青矢号 おもちゃの夜行列車 G.ロダーリ

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先日読了した「チポリーノの冒険」がかなり気に入り、ついでにこの作品の作家さんにも興味をもった KiKi。  せっかくのチャンスなので岩波少年文庫に収録されているこちらも読んでみました。

青矢号 おもちゃの夜行列車
著:G.ロダーリ 訳:関口英子  岩波少年文庫

51bi-faRjOL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

年に一度、子どもたちがプレゼントを心まちにしている夜のこと。  ショーウィンドーにならぶおもちゃたちは一大決心、みんなで青矢号にのりこみ、お店をぬけだします。  めざすは、まずしいフランチェスコの家!  ゆかいで感動的な大冒険。  (文庫本裏表紙より転載)

イタリアっていう国に関しては、「ローマ帝国」と「ルネッサンス」とぐらいにしか興味がなかった KiKi なのでかの国の文化風習っていうヤツにはとんと疎かったりするのですが、かの国のいわゆるクリスマス・イブに該当するイベント(?)が1月6日のエピファニー祭り(公現祭)というお祭りで、トナカイに乗ったサンタさんではなく、箒に乗った魔女ベファーナさんがプレゼントを配って歩くという KiKi にとってはおニューの情報にまずはびっくり!!でした。  そして、そんな魔女と同じ名前のベファーナさんというおばあさんがいわゆるおもちゃ屋さんを営んでいて(と言いつつも彼女もやっぱり箒に乗って配って歩いているから「現代的な魔女の末裔」っていうことかもね 笑)、商売である以上無料奉仕っていうわけにはいかなくて、誰もがプレゼントをもらえるわけではない・・・・というところから物語が始まります。

まあ訳者の「まえがき」によれば、この魔女ベファーナさん。  ご先祖様(?)の方も誰にでもプレゼントをあげていたわけじゃなくて、「いい子にはプレゼント(どうやら昔はお菓子だったみたい)、悪い子には炭」をあげていたらしいので、誰もがプレゼントをもらえるわけではないのはこの物語のベファーナさんに限ったことではなかったみたいなんですけどね。  で、著者のロダーリは言ってみれば「子供はみんないい子。  差別するのはよくない。」という考え方を持っていらした方のようで、「いい子、悪い子」という区分そのものに反対だったみたいなんだけど、だからと言って「悪い子でもOKよ」というような教育ママが目を吊り上げちゃいそうなお話はさすがに書くことができなかったため(?)か、設定を「経済的に余裕のある家の子、貧しい家の子」という対立軸を設定してこの物語を書いたよう(← というのは KiKi の勝手な想像ですけど)ですねぇ。

  

ま、子供を区別するかどうか?とかいい子とはどんな子?とか、そういう七面倒くさい話はちょっと脇に置いておいて、この物語では家が貧しいがゆえにプレゼントをもらうことができなかったフランチェスコという男の子が登場して幕が開きます。  貧しいフランチェスコが勇気を振り絞ってベファーナさんのお店に入り「どうして自分はプレゼントをもらえないのか?」と尋ねたり、子供らしい哀願するような眼差しでショーウインドーに張り付きおもちゃたちを眺めたり、現実の厳しさに涙を流すのを見てショーウィンドーに飾られたおもちゃ全部がもらい泣きをしてしまう様子等々は、一気に感情移入させられちゃって、おもちゃたちが申し合わせておもちゃ屋さんを脱走してフランチェスコの家を目指す相談を始めるな~んていうナンセンス極まりないプロットにも目いっぱいの説得力が漂っちゃうように感じられる筆力の素晴らしい事!!

そしてここで登場するひとつひとつのおもちゃが、いいんですよ~。  イマドキの小学生あたりだったら見向きもしないかもしれないレトロ感いっぱいのおもちゃばかりなんだけど、KiKi の子供時代には王道だったおもちゃの数々。  ぬいぐるみもあれば、模型飛行機もある。  物語のタイトルになっている「青矢号」はいわゆる鉄道模型(しかも駅長さんやら機関士やら車掌付き)だし、彼らがベファーナさんちを脱走する際に土木工事に使われるのはブロック模型。  大砲一門を備えた軍隊(将軍付き)模型もあれば、インディアン一族の模型もありと想像するだけでもワクワクするようなおもちゃばかりなんですよね~。  液晶画面の中でピコピコ動く昨今のおもちゃも決して嫌いじゃないけれど、こういう「ごっこ遊び」ができるおもちゃってやっぱり夢があっていい♪

彼らの脱走劇は決して順風満帆というわけにはいかなくて、結構スリルもあるし、イタリアって地中海性気候だから温かいようなイメージが強いけど、季節が季節なだけに自然も厳しくて、おもちゃたちが右往左往しながらもあのフランチェスコ君の家を目指して頑張っている姿には思わず応援したくなっちゃうこと請け合いです。  でもね・・・・・・  一直線にフランチェスコ君の家を目指していたはずのおもちゃたちが、「フランチェスコ君と同じような苦しい人たち」の存在を認識して、1人1人、次々と「自分の行くべき場所」を選択していくのがこれまた深い。  

と、同時にロダーリさんが生きた時代のイタリアが決して裕福な国ではなかったことを彷彿とさせ、ここでも又ホロリ・・・・・。  

フランチェスコ君自身にもいろいろ事件が発生したりしていて、ハラハラドキドキしながら先を読み進めることができる、とっても素敵な物語でした。  クリスマス・シーズンの読み物という位置づけでこの時期に読んだわけじゃなかったのに、タイミングもバッチリで何だか気持ちが豊かになった読後感に大満足b-hato4-b.gif でした。  こんな素敵な物語には子供の頃に出会いたかったのは事実だけど、この年齢であってさえも出会うことができたこと、知らないまま過ごすことにならなかったことを誰かに感謝したいぐらい!!です。  感謝の相手はやっぱり「チポリーノ」に導いてくれた宮崎さんになるのかなぁ(笑)  


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年12月19日 10:33に書いたブログ記事です。

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