風神秘抄 荻原規子  

| コメント(0) | トラックバック(0)

荻原作品とはさほど相性がよくない・・・・・と自覚している KiKi ですが、それでもやっぱり手を出さずにはいられないあたり、ひょっとすると「イヤよイヤよも好きのうち」っていうことなんでしょうか?(笑)  勾玉三部作を読了したあたりで、「これはもう荻原作品を読むのはやめておこうか?」とさえ思ったんだけど、図書館で別の本を見つければ結局は手を出しているあたり、我ながらその原動力がどこにあるのかよくわかりません ^^;  ま、いずれにしろその図書館本を読了しました。

風神秘抄
著:荻原規子  徳間書店

51vLQ2xnmNL._SX230_.jpg  (Amazon)

坂東武者の家に生まれた十六歳の草十郎は、腕は立つものの人とまじわることが苦手で、一人野山で笛を吹くことが多かった。  平安末期、平治の乱に源氏方として加わり、源氏の御曹司、義平を将として慕ったのもつかの間、敗走し京から落ち延びる途中で、草十郎は義平の弟、幼い源頼朝を助けて、一行から脱落する。  そして草十郎が再び京に足を踏み入れた時には、義平は、獄門に首をさらされていた。  絶望したそのとき、草十郎は、六条河原で死者の魂鎮めの舞を舞う少女、糸世に目を奪われる。  彼女の舞には、不思議な力があった。  引き寄せられるように、自分も笛を吹き始める草十郎。  舞と笛は初めて出会い、光り輝く花吹雪がそそぎ、二人は互いに惹かれあう。  だが、その場に、死者の魂を送り生者の運命をも変えうる強大な力が生じたことを、真に理解したのは糸世だけだった。  ともに生きられる道をさぐる草十郎と糸世。  二人の特異な力に気づき、自分の寿命を延ばすために利用しようとする時の上皇後白河。  一方草十郎は、自分には笛の力だけでなく、「鳥の王」と言葉を交わすことができる異能が備わっていることに気づく...。  平安末期を舞台に、特異な芸能の力を持つ少年と少女の恋を描く、人気作家の最新作。  (単行本扉より転載)

拭いきれない苦手意識を持ちつつもこの作品に興味をもった理由。  その1つはこの物語が扱っている時代に対する興味というのがあるのは否めないだろうなぁと思います。  思い起こせば KiKi が日本史に興味を持つようになったきっかけの1つにはNHK の大河ドラマがあり、その大河ドラマの中で毎回欠かさず見始めた最初の番組が「新・平家物語」でした。  そしてあの番組のナレーションで初めて聞いた

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理を表す
おごれる人も久しからず 唯春の夜の夢のごとし
猛き者も遂にはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ

という「平家物語」の出だしの文言になぜか強烈に惹かれ、当時は小学生だったにも関わらず必死になってこの呪文のような文言を覚え、ついでに「口語訳 平家物語」な~んていう本を読み耽ったことを今でも覚えています。  余談ではあるけれど、これとほぼ時期を同じくして古典落語にもちょっぴり興味を持って

寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ
海砂利水魚の 水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処 やぶら小路の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン
シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの
長久命の長助

な~んていうこれまたよくわからない呪文のような言葉を必死になって覚えました。  どうやら当時の KiKi はこの手の現代では呪文にしか聞こえないような日本語の音に強烈に惹かれていたみたい(笑)

ま、それはさておき、保元・平治の乱と言えばまさにこの大河ドラマ「新・平家物語」の舞台となった時代です。  その時代に題材を求めたファンタジーとなれば、これは素通りするのが無理と言うものです。  とは言いつつも作家さんとの相性と言う問題もあるわけだから読み出しは正直なところ、かなりおっかなびっくりでした。

そんな「おっかなびっくり」の読み出しではあったものの、最初の数ページであっという間にこの物語の世界観にどっぷりと浸っていました。  これまでの荻原作品ではかなり強烈に感じ、KiKi の苦手意識を醸造してくれちゃっていたあの「少女マンガチックさ」がこの作品ではほとんど気になりませんでした。  そして、彼女が描く精緻な情景描写が、さながら「平安絵巻」のような、又は「曼荼羅絵図」のような美しさを思い起こさせ、耽美的な感動さえ呼び起こしてくれちゃったのです。  うん、うん、この作品は良い!!

