薄紅天女 荻原規子

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「勾玉三部作」の最終巻、「薄紅天女」を読了しました。  このシリーズに興味を持ってからここまで思っていた以上に時間がかかってしまいました・・・・・ ^^;  まあ、それもこれも KiKi の浮気性(?)ゆえ・・・・ではあるのですけどね(笑) 

薄紅天女
著:荻原規子 絵:佐竹美保  徳間 Novels Edge

31TH41BQWRL__SL160_.jpeg  (Amazon)

「・・・今、都には天女が近づいている」  安殿皇子(あてのみこ)の口調は熱のこもったものになった。  「私の病も天女に会えば癒される。  苑上(そのえ)も知っているだろう、皇(すめらぎ)に伝わる明玉(あかるたま)の伝説を・・・・」  ・・・兄のいうことを理解しようとつとめながら、苑上は見つめた。  「・・・天女がもうすぐ来る。  ・・・すがすがしい夜明けに、朝焼けの空からわたしのもとに舞い降りてくる。  薄紅の絹をまとい、手に輝く玉を持った、心が洗われるように美しい乙女なのだ。  わたしは、手をさしのべて彼女の勾玉を受け取る。  そのときすべてが癒されるのだよ」  (本裏表紙より転載)

前2作が女性ヒロイン & 女性目線の物語だったのに対し、この物語だけは男目線・・・とまでは言い切れないけれど、勾玉を持つ者が男ということでちょっと毛色が違います。  (まあ、白鳥異伝でも菅流♂が「勾玉を持つ者」という要素を持っていたけれど・・・・ ^^;)  「白鳥異伝」の Review でハーレクインっぽさがちょっと鼻についたと書いたけれど、本作ではその匂いはかなり薄まっていると思います。  それでも KiKi の個人的な感覚からするとやっぱり「女子の作品」っていう感じが強烈で、その「女子感」にはちょっと苦手意識が働いたのも事実です。  「西の善き魔女」でも感じたことだけど、KiKi が荻原作品と相性があんまりよくないのは、この「少女マンガっぽさ」が苦手なことと無関係ではないような気がします。  

まあ、否定的な言葉から始まってしまったこの Review だけど、面白いことは面白かったんですよ。  特にあの時代(平安遷都前)を描いていながらも、蝦夷やら坂東やらといういわゆる辺境を扱っている物語というだけでも嬉しい限りです。  学校時代にはどうしても「中央目線」で歴史を追いかけることになり、権力側に「蛮族とされてしまった側」の生き方・感じ方に想いを馳せるな~んていうことはなかなかできなかった(それは KiKi だけかもしれないけれど)けれど、こういう物語を読むことによって自分と寸分たがわぬ「普通の人々」の生きざまに多くのことを考えさせられます。


ちょっぴり残念だったのは、題材をあまりに多くに求めすぎているきらいがあって、この物語単体ではそれなりにまとまってはいるものの、結果的に阿高(あたか)と苑上(そのえ)のラブストーリー & 成長物語で終わってしまっているあたり・・・・。  せっかく「坂上田村麻呂」やら「藤原薬子」を登場させたわりには彼らの扱いが中途半端だと感じたし、一番気の毒に思ったのは空海です。  彼は何のためにこの物語に登場したのか、KiKi には結局よくわからなかった・・・・・ ^^;  あとがきに荻原さんが書かれている

「無空(むくう; 本作で登場する空海の呼び名)」は、空海が「三教指帰(さんごうしいき)」を執筆した若き日の名乗りだったはずで、これを知っているあたりに、それまでの読書のなごりがあります。

という一文のためだけに登場させたのか?と勘繰りたくなっちゃったぐらい・・・・・(荻原さん、意地悪な読者でごめんなさい) 

苑上はよく練られたキャラだと感じました。  特に彼女が「自分の中にもある闇」に気が付いていくあたりは圧巻でした。  そうなんですよね~、女性っていうのは「自分の中に潜む、存在を認めたくない醜いもの」に気がついて、「それも自分」と受け入れて初めて「一人前の女」になっていくんですよね~。

そうそう、もうひとつ感じたのはこの物語ってある意味「日本版ベルばら」だなぁ・・・・ということでした。  まあ苑上の場合は「男装しなくちゃいけなかった理由」がある程度まではスンナリと受け入れられたんだけど、薬子の場合はちょっと唐突にすぎる感じがしました。  KiKi がイメージするあの時代のしたたかな女性っていうのは、男装して刀を振り回す・・・・な~んていう方便は使わなかったような気がするんですよね~。  もっともそれをこの物語に描写できない事情はわからなくはないんですけどね・・・・・ ^^;

ところで・・・・・

前作まで登場しなかった「明の勾玉」がようやく登場した本編だけど、結局あの5つの勾玉はどこへ行っちゃったんでしょう??  「明の勾玉」は阿高の手から天皇家に渡ったわけだけど、白鳥遺伝で登場した「御統(みすまる)」はどこへ???  あれ??  消失しちゃったんだっけ??  肝心な小道具の行方は覚えていない KiKi です。  ま、それはさておき「明の勾玉」です。  天皇家に伝わるとされる「三種の神器(八咫鏡;やたのかがみ、八尺瓊勾玉;やさかにのまがたま、天叢雲剣;あめのむらくものつるぎ)」の八尺瓊勾玉が「明の勾玉」なんですかねぇ・・・・。  ファンタジーにこういう追求はそぐわないと思いつつも興味があったので「八尺瓊勾玉」でググってみたところ

「瓊」は赤色の玉のことであり、古くは瑪瑙(メノウ)のことである。 (Wikipedia より転載)

とありました。  なるほど~、色はあっているみたいですねぇ(笑)。  なお、これ(↑)を調べている過程で興味深いサイトに出会いました。   今日はこれから、こちらのサイトをじっくり拝見する予定です。

 

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