変身/掟の前で 他2篇 F.カフカ

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今日も先日ブックオフで購入したばかりの光文社古典新訳文庫からの1冊をご紹介します。

変身/掟の前で 他2篇
著:F.カフカ 訳:丘沢静也  光文社古典新訳文庫

41FqZTzpCJL._SX230_.jpg (Amazon)

家族の物語を虫の視点で描いた「変身」。  もっともカフカ的な「掟の前で」。  カフカがひと晩で書きあげ、カフカがカフカになった「判決」。  そしてサルが「アカデミーで報告する」。  カフカの傑作4編を、もっとも新しい<史的批判版>にもとづいた翻訳で贈る。  (文庫本裏表紙より転載)

カフカの作品をまともに読んだ(ちゃんと一字一句を追いかけ、最後まで読み切った)のは今回が初めて・・・・・と言っても過言ではありません。  もちろんもっと若かりし頃に何回かチャレンジしたことはあるんですよ。  特に大学時代には「文学部の大学生たるもの、カフカぐらいは・・・・」と考え、数回チャレンジしたことがありました。  でもねぇ、「実存主義」だか「不条理」だか何だか知らないけれど、正直なところ生理的に受け付けがたい作家という印象があまりにも強くて、何度も読みかけては放棄してきた前科があります。  だって、ある朝起きたら虫になっているな~んて言われてもねぇ・・・・・・ ^^;  しかもその虫っていうのが蝶々ならいざ知らず、動き回ると粘液が後に残るタイプの虫なんて、お世辞にも「好き」とか「可愛い」とは思えない・・・・・・。

随分後になって、NHK(BSだったように思う)で「名作平積み大作戦」という番組をやっていて、KiKi は毎週楽しみに見ていたんだけど、その中で「カフカの変身」が扱われたことがあって、プレゼンターの熱弁ぶりにちょっとほだされ、久方ぶりに読んでみてもいいかなぁ・・・・・と思ったりもしたんだけど、それでも「生理的に受け付けなかった」というトラウマには勝てず、今日まできてしまいました(笑)  

  

今回この本を手に取ってみたのは、今年のこのブログの新企画「光文社古典新訳文庫を読んでみる」があればこそ、更にはたまたまブックオフで手に入れることができたから、あ~んど この薄さ(何せ短編ばかりの1冊なんです)と昨日の空き時間がちょうどマッチしていたからに他なりません。  そんなことでもなければ「生理的な嫌悪感の壁」というバリアはそんなに易々と乗り越えられるものではありません。

今回の読書でどの物語にも溢れているように感じられたは、ある種の「不安」とその先に感じる「ブラックホールのような絶望感」、でもそれをとことんまで自虐的に突き詰めた先に訪れた「ま、しょせん人生なんてそんなもの」という開き直りとその全ての思考過程を自分で笑い飛ばす「吹っ切れた感」みたいなものでした。  恐らくカフカっていう人は思索に没頭して生きたタイプの人ではなく、現実社会の中で「喘いだり」「もがいたり」「どうして自分が・・・・・」という想いを抱きつつも、真摯に自分のアイデンティティを求め続けた人だったんだろうと感じます。

でね、この「アイデンティティ」っていうやつが厄介なもので、それに拘る個人にしてみるとと~っても大事で一生をかけて求めるに値するとさえ思えちゃうものであったりするにも関わらず、傍から見れば「それが何?」と言えちゃったりもするような正体不明なものであるあたりが彼の物語のテーマなのかなぁ・・・・・と。  そう、虫になっちゃったグレーゴルは姿形は虫であっても「グレーゴルであり続けること」を求め、それを忘れまいとし、家族にもそう信じてもらえることが当然と考えようとし続けているわけだけど、グレーゴルの家族にしてみれば姿形が変わってしまい、コミュニケーションも図れなくなった虫を前にし、その虫がグレーゴルであるとどこかで認めつつも、それでもやっぱり虫は虫であってグレーゴルとは別物になっちゃったと感じずにはいられない・・・・・。  

なまじ「家族の絆」な~んていうものがあるだけに、お話は厄介なわけでして・・・・・。  家族のために自分を犠牲にして働いてきたグレーゴルだったし、その心意気は未だに虫の中で確実に息づいていても虫はやっぱり虫・・・・・。  (しかもこれは蝶々みたいな生理的に受け入れやすい虫であってはならないわけで・・・・・・ ^^;)  いきなり虫に変身されちゃった家族の方もどう受け入れていいのかわからないだけに、看病(?)するでもなければ抹殺するでもない、餌付けしているようなしていないような、家族団欒の席に受け入れているようないないような、不思議な距離感を保ち続けているあたり、残酷ではありつつもどこかにコメディっぽさも漂っていて、この年齢に至った KiKi にはある種の「悟りの境地に至った人の開き直り」に感じられちゃったりもするわけで・・・・・(苦笑)。  

今回、この物語をスンナリと読めちゃったのは、「新訳のおかげ」なのか「底本の違いのおかげ」なのか、はたまた「ストレス・フリーな今の KiKi の状況のおかげ」なのか、「重ねてきた年の功」なのか、KiKi にはまったく見当もつかないんだけど、いずれにしろ19世紀を代表する作家の有名すぎるこの1冊を「挫折本リスト」に残さずに読了できたことに今は満足しています。  

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