かもとりごんべい ゆかいな昔話50選  稲田和子

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RDGに触発されて読み始めた岩波少年文庫の日本昔話シリーズ。  「宇治拾遺ものがたり」に引き続き読了したのはこちらです。

かもとりごんべい ゆかいな昔話50選
編:稲田和子 絵:宮田奈穂  岩波少年文庫

513WPTRGE5L._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

語りつがれた日本の昔話の中から、笑いを誘うおかしな話を選りすぐりました。  「仁王門のはじまり」、「ねずみ経」、「とろかし草」、「うばすて山」など、方言の味わいを残したリズミカルな楽しい50編。  (文庫本裏表紙より転載)

これは楽しい本ですね~ ^o^  昔話の典型的な例にもれず、どのお話もとっても短いんだけど、言葉が生きていて、いかにも「口承文学」っていう感じがして、ちょっと寒さが厳しくなってきた今の季節にはぴったりです。  今回 KiKi はたまたま薪ストーブの前に座ってこの本を読み進めていたんだけど、こういうお話は囲炉裏端こそ似つかわしい(笑)  しかもこの物語群の楽しい所は、採話したそれぞれの地方の方言で語られているところなんですよね~。  火の前でどことなく間延び感のある方言で語られる昔話はそれだけで心がほっこりしてくるような気がしませんか?

今回、KiKi は自分のためにこの本を黙読したわけだけど、思わず何度も音読したくなる衝動に駆られました。  特にリズミカルな語り口で綴られている部分なんかは黙読するのは惜しくなっちゃったぐらい!  それぞれの物語の末尾にどこの民話なのかもカッコ書きで付されていて、その地方の風土(「雪が多い」とか「海がある」とか「寒冷地」とか「温暖な気候」とか、とか、とか)にも思いを馳せながら読むと物語の味わい深さも一入です。


この本に含まれている物語も半分以上は初めて聞く(というより読む?)物語ばかりだったけれど、表題作の「かもとりごんべい」は子供時代に KiKi も絵本(だったと思う)でよく知っている物語・・・・・だったはずでした。  ところが、この本の「かもとりごんべい」は KiKi の記憶にある「かもとりごんべい」とは似て非なる物語で正直なところ一瞬「へ??」となってしまいました。  ごんべいさんがかもに飛ばされるところまではまあほぼ同じなんだけど、そこから先がかなり違うんですよね~。  因みにこの本に収録されている「かもとりごんべい」は福島県で採話したものとのこと。  つまり福島県と静岡県(もしくは絵本の出版社があった東京都)では同じ題材のお話でも展開のさせ方がちょっと異なっていたのかもしれません。  これが口承文学の楽しいところです。

又、読んでいてとても不思議だったのは、物語のうちのいくつかがアンドルー・ラングの編纂した「○○色の童話集」の中の1編とか、グリム兄弟が編纂した「グリム童話集」の中の1編とか、アスビョルンセン & モーが編纂した「ノルウェーの童話集」の中の1編とか、「イソップ物語」の中の1編なんかととても似通っていて、デ・ジャ・ヴ感があるところです。  極東の日本のとある地方で語り継がれている物語がはるか遠くのヨーロッパ大陸で語り継がれていた民話とそっくりだなんて不思議 & 素敵なこと・・・・であるのと同時に、肌の色や話す言葉が違っても原始的な部分で人間はさほど大きな変わりがあるわけではないことを証明しているような気がしました。

どのお話もとても楽しかったんだけど、かなり考えさせられたのは「順ぐり食い」という物語です。  簡単に言ってしまうと食物連鎖のお話なんだけど、とある猟師が山でまずミミズを見つけ、するとそのミミズが彼の目の前でカエルに食べられ、そのうちそのカエルが今度はヘビに食べられ、次はヘビが猪に食べられちゃいます。  さっきまで目の前で生きていたものがどんどん別の生き物に食べられていくのを目にした猟師は、そもそも山にはイノシシ狩りに来ていたんだけど、「あの猪を撃ったら次は自分が何者かに食べられちゃうんじゃないか」と感じて、猟をするのを断念した・・・・というお話です。

彼の生業が猟師である以上、たまたまそういうシーンを目にしたからと言ってその後も猟(というより殺生)をやめた・・・・というのはちょっと行き過ぎだとは思うけれど、現代のような飽食の時代に「食」について、「他の生き物の命をいただく」という責任の重さについて、深く考えるためにはよいお話なんじゃないかしら・・・・。  食物連鎖の頂点にいるのは人間であると、深く考えることなしに手前勝手に思い込んでいる人には是非読んで頂きたい物語だと感じました。


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年11月24日 10:46に書いたブログ記事です。

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