コーランを知っていますか 阿刀田高

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約2年前、KiKi は阿刀田高さんの「古典に親しもうシリーズ(?)」を連続して読んでみたことがありました。  その時購入してあったものの長らく積読状態だった本を読了しました。  てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

コーランを知っていますか
著:阿刀田高  新潮文庫

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遺産相続から女性の扱い方まで厳格に、でも驚くほど具体的に、イスラム社会を規定する『コーラン』。  日本人には理解しにくいと言われるこの書も、アトーダ流に噛み砕けばすらすら頭に入ります。  神の言葉『コーラン』は、実は後悔しない人生を送るための親父の説教みたいなものなんです。  イスラムとの協調が絶対不可欠な、今だからこそ読みたい『コーラン』の、一番易しい入門書。  (文庫本裏表紙より転載)

前回、アトーダ流「古典に親しもうシリーズ」を読んだ時、既に購入済みだったにも関わらずこの本だけは残してしまったのは偏に「アトーダ流親父ギャグ」にちょっと疲れちゃったからでした。  イマドキの日本人にとってこの手の生真面目原典はあまりにも敷居が高い部分があるのはわかるし、その垣根を取っ払って「まずは知ろうとしなくちゃ始まらないじゃない!」という熱意故の文章であることはわかっていたんだけど、それでも連続して読んでいるとちょっとねぇ・・・・・ ^^;  過去に読んだ「ギリシャ神話」や「ホメロス」、「聖書」あたりは一応英文学を学んだ身にとっては比較的近しい存在だったから、尚更その辟易感が強かった・・・・・というのもあったと思います。

もっとも、この「古典に親しもうシリーズ」の中で KiKi が本当の意味で楽しみにしていたのは既に読了済みの「楽しい古事記」とこの「コーランを知っていますか」の2冊で、いきなりそこに着手するときついかなぁ・・・・ということで馴染みのある「ギリシャ神話」やら「ホメロス」に手を出したといういきさつがあっただけに、この「コーランを知っていますか」は満を持しての登場ということになります。

極東の島国に暮らす日本人にとってもっとも縁の薄い宗教が「イスラム教」なんじゃないかと思います。  まして、あの9.11以来「イスラム原理主義者 ≒ テロリスト」みたいな錯覚めいたものもあって、いかに「敬虔なイスラム教徒は平和を愛する人々です」と言われても、もちろん全員が全員テロリストだとは思わないものの、「イスラム教徒の中にテロ活動に身を投じる人が想像していた以上に多くいる」という先入観みたいなものを払拭するには十分とは言えません。  それでいて肝心要の「イスラム教」のことはほとんど知らない・・・・・ときているのでたちが悪い(苦笑)  正直なところ KiKi は以前から「イスラム教徒にはメッカという聖地があるにも関わらず、どうしてエルサレムに拘るのか?」は理解できていませんでした。  単なる「領地としての欲求なのかなぁ・・・・・」ぐらいにしか思っていませんでした。

宗教っていう奴はある意味で非常に排他的(特に一神教ではその傾向が顕著)な性格を持つのは宿命みたいなもので、まして自分の領分だと思っている土地・民族のど真ん中に他宗教の聖地があるな~んていうのはとんでもないことで、そこを名実ともに領有できれば自分たちの宗派の囲い込みができる あ~んど 他宗教の没落の端緒となる というぐらいの理由かなぁ な~んていう風に手前勝手に思っていたようなところがあります。

KiKi にとってイスラム教の経典「コーラン」の印象は、TVなんかで見たことのあるイスラム圏の国の映像で流れる朝晩の祈りの時間に流れる「コーラン詠唱」の場面のみでした。  何を言っているのかはさっぱりわからないけれど、何とも音楽的なあの詠唱には「レクイエム」を聴く時の、日本のお寺で鳴り響く木魚 & 読経の音を聴く時の、それぞれの個性の違いはあれども共通するあの厳かな雰囲気は身に迫ってきて、同時に「アラビア語っていうのも結構美しい言語みたい・・・・と思わせるには十分なものだと感じていました。  「異国情緒」という言葉を聞いたり使ったりする際に KiKi が真っ先にイメージするのは実はあの「コーランの詠唱」だったりします。

まあ、かくも遠い存在だった「コーラン」ですが、実は過去に KiKi はその原典の和訳を読んでみようと試みたことがありました。  もっとも最初の数ページで挫折したんですけどね ^^;  その時の KiKi のモチベーションとしては「中東世界を理解したかった」わけではなく、「アラビア語に興味を持った」わけでもなく、「石油産業に興味をもった」わけでもなく、ただ偏に「三大宗教の一つとしてかなりの信者数を誇るイスラム教っていうのはどんな宗教だ??」という興味からでした。  でも、最初の数ページで理解できるわけでもなく、結局未だに「イスラム教の何たるか?」を知りません。

