赤い蝋燭と人魚 小川未明

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今日、2つ目のエントリーです。  何せチクチク作業を中止して読書三昧の1日を送ったうえに、手に取った本がたまたま「絵本カテゴリー」の本で活字部分がとっても少なくて、あっという間に読了しちゃったんですよね~ ^^;  ま、てなわけで本日の2冊目はこちらです。

赤い蝋燭と人魚
著:小川未明 画:酒井駒子  偕成社

5165NC87FGL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

大正10年の発表以来、繰り返し読み継がれ、多くの画家の挿絵にも描かれてきた小川未明の名作童話。  酒井駒子の情感豊かな、ざらざらした油絵タッチの絵をつけて、新感覚の絵物語に仕上った。  わが子だけは明るいにぎやかな人間の街で育ってほしいと、冷たく暗い北の海に住む人魚の母親は願い、子どもを神社に捨てた。  その赤ん坊を拾ったのは蝋燭(ろうそく)つくりの老夫婦。  神さまからの授かりものと大切に育てたが、よこしまな香具師についそそのかされ、美しく成長した人魚の娘を見世物に売り飛ばしてしまう。  哀れな娘が最後に残した3本の赤い蝋燭を取り戻しにきた、人魚の母の復讐は...。  人間というものへのかなしみが漂うこのお話を、酒井の絵は浄化している。  幼児の心をつかんだあの『よるくま』のイラストとは異なる、こんどは奥行きある絵画性で。  人魚の皮膚や貝殻、蝋燭の炎や嵐の翌朝の空の色、みな暗い闇から差す光のように見えてくる。  黒く塗りつぶされた背景に、赤、青、黄の三原色を基調にした抑制された色づかいが、色とは光でもあったのだ、とあらためて気づかせてくれる。(中村えつこ)  (Amazonより転載)

子供時代、初めてこの物語を読んだ KiKi はその救いのなさ、暗さに打ちのめされ、以後小川未明の作品にはどうしても興味をもてなくなってしまった・・・・というトラウマにも似た思い出があります。  いくら「義理」の中とは言え、「子供を売り払うなんて・・・・」 「人魚のお母さんだっていくら子供のためとは言え自分では育てなかったくせに・・・・」 「気持ちはわかるけど村1つ、つぶしちゃうなんて・・・・・」  親に愛されないな~んていう経験もなく、飢えもなく、気候温暖な静岡県で子供時代を過ごした KiKi にしてみると、「ここまで救いのない話があっていいんだろうか・・・・」というような想いに胸がふさがれちゃったんですよね~。

でも、今の時代、この蝋燭屋のおじいさん・おばあさん以上にもっともっとエゲツナイ話を日々TVやら新聞やらで見せつけられちゃっているうえに、人間っちゅう生き物に当時ほどは幻想的な「善」を求めようとしなくなっちゃった大人の KiKi にとっては、ある意味「直視できる物語」になったような気分です。


今回この物語を「直視できるようになった」と感じられたのは、酒井さんの絵によるところも大きいような気がします。  もちろん色使いとかタッチとか、ある種の「暗黒さ」を存分に表現した絵ではあるんだけど、この絵のおかげで Amazon の紹介文ではないけれど、ある種の「浄化」が為されているような気がしたんですよね~。

今回、並行して読了したターシャ・テューダーの「醜いもの、苦しみ」といった負の要素を徹底的に排除した挿絵は美しいうえに安心感があり、眺めながらお茶なんぞを飲んでお菓子も食べて・・・・と言った気楽さが漂うのに対し、このお話 & この絵は思わず威儀を正してお茶もお菓子も手放して、緊張感あふれて味わう作品っていう感じなんだけど、その威儀を正し、すべてを手放して集中している中で感情の激しい起伏が発生して、そのうねりに身を委ねているうちに自分の心の中にだけでもいいからぽっと灯り(ともり)消えることのない蝋燭の灯り(あかり)を見つけようとしている自分に気が付くんです。  で、結果的にはちょっと時間を置いてから・・・・にはなっていくんだけど、まるで波が引くようにあの感情の起伏が遠ざかって行って落ち着いていく・・・・・そんな時間を持つことができたような気分がしました。  変な例えかもしれないけれど、この曲を聴いて散々打ちのめされた後、回復していく時と同じような気分を追体験しちゃった・・・・・みたいな感じ。

発売当初からこの本には興味があって、「可能なら蔵書の1冊にしたい!」と思ったりもしたんだけど、KiKi の場合、やっぱり優先すべきは「岩波少年文庫」だし、絵本はちょっとお高いのでなかなか手が出せずに今日に至っちゃったんだけど、やっぱりこれは手元に置きたいなぁ・・・・・。  

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2011年12月 6日 15:06に書いたブログ記事です。

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