本の歴史 B.ブラセル

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今日は久々に岩波少年文庫から離れて、KiKi の積読本の中から1冊選んでみました。  KiKi の大好きな「本」そのものについて書かれた本です。

本の歴史
著:B.ブラセル 監修:荒俣宏  知の再発見双書80 創元社

61GSX66JGML._SL500_AA300_.jpg (Amazon)

手書き時代の古代から、印刷術が発明され愛書趣味や書物愛が確立したものの規制によって印刷業が危機に瀕した中世、そして飛躍的に発展した近代まで、書物の辿った歴史を明らかにする。  (Amazon より転載)

KiKi の子供時代、もちろんすでに世の中には「文庫本」というものが存在していたけれど、それでも「本」と言えば厚い表紙で、カバー(サック状のもの)もついていて、持つと手にずっしりときて・・・・・というのがスタンダードだったように思います。  そんな「重厚感のある本」であるだけに、保存にもよく耐え、親から子へ受け継がれていく1つの財産だったとも言えるのではないでしょうか??  

これが「文庫本だらけ」となってしまうと、凡そ財産という感じはせず、その扱いも心なしかゾンザイになっていくところがあるように感じます。  それを証拠に KiKi の実家にはちょっとした本棚があるのですが、そこに収められているのはサック付き厚紙装丁のいわゆる「全集物」ばかり。  同じデザインの本がズラッと並んでいる姿は壮観でちょっとした見応え・・・みたいなものがあります。(価値のある豪華本があるわけではないんですけどね 笑)  これらの本は KiKi が小学生から高校生までの間に父親が少しずつコレクションしていったもので、父が生まれ育ちある程度の時間を過ごした後、東京大空襲により燃え尽きてしまった池袋のご本家にあった本棚のイメージを持ちつづけながら収集した本ばかりです。

で、今、帰省すると KiKi が大学進学以降に父が買い集めた(と言うよりは乱読タイプの父がせっせと読んだ)文庫本(当然のことながらこちらの方が冊数は多い)が山とあったりもするのですが、こちらは床に直置き状態でうず高く積まれ、その山が崩れ始めると段ボールに移し替えて今度はその段ボールが山と積まれる・・・・・という保存状態で、その扱いの差は歴然としています。  近くにブックオフな~んていうものも昔ながらの古本屋なんていうものもないので、「本を処分する」という発想がない父はひたすら本を集め続けているわけだけど、見ていて気の毒になるぐらいこれらの「文庫本」は放置されているイメージがあります。  本の中身自体は必ずしも駄本というわけではないんですけど、装丁の違いがこういう差別(?)を生んでいるのは間違いないようです。 

 

思えば KiKi が拘り続けている岩波少年文庫にしてみても創刊当初こそソフトカバーだったみたい(これは販売価格を廉価に設定するためだったらしい)だけど、それでも装丁にはかなり拘っていて、以前もちょっとご紹介したこの冊子によれば

日本の伝統的な織物や刺し子から選んだ3種類の模様を、おちついた色合いの赤・青・緑の3種類の色で印刷した装丁

だったみたいだし、KiKi 自身が初めて手にした岩波少年文庫本は、サイズこそ小さかったものの「サック付き、厚紙装丁」の本でした。  それまで手にしていた本が子供の手には重量感がありすぎて疲れやすかったのに比べ、岩波少年文庫の本は「本、本来の持つ豪華さ」の名残を残しつつも軽くて嬉しかったことをよく覚えています。  因みにこの装丁は「公共図書館、学校図書館からの要望に応えてハードカバー化」をしたらしい・・・・・。

さて、その後岩波少年文庫の方はオイル・ショックの影響を受けて簡素なソフトカバーの軽装版へ、カラー化へ、そして創刊50年記念で現在の形に落ち着いたとのこと。  もっともその合間に「特装版」「復刻版」という「昔懐かしい装丁版」の本が出ていたりもするんですけどね♪

