小公子 F.H.バーネット

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日本を代表するアニメーターの宮崎駿さんが、「岩波少年文庫発刊60周年記念」で配布された「岩波少年文庫の50冊」という小冊子に網羅された作品及びそれらの作品を書いた作家の別作品(但し、原則として岩波少年文庫に収録されているものに限る)を読破する企画。(はぁ、長い・・・・・ ^^;)  今日は「秘密の花園」の作者バーネット夫人の出世作をご紹介します。

小公子
著:F.H.バーネット 訳:脇明子  岩波少年文庫

51q4nIsU83L._SL500_AA300_.jpg (Amazon)

アメリカで生まれ育った少年セドリックは、一度も会ったことのない祖父のあとつぎになるために、イギリスに渡ることになった。  貴族である祖父は高漫で頑固な人物だったが、セドリックの無邪気で温かい心にふれ、しだいに変わっていく。  (文庫本裏表紙より転載)

「小公子」「小公女」と言えば、KiKi にとっては小学校低学年時代の愛読書でした。  そうであるだけに大人になって「岩波少年文庫読破企画」をぶちあげた時、現在販売されている作品リストをあれこれ調べていて、これら2冊が絶版になっていることを知り、少なからずショックを受けたことを思い出します。  「あの KiKi の愛読書が絶版とは!  星の王子さまは再販に再販を重ね、とぎれることなく売り続けられているのに!!」ってね。  仕方なく古本屋さんをあちこちウロウロして、「小公女」だけは見つけることができて蔵書入りを果たしていたんだけど、「小公子」の方はどうしても見つけられずに残念に思っていました。  諦めかけた頃、岩波書店のHPだったか、「やかましネットワーク」だったかで、「新訳準備中」のニュースに接し、ようやく昨年11月に復刊したのがこの「小公子」です。

最初にこの物語に出会った小学校低学年の頃には「セディのような性格のよい子にならなくちゃ!」と思い、何度も読み返すうちに「セディのお母さんみたいな素敵なレディになれるように頑張らなくちゃ!」と思い、結果どちらも挫折したなれの果てが今の KiKi です(苦笑)  そうそう、逆に言えば「こんな人にだけはなっちゃいけない!」と思っていたセディのお爺さん、ドリンコート伯爵の方にこそ「うんうん、わかるわかる・・・・」と頷いている自分に気が付き、ちょっと唖然・・・・・・。  まあ、それだけこの老伯爵の心理描写が巧みだっていうことだとは思うんですけどね(笑)


そして、子供時代にはまったく理解できていなかったけれど、中学校や高校、そして大学で世界史を学び、その後も多くの文学作品やら映画やらである程度の知識を詰め込み、アメリカのフィラデルフィアやらボストン湾を、イギリスの宮殿やらトラファルガー広場やらを実際に訪れ、多くの歴史遺産をこの目で見、この足で歩み、この顔で彼の地の風を感じたからこそ理解できるようになった英米両国にある、言葉では表現しにくい微妙な(屈折したとも言える)感情がよく描かれていると感じました。

KiKi は大学時代にイギリスに語学留学をし、大学卒業後には外資系畑(それもアメリカ系)の会社をメインに社会人生活を送ってきたので、アメリカ人ともイギリス人ともそこそこの接点を持った時間があります。  第二次大戦では連合国となり、現在の世界情勢の中では比較的「仲良しこよし」状態に見えなくもない英米両国だけど、同じ英語を話す(実はちょっと違うけれど ^^;)国民同士だけど、我々日本人にはちょっと見違いがわからない人も多かったりするけれど、個人としておつきあいしてみるとやっぱりアメリカ人はアメリカ人だし、イギリス人はイギリス人だなぁ・・・・と感じたことが結構あったりもしました。

その違いの根っこにあるものはホッブスさん(ニューヨーク時代のセディの親友の食料品屋さん)やドリンコート伯爵に描かれている「培われてきた歴史の違い、社会制度の違いによって知らず知らずのうちに育まれた価値観、アイデンティティの持ち方の違い」なんだなぁと思います。  もっともホッブスさんの場合はアメリカ人には多くありがちな良く言えば「柔軟な」悪く言えば「節操のなさ」による立ち位置の変更が最後の最後に描かれていますけどね(苦笑)

どうでもいいことだけど、KiKi が子供時代に読んだ「小公子」の物語の挿絵ではセディは長髪の男の子として描かれていました。  ま、要するによく見る「古き良き時代の英国貴族の少年然」とした姿でニューヨークの下町時代のセディも描かれていたのです。  今回読了した岩波少年文庫の挿絵は短髪で、いかにも「アメリカ生まれのアメリカ人の少年」という雰囲気です。  そういう意味ではセディの闊達さと挿絵が見事にマッチしていて新鮮でした。

さて、次は「小公女」です。  恐らく昔は大嫌いだったミンチン先生に感情移入している自分に気が付かされることになるんだろうなぁ・・・・・。

追記: 2012年1月9日

図書館で借りた岩波新書の「本へのとびら」を読んでいて、宮崎さんの50選にバーネット作品が2作、ノミネートされていたことに気が付きました。  「秘密の花園」と「小公子」です。  その「小公子」に寄せられたコメントはこんな感じでした。

主人公のセドリック少年は、理想の姿として書かれています。  こんな少年はいないよ、というのは簡単で、つまりません。  ぼくはセドリックと正反対で、ためらい、ものおじし、はっきりいえない子供でしたが、セドリックは好きでした。  こういう子がどこかにいると今でも思っています。  かしこくて、やさしくて、おだやかで、まっすぐな友人がいたからです。  その少年は、本当に若く死んでしまいましたが、おかげでぼくはどこかにいるんだと思えます。


 

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年1月 5日 12:15に書いたブログ記事です。

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