樹上のゆりかご 荻原規子

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苦手、苦手と言いつつも、結局出版されている荻原作品にはほとんど手を出している KiKi。  やはり文章が読みやすく美しいということ、ファンタジーでありながら題材を「和」に求めているというあたりが気になるポイントなんだろうと思います。  もっとも今日ご紹介する読了本はその「和」の要素はかなり薄れ、いかにもいかにも学園ものだったのがちょっと意外だったりもしたのですが・・・・。  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

樹上のゆりかご
著:荻原規子  理論社

519XAMEV4BL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

なりゆきでかかわることになった生徒会執行部の活動。  合唱祭、演劇コンクールに体育祭、そして、あの事件――。  高校二年の上田ひろみが出会った「名前のない顔のないもの」とは?  (Amazon より転載)

ものすご~く正直に言ってしまうと、この物語のテーマというか、「ゆりかご」が何を象徴し、「名前のない顔のないもの」が何だったのか?は最後までよくわかりませんでした。  この物語を読んでいてひたすら感じていたのは、KiKi 自身の忘れかけていた高校時代の思い出だけ・・・・だったような気がします。

この物語の舞台となる高校と KiKi が卒業した高校は決して同じ学校ではないけれど、そこかしこに「ああ、これは○○高校; KiKi が卒業した高校 でいう所の、あの行事と同じようなものだろうなぁ・・・・」と関連付けができちゃうところが面白くもあり不思議でもあり・・・・という感じでしょうか??  ひょっとしたら旧制中学に母体を持つ高校(しかも進学校)っていうやつはどれもこれも似たり寄ったりの空気を持ち、文化を継承していたのかなぁ・・・・な~んていうことを感じ、そこにある種の不気味さみたいなものも感じました。  何ていえばいいのかわからないけれど、誤解を恐れず思いっきり端的に表現してしまうと、あの空気・文化は言ってみれば洗脳と同じだったのかもしれない・・・・・と。


KiKi が卒業した高校も、言ってみればこの物語の辰川高校と同じように旧制中学から高校になった学校で、元々は男子高校だった学校に少しずつ女子が入学している学校でした。  だから中学まで男女比がほぼ半々だった学校から進学した KiKi にとって最初のクラスルームで教室の座席を占める約4分の1しかいない女子生徒の姿にかなり唖然とした(最初からわかってはいたんだけど、目で確認した途端にある種の息苦しさ、不自然さを感じた)し、学校全体に漂う「男臭さ」みたいなものに辟易としたものでした。  

そして学校行事全体に暗黙の了解の如く浸透している「バンカラ・カラー」にも・・・・・。  もっとも KiKi が卒業した学校ではそんな希少な女子学生に対して掃除からさえも免除されるというようなを甘やかし風土はなくて(同学年の男子に言わせれば、「そんなことはない!」と抗弁されちゃうかもしれないけれど ^^;)、そもそも女扱いはしてくれなかったし、入学早々行われた「応援団の特訓」の際には怖~い応援団のお兄さんたちに「○○高校の女は女じゃない!」などと言われ、この物語の登場人物の一人である女生徒同様、

「まともな感受性を持っているなら、居場所がないと感じて当然」

「ここには男子のメソッドしか成立していないのだもの」

「彼らは何かを必死に守っているの。  辰川高校は、全体で何ものかを守っている・・・・・それに加担している点では、男子女子の区別はないものだけど、ときに女子ははじかれるわけなのよ。」

という感覚は、かなり「我が事」として同感できるものではあったのですが・・・・^^;  もっとも KiKi の場合は当時はその発言をしている女生徒と同じほどには「女」ではなかったから、「排除されている」とまでは感じなかったけれど・・・・・。  でもね、つらつらと思い出してみると、あの学校にも「女子○長」というような存在はいなかったんですよね~。  それを「男女不平等」とあげつらう人もいなくて、要するに作者が登場人物に語らせている「平均偏差値的に男子よりも高い、頭の良い女子生徒は、いろいろと放っておく」という風土そのものがあったんですよね~。  だから、学校全体が醸し出している「バンカラ・カラー」もそこに所属している以上否定はしない(要するに余計な波風は立てない)けれど、やっぱり KiKi 自身も「ひとごと」として自分の中で切り捨てていた部分があったような気がしないでもありません。

でもね、社会に出て1~2年目ぐらいの頃に感じたことがあるんですよ。  あの時代があったからこそ、KiKi は「男社会」の会社での振る舞い方がわかっているような気がしたことが・・・・。  KiKi が社会に出たばかりの頃はまだまだ会社社会というのは「男尊女卑」だったし、KiKi 自身は「うちの課の女の子」という位置づけで、それこそちょっと前の時代には女性の権利を声高に叫ぶ人たちが諸悪の根源のようにあげつらっていた「お茶くみ、雑巾がけ」をニコニコとするのが当たり前・・・・みたいな時代だったけれど、そういう気風の中でそれを淡々とこなし、課内会議の席にさえ同席させてもらえない(その会議のお茶の面倒と資料のコピーだけは仕事だったけれど)雰囲気の中で自然に呼吸しながら会議の内容は把握するという動作が難なくできている自分を発見した際に・・・・・。

今回、この本を読んだときに我ながら合点がいったのは、KiKi 自身はあの時代に「男子のメソッド」なるものを体感し、そのメソッドの中で「女を主張せず、かと言って隷属もしないメソッド」を自分なりに確立していたから、あの会社でも息詰まることなく生きていられたんだなぁ・・・・ということでした。

あれから随分時が流れ、今の時代にあの懐かし(?)の母校がどんな風に変貌しているのか、これまで KiKi は全く興味を持たずに来たんだけど、相も変わらず、あの「バンカラモードの行事の数々」が行われているのかしら??  そんなことを考えさせられる読書体験でした。  でも、考えてみるとあの学校を卒業して以来、別に嫌いだったわけじゃないけれど懐かしさみたいなものを感じたこともなく、言ってみれば自分の人生の中の通過点というほどの意識しか持ってこなかった(だから同窓会に出席したことさえない ^^;)KiKi があの学校のことを思い出したという意味では、意義のある読書だったのかもしれません。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年11月19日 23:43に書いたブログ記事です。

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