さて、岩波少年文庫だけを取ってみても、こんな歴史がいろいろあったりもするわけですが、これが「本」ということになると、こんな変化どころの騒ぎではないわけで、そのあたりをざっと俯瞰しているのが本日の読了本です。  あの父自慢(?)の本棚にさえない、美術工芸品の域に達している「手がき本」から始まり、「グーテンベルクの活字印刷本」、その後に続く印刷技術の発展の歴史やら書籍流通の発達の歴史、思想界に与えた影響と続き、「百科全書」までをカラー図版入りで概説してくれています。  

カラー図版部分を眺めているだけでもうっとりしちゃうような美しさで、本好きの KiKi にとっては読んで面白く、眺めて楽しい、「1冊で2度美味しい」本でした。  いや~、1冊でいいから、何語でもいいから(要するに読めなくてもいいから)、中世の美しい本を持つことができたら幸せだろうなぁ・・・・・。  そんなことを考えながら読み進めているうちに結構笑ってしまったのは、この本の監修者である荒俣さんが引用された、アンドルー・ラングの以下の言葉でした。

イギリスでは本を読むのに図書館を利用するが、フランス人はかならず趣味に合った革装の美本を買い込む。  イギリスでは、本と言えば1週間か2週間楽しみあうためのゲストでしかないが、フランスでは生涯の友となる。  「物」としての書籍に対するフランス人の感覚は、もともと印刷物をフェティッシュ視する習慣のないイギリス人にはとても理解できない。

(≒ ラングさんには KiKi は理解できない and   KiKi は日本人だけど、イギリス文学を学び英国留学もしたけれど、イギリス風というよりはフランス風の感覚の持ち主 ってこと??  笑)

でもねぇ、尊敬するラングさんにたてつくわけじゃないけれど、KiKi はイギリスであちこちのお城やら貴族の館なんかをそこそこ見てきたけれど、そこには必ずと言っていいほど「立派な図書室」があったけどなぁ・・・・・。  そしてそこには「なんでも鑑定団」あたりに出してみたら結構な値がつきそうな「豪華装丁本」がぎっしりと詰まっていたけどなぁ・・・・・。  あれってイギリスじゃなかったっけ???  カズオ・イシグロの「日の名残り」にもそんなシーンがなかったっけ???  

ま、それはさておき、どうであっても KiKi なんかはラングさんには理解できない人種、即ち「集めて蔵書化したがる症候群」の人間であることに間違いはないわけで、「岩波少年文庫フェチ」「ラングさんの○○色の童話集フェチ」であることは認めざるを得ません。  もしも唸るほどお金があって使い道に困っていたりしたら「豪華装丁本」をせっせと購入する「本のコレクター」になっていただろうことは自信を持って断言できちゃいます(笑)。

もう一つ、興味深かったのは巻頭の荒俣さんの序文の中のこの1節でした。

(伝統あるフランクフルトのブックメッセ)で見た各国のブースが興味深かった。  フランスやイタリアは、書物を宝石やファッション商品のように一点一点大切に展示する。  アメリカやイギリスは大きな市場を持つせいか、一種類の本を山積みにする。  そしてブースの中をサロンかパーティー会場のように開放する。  他方、我が日本は、書物を野菜や干物のように雑然と並べ、あとは関係者がブースの奥で渋茶をすすって、客の声がかかるのを待つ。

これがいつの時代の話なのかわからないけれど、ここで描かれる「日本ブース」の在り様はデパートや公園なんかで催される「古本市」の様子を彷彿とさせ、お国柄だよなぁ・・・・・と感じずにはいられませんでした。  池袋に Libro が初めて開店した時、「新しい形の本屋さん」という印象を強く持ち、それがこれまでとは大きく異なる本の展示の仕方にあったことをふと思い出しました。  


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年1月18日 09:51に書いたブログ記事です。

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