猫とともに去りぬ G.ロダーリ

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以前から気になっていて、細々とながら・・・・も集め始めていた「光文社古典新訳文庫」。  たまたま今回岩波少年文庫に収録されていた G.ロダーリ作品を読了したということもあり、KiKi の本棚の奥の奥でほこりを被っていたこちらを引っ張り出してみました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

猫とともに去りぬ
著:G.ロダーリ 訳:関口英子  光文社古典新訳文庫

51Qx4RrB1aL._SX230_.jpg  (Amazon)

魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家。  ピアノを武器にするカウボーイ。  ピサの斜塔を略奪しようとした宇宙人。  捨てられた容器が家々を占拠するお話...。  現代社会への痛烈なアイロニーを織り込んだ、ユーモアあふれる知的ファンタジー短編集。  (文庫本裏表紙より転載)

ああ、やっぱりロダーニさんの作品は好きだなぁ・・・・。  この年齢になるまで出会えなかったのがホント残念だけど、逆に今の KiKi だから彼の作品の良さがわかるという部分も多いような気がします。  どのお話も言ってみればナンセンスの塊なんだけど、そこに風刺とか皮肉が含まれているので思わずクスクス笑いながら読めちゃうんですよね~。  短編集だから1編1編が短くて、気軽に読めちゃうわりにはどの1作にもピリリと利いた刺激(毒?)がある。  こういうユーモアセンス、KiKi は憧れちゃうんだよな~。

どの1編もとっても気に入って面白かったんだけど、特に KiKi にとってお気に入りだったのは「ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのが一番だ」 「箱入りの世界」 「ベファーナ論」 の3作です。


「ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのが一番だ」は裏表紙にあった「魚になってヴェネツィアを水没の危機から救う一家」というヤツなんだけど、ラグーナの水位がどんどんあがってきていてヴェネツィアの町を呑みこんでしまう・・・・という恐ろしい事態になりそうだと考えたある一家が、助かるためには魚になるのが一番とばかりに魚になっちゃうというお話です。  ま、言ってみれば自分たちが生き延びるために魚になったわけだけど、いざ魚になってラグーナを泳ぎ回ってみたら人間だった時にはわからなかったラグーナの水位があがる原因を見つけちゃうんです。  その原因は人間がラグーナにバンバン捨てていた「お役所の書類の山」が水流を遮っていたからなんです。  何だか書類ばっかり多い現代社会に対する痛烈な皮肉だと思いません?? 

「箱入りの世界」は同じく裏表紙にあった「捨てられた容器が家々を占拠するお話...。」なんだけど、これって以前 KiKi がこのブログで書いたこのエントリーに通じるものがあって、ゴミ問題について改めて考えさせられます。  多くの人が自分の目の届く範囲から消えた瞬間にゴミがあったことを忘れてしまいがち(特に都市部では尚更)だけど、その最終的な行方についてちゃんと考えなくちゃいけないなぁと思わせてくれます。

「ベファーナ論」このお話にも出てきたあのベファーナさんにまつわるお話で、ベファーナさんの大事な小道具である「箒」と、プレゼントを入れて運ぶ「ずだ袋」と、ベファーナさんの履いている「おんぼろ靴」に関する興味深い(?)論考(というより妄想?)です。  どれ一つとっても面白かったんだけど、KiKi のお気に入りだったのは「ずだ袋」。  ベファーナさんっていうのはどうやら個人名じゃなくて種族名(?)みたいなものらしいんだけど、要するに複数のベファーナさんがいて、プレゼントの配達エリアがちゃんと区分されているらしいんですよね。  で、エピファニー祭り(公現祭)の際には、それぞれのベファーナさんが郵便局みたいなプレゼントの集積所からずだ袋に入ったおもちゃを自分の担当分だけ持ち出すという仕組みになっているらしいんですよ。  ところが、どれもこれも同じようなずだ袋なので、ある年、みんなが違う袋を持って出かけちゃったらしいんです。

つまり KiKi のところに届くはずのプレゼントがノルンのところに行ってノルンのところに届くはずのプレゼントが KiKi のところに届いちゃった・・・・・みたいなことがもっと広範囲(何せ世界に跨っているので)で発生しちゃったらしいんです。  さて、困った・・・・・と思ったんだけど、そこはほら、時差もあるし、もうプレゼントを開けちゃった子もいたりして、返品してもらって再送するというわけにもいかなかったらしいんです。  でもね、子供がどの子も皆「本当だったら自分宛ではなかったはずのプレゼント」に大喜びしているのを見て、姉妹のベファーナさんが以下のようなやりとりをするんです。

「世界中、どこへ行っても、子供はみんな一緒だから、同じ玩具が好きなのよ。」

「姉さんってば、相変わらず理想主義者なのね。  世界中の子供が同じ玩具を好きなのは、同じ大企業によって作られた玩具だからってことがわからないの?  子供たちは自分で選んでいるつもりで、同じ物を選ばされてるのよ。  メーカーが子供たちのために、あらかじめ選んだ玩具をね。」

この妹の発言を読んだとき、KiKi は本当に思わず深く頷いちゃいました。  これってまさに KiKi がこのエントリーで言いたかったことと根っこが同じで、「与えられた感動で満足しちゃう」っていうのの別バージョンだと思うんですよね~。  現代社会ではこれ(↑)が、メーカーの力のみならずマスコミの煽動(別に悪意があるわけじゃないにしろ)によって更に「大ブーム」という形になっている。  まあ、そのブームがあるからこその経済活動という側面が否定できない以上、一概にそれを否定するのは問題だとは思うけれど、やっぱり自分を省みる必要はどんどん高まっているんじゃないかと思うんですよね~。  つまり

「本当にこれは自分が欲しいと思って自分が選んだものなのか?」

っていうことを・・・・。  う~ん、ロダーリさん。  やっぱり、侮れません。  

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