今回、この本を読んでみて初めて腑に落ちたのは「イスラム教の神とユダヤ教やキリスト教の神は基本的には同じもの(要するに唯一の絶対神)であり、イスラム教の始祖とされるムハンマドはモーセ、アブラハム、イエスといった預言者の一人であり、それらの先輩預言者に成し遂げられなかった『唯一の絶対神』に対する信仰を広めるために最後に遣わされた者である」というものだということでした。  中世以降現代に至る世界情勢と照らし合わせた際に感じる、「ユダヤ教」「キリスト教」との確執を思えば決して仲が良いとは思えない「イスラム教」だけど、それでも敬虔なイスラム教徒曰く

「異教徒との結婚は原則ダメ。(これはわからないじゃない。)  でも、ユダヤ教徒やキリスト教徒なら許される。  多神教を信じる者は絶対ダメ。  仏教は人間(お釈迦様)が考えたものだから宗教ではなく哲学。  イスラム教は『神の言葉』で、こういうものこそが宗教。」

とのこと。  なるほど~。  よくわかんないけど、何となく言わんとすることはわからないじゃない・・・・。  まあ、KiKi なんかの感覚だと「ムハンマドが預言者ならお釈迦様だって預言者と考えればいいんじゃない??」と思わないでもないんだけど、やっぱり「唯一無二の絶対的な神」という形而上的な存在を肯定するかしないか?がポイントらしい・・・・・。

天地創造、アダムとイブ、モーセの出エジプト、ダビデ王、イエスの誕生、最後の審判といった「旧約・新約聖書物語」のほとんどはイスラム教でも共通しており、言ってみればキリスト教との大きな違いは「イエスは神の子ではなく単なる預言者(しかも神の御意志を貫徹することができなかった)の1人に過ぎず、三位一体な~んていうことは唯一絶対の神を前にしておこがましいにもほどがあり、まして単なる預言者の1人であるイエスが復活するな~んていうのは嘘っぱち」ということのようです。  なるほど~、そういう宗教だとするとひょっとすると KiKi にとっては「キリスト教」よりは「イスラム教」の方がまだ身近に感じられる宗教なのかもしれません。  何せ、キリスト教の教義の中でもっとも KiKi が腑に落ちないのがあの「復活」という考え方なのですから・・・・・。

まあ、ユダヤ教にしろ、イスラム教にしろ、砂漠地帯で生まれた宗教の場合、「曖昧さ」は命取りにもなりかねず、そこから発生する「絶対神」、「善 vs. 悪」という考え方は理解できないわけじゃないけれど、やはり「山河織りなす自然景勝」に恵まれた日本人にはなかなか馴染めない世界観だとは思うんですけどね。

ユダヤ教では当然のことながら「ユダヤ人」に対する選民思想が色濃くあるわけだけど、イスラム教では「アラビア語で語られてこそのコーラン」というあたりに「アラビア人」に対する選民思想があるのも極東島国の国民としてはどうもスッキリとは受け入れがたい・・・・・。  まあ、彼らにしてみれば「唯一絶対の神を信じられない堕落した、最後の審判では裁かれる人なんだから仕方ないよね。」の一言で片づけられちゃいそうな感じですけど・・・・・ ^^;

同時にどうしても「暴力」と結び付けて考えやすい「イスラム教」というイメージを払拭するためには「ムハンマド」のやってきたことはちょっといただけないかなぁ・・・・・と。  時代・情勢を考えると「必要性」という意味では理解できないわけじゃないけれど、それでもやっぱり結構「暴力的」だったんだよなぁ・・・・・と。  

以前から「一神教」っていうヤツがどうにもこうにも腑に落ちなかった KiKi なんだけど、この本を読んでいて強く感じたのは「ひょっとしたらイスラム教っていうヤツがもっとも純粋な一神教の姿なのかもしれない」ということでした。  「肯定する・否定する」はともかくとして・・・・・・。  

因みにこの本は「コーランを知っていますか」というタイトルではあるものの、あくまでも阿刀田氏のエッセイであるということを著者は文中で何度も繰り返しています。  「聖典」と「エッセイ」というのはそんなに馴染みやすいものではないと思うんだけど、その割には「知っていますか」という大上段に構えたタイトルなのが不思議と言えば不思議です。  まあ、KiKi のような人間にとっては「へぇ、そういうことだったんだ!」という気付きを与えてくれた本であることは間違いないけれど、決してこの本を読んだからと言って「コーランを知った」ことにはなりそうもないし、まして宗教っていうヤツは聞きかじりで「知ったつもり」になるような軽いものではないんだろうなと思いました。      

    

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年10月 3日 23:45に書いたブログ記事です。

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