宇治拾遺ものがたり 川端善明

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たまたま今、RDG(レッド・データガール)を4巻まで読了した・・・・ということで、そこに出てくる「修験者」とか「陰陽師」なんかとあながち無関係とは言えないこの本を読んでみました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

宇治拾遺ものがたり
編:川端善明  岩波少年文庫

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「こぶとり」「大どろぼうの大太郎」「腰折れ雀」「うんぷてんぷふりわけ双六」をはじめ、鬼や狐の活躍する話、美しい話、こわい話が集められた鎌倉時代の説話集から、昔も今も変わらない人の心のふしぎさを描いた、小さな物語47編。  (文庫本裏表紙より転載)

一応、このブログの「読書カテゴリー」は「岩波少年文庫読破企画」から発端して書き連ね始めたといういきさつがあるため、常に岩波少年文庫で未だにエントリーを起こしていない作品が気になり続けている KiKi。  今回はたまたま、「RDG」を4巻まで読了し、「第5巻」が図書館に入荷するまでの待ち時間というタイミングだったので、ちょっぴり日本の古典をベースにした作品で未読作品を読んでみたい衝動にかられました。  そこでまず手にしたのがこちらの「宇治拾遺ものがたり」です。  

いやはや、こうやって「少年文庫」とはいえ日本の古典を読んでみると、いかに KiKi が「絵本 or おとぎ話」以来、母国日本の民話から離れていたのかを改めて実感させられますねぇ。  同時にここに収められている47編の物語のうち、半分以上は生まれてこの方読んだこともない物語ばかりで、正直なところ「日本人としてこれでよかったんだろうか??」と思わずにはいられなかったりもします ^^;  特に KiKi の場合は国語の授業や古文の授業で勉強した物語以外は、ホント、おとぎ話でしか日本の民話と接してこなかったからなぁ・・・・・。   

特に宗教心の薄かった(今も?) KiKi にとって仏教やら神道やらをベースにした物語は説教くさかったりすることもあって、本当の意味で「お子ちゃま」だった時代はともかくとして、ある程度自意識が目覚めてからは「抹香臭いお話」とばかりに敬遠していたようなところがあります。  お坊さんやら聖やら稚児さんやらが出てくると、それだけで「ああ、その手のお話ね・・・・」と切り捨てていたとでも言いましょうか・・・・。  でもね、同じように説教くさいはずの「メルヒェン」とか「聖書をベースにした物語」とかに関しては「説教くさい」とは感じつつもその後何年間もそれなりに親しんだのは何でだったんだろう???  今回、この物語を読みながらそんなことをつらつらと考えていました。

でね、その原因として思い当たる理由はいくつかあって、

  1. KiKi がクラシック音楽と長年接してきたため、音楽の題材になっている物語や、「教会音楽」に興味があったため
  2. KiKi が西洋美術好きだったため、多くの画題となっている物語に興味があったため
  3. 一神教がわかりやすかったため(要するに日本の神様や仏様のようにあんまり大勢いると誰が誰だかわからなくなっちゃう ^^;  これは煎じ詰めるとギリシャ神話も同じなんだけど、ギリシャ神話の神様の名前の方が日本の神様や仏様の名前よりカタカナ表記 & 短いため覚えやすかった)

っていうことのような気がします。  でもね、今、この年齢になってみると、普通の生活をしている中で KiKi にとって「古き良き日本の倫理観」を体感させてくれるのは実はこういう昔話の世界にしかなかったりもすることに気が付いちゃうんですよね~。

「鬼」とか「怨霊」とか、現代科学では「非現実的」と見なされる多くの不思議な生き物(というよりは魑魅魍魎)が跋扈する世界。  これは日本の自然そのもので、純朴な人々がキツネやタヌキに化かされた・・・・と信じられていた時代。  そういう教えの中で古き良き日本人は自然との付き合い方(征服の仕方ではなく、距離の取り方・・・とでも言いましょうか)を代々言い伝えていたんだなぁ・・・・と改めて感じました。  あれ??  そうやって考えてみると KiKi が日本の民話からはなれていったのは上で列挙したような KiKi 固有の事情だけだったんだろうか??と疑問符が頭をかけめぐります。

そう言えば以前、こんな本を読んだことが思い出されるんですよね。  この本の Review でも列挙したことなんだけど、KiKi が日本の民話から離れていった理由はこの本で書かれていた「日本人はなぜキツネにだまされなくなったか?」のポイントがまさに符号するのかもしれません。  曰く、

  1. 高度成長期(経済成長)に人間が「経済的動物」に変貌し、「経済的価値があらゆるものに優先する価値になった」ことにより、かつては日本人が持っていた「非経済的なもの(≒自然の生命・神)に包まれて自分たちは生命を維持しているという感覚を失った。
  2. 科学的に説明できないものはすべて誤りという風潮が広がり、科学的にとらえることを進歩的態度とみなす精神がひろがり、結果として、科学では捉えることのできない世界を掴むことのできない人間が増えた。
  3. 1960年代から情報・コミュニケーションのツールが電話やTV、漫画雑誌を含むいわゆる「マスコミ」経由が主軸となり、村社会では慣例的だった「農業暦」をはじめとする自然からの情報取得・自分の中での選択・咀嚼というプロセスが減り、自分の周りにいる人を経由しての情報伝達が減ることにより、意思疎通も疎遠になりがちになり、伝言ゲームにありがちな「話が変わる(≒伝える人なりの脚色)」ことはなくなり、よきにつけ悪しきにつけ、与えられた情報を事実として受け取り、その感想のみを感じ、自分なりに捉えなおすというプロセスが衰退した。
  4. 受験教育化することにより学校教育が偏差値をあげるための合理主義に支配されるようになり、必ず「正解」があるような教育を人々が求めるようになったことにより、「正解」も「誤り」もなく成立されていた「知」が弱体化していった。
  5. 自然の中に己が帰りたい祈りの世界を見なくなり、人の自然観・死生観が変わった。
  6. 元来、人間をだますキツネは普通のキツネではなく、霊力を身につけた老獪なキツネだったが、そんなキツネが生息する環境がなくなり(森が人工林になったことや、焼畑が行なわれなくなったこと等々)、更には養殖狐(野性の能力を低下させ、霊力のない人工化されたキツネ)も放たれて、人間をだます老キツネそのものが棲息できなくなった。

この説に沿って考えてみると、改めて、なるほど、そうだったかもしれない・・・・と思い至るような気がしないでもない(苦笑)  そしてその延長線上に人間社会における絶滅危惧種(レッド・データ)が存在するような気がしないでもない・・・・・。

せっかくの機会なので、この後 「今昔ものがたり」、「おとぎ草子」、「わらしべ長者」、「かもとりごんべい」といったあたり(すべて岩波少年文庫に収録されている)を読んで、このあたりについてあれこれ考えてみたいなぁと思っています。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年11月21日 16:12に書いたブログ記事です。

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