物語の中で出てくる「曼荼羅曼殊(まんだらまんじゅ)」というものがどういうものなのかは実際のところよくわからないんだけど(^^;)、感覚の世界でそれを観たような気分になった・・・・・とでも言いましょうか。

この物語、本来の主人公は人間である草十郎と糸世(いとせ)なんだろうけれど、個人的にはカラスの「鳥彦王」がツボでした。  現代社会ではどちらかというと毛嫌いされがちなカラスだけど、この物語を読了した今、カラスを見ると何だか「神聖さ」を感じちゃうような気がしないでもない・・・・・ ^^;  と、同時に日本人にとってカラスって元々はどういう存在だったのか?が気になり始めてきました。  で、ググってみたところこ~んなHP に辿りつきました。

熊野のヤタガラス 

熊野の説話 神武東征、ヤタガラスの導き

なるほど~。  こうしてみると、勾玉三部作やこの作品にカラスが出てくるのは荻原女史のオリジナルというよりは、日本古来の伝承にその大元はあったみたいですねぇ。  この物語の舞台も熊野と縁がないわけじゃないし・・・・。  

それにしても・・・・・・

鳥が悲しむことに決めたら、何日ももたない。  すぐに死ぬ。  つれあいに死なれて、悲しんで死ぬやつはいるよ。  死なないためには、忘れなければいけない。  けものもたぶん同じことをするはずだよ。  でも、人間だけは悲しいことを忘れないのに、死なない。  泣くことを知っているからだ。  by 鳥彦王

これは意味深だなぁ。  意味深であるのと同時に妙な説得力があるように感じられ、思わず何回も口の中で繰り返してしまいました。  「でも、そうなると出産時に涙を流す亀はどうなんだろう??」 とか  「「涙を流す」ということと、「泣く」ということは違うのかもしれないなぁ・・・・・」 な~んていうことをとりとめもなく考えてしまいました。

苦手意識の強い荻原作品の中で、この作品は KiKi にとってはかなりのツボでした。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://poco-a-poco.chu.jp/mt/mt-tb.cgi/1030

コメントする

2015年2月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28

Current Moon

CURRENT MOON

東京のお天気


山小舎のお天気


Booklog



ブクログ

アーカイブ

ウェブページ

Powered by Movable Type 4.261

TrackbackPeople

クラシック・ピープルの Trackback People Site


チェロ ラヴァーズの Trackback People Site


Piano~ぴあの Trackback People Site


ピアノオススメ教本の Trackback People Site


ピアノ教室の Trackback People Site


Book Love Peopleの Trackback People Site


本好きPeople・ぴーぷるの Trackback People Site


今日読んだ本の Trackback People Site


ファンタジーが好き♪の Trackback People Site


この絵本がすごい!の Tackback People Site


児童書大好き♪の Trackback People Site


ハヤカワepi文庫の Trackback People Site


岩波少年文庫応援団の Trackback People Site


薪ストーブの Trackback People Site


週末は田舎暮らしの Trackback People Site


野菜育てPeopleの Trackback People Site


ガーデニングの Trackback People Site


パッチワークキルトの Trackback People Site


あなたの訪問は?


日めくりカレンダー


Real Time News


カテゴリ

ノルンはいくつ?

本が好き!


読書メーター

KiKiさんの読書メーター
KiKiさんの読書メーター

最近読んだ本

KiKiの最近読んだ本

今読んでいる本

KiKiの今読んでる本

読了目標





今やってるゲーム

KiKiの今やってるゲーム

このブログ記事について

このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年11月 8日 09:43に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「今年の紅葉」です。

次のブログ記事は「山小舎の紅葉」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

高速運賃





Edita

ブロガー(ブログ)交流空間 エディタコミュニティ

名言黒板


作家別タグ