得たりするものだけど、この物語の描く世界にも間違いなくその安堵感の大元にある何か・・・・を感じたように思います。  

まだ下巻を読了していないので、物語全体を語れるほどには作品世界に浸りきっていないのですが、この作品は KiKi のお気に入りの1つにランクインしそうな予感があります。  ま、これには「ヤマトタケル贔屓」という KiKi の個人的な趣味も一役買っているのかもしれませんが・・・・・。  ヤマトタケルとオトタチバナヒメの物語は古事記全編の中でもかなりロマンチック(悲劇的とも言えますが)な物語だし、オトタチバナヒメを失ったヤマトタケルがもらした嘆息「吾妻はや」(我が妻よ)に起源を持つ「吾妻郡」に現在住んでいるということもあって、何となく親近感があるんですよね~(笑)  もっとも彼の「暴れん坊ぶり」には眉をしかめることもなくはないんですけど・・・・・ ^^;

1つだけ残念だったのは、「空色勾玉」(勾玉三部作の第一作  この「白鳥異伝」はその第二作と位置付けられている)のあらすじをほとんど覚えていないことに気がついちゃったこと・・・・・。  日本神話をベースとしていること、勾玉という同じモチーフが用いられているだけで、時代も変われば物語自体もそれぞれ独立しているので、それに拘る必要はないとは思っているんだけど、やっぱりシリーズ物っていうのはシリーズとして味わって初めてわかることも多いので、それがちょっと残念です。  これはやっぱりもう一度「空色勾玉」から読み直すべきだったかしら・・・・・ ^^;

苦手意識のあった荻原作品だけど、どうやらことこの「勾玉三部作」に関する限りにおいては、結構 KiKi 好みの作品かもしれません。     

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年9月29日 14:04に書いたブログ記事です。

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