消えた王子(上)(下) F.H.バーネット

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「秘密の花園」から始まった、バーネット夫人作品の岩波少年文庫・ラインナップ。  この「消えた王子」が最後となります。

消えた王子(上)
著:F.H.バーネット 訳:中村妙子  岩波少年文庫

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すべては祖国サマヴィアを救うため!  ―マルコ・ロリスタンは、尊敬する父のまえで忠誠を誓い、きびしい訓練をつんでいた。  ロンドンの下町で、マルコは、足の不自由な少年ラットと運命的な出会いをする。  バーネットの知られざる傑作。  (文庫本裏表紙より転載)

消えた王子(下)
著:F.H.バーネット 訳:中村妙子  岩波少年文庫

51U+5TD55RL._SL500_AA300_.jpg (Amazon)

マルコはラットとともに、秘密組織の重要任務を父からたくされる。  「ランプがともった」という決起の合図をつたえるため、ふたりはヨーロッパ各地をめぐる命がけの旅に出る。  はたして、伝説のイヴォール王子はあらわれるのか?   (文庫本裏表紙より転載)

「秘密の花園」「小公子」「小公女」の3作は KiKi の子供時代から超有名な作品で、どれもこれも10度とは言わず読み込んだ物語だったけれど、この「消えた王子」だけは知らなかったなぁ。  この本が岩波少年文庫から発刊された時(2010年2月)、この物語の著者の「フランシス・ホジソン・バーネット」という人があの「バーネット夫人」と同一人物なのかどうか、KiKi は疑っちゃったぐらいです(苦笑)  と言うのも、KiKi が子供時代に読んだ「秘密の花園」~(以下3冊)の著者名をフル・ネームでは知らなかったから・・・・・なんですけどね。  

まあ、バーネット夫人の書く物語だから「宮廷もの」もしくは「貴族系」の物語なんだろうなぁと考えていた KiKi の予想をあっさり裏切ってくれちゃいました。  もちろん最後は「王家」なんですけどね。


読み始めたかなり早い段階で、「消えた王子」とマルコ親子の関係はあっさりと予想できちゃう書き込み方満載で、そういう意味ではどんでん返し的な楽しみはほとんどない物語ではあるし、プロット的には臭さも目立つ作品ではあるけれど、さすがバーネット夫人の作品だなぁと感じるのは、当時のイギリスの実像を物語の中で精緻に描いているあたり・・・・でしょうか。

元はと言えばロンドンの貧民街に暮らす浮浪児同然のラットが足が不自由であるにも関わらず、浮浪児仲間を集めて軍事教練に励んでいるくだりなどは、第一次世界大戦が間近に迫っている当時のロンドンでは普通に見られた光景だったかもしれないし、そういう恵まれない子供であればあるほど、尊敬できる上官に仕え、自己犠牲も厭わない、そんな下僕を志したりするのも、リアリティがあるように感じました。

そんなマルコとラットがまるでゲームのように「秘密組織」の連絡役としてヨーロッパ各国を動き回るあたりは、その旅で出会うと思われる危険の数々をハリウッド映画ばりにどぎつく描かなくても、ドキドキ・ハラハラさせてくれるあたりは、さすがとしか言いようがない。

それにしても・・・・・・  マルコ父子の魅力(常人離れ度合い)の記述が多いよなぁ・・・・・。  当時の物語はこういう冒険活劇的なものであってさえも予定調和が求められていたのかしら??  個人的にはこの2人よりも、ラットに注目しっぱなしの物語でした。  一番変貌を遂げたのもラットだったし・・・・・。

決して嫌いじゃないバーネット作品だけど、この作者さんはやっぱりどちらかと言えば「女性向け作品」の大家だったんだなぁと思います。  この物語は彼女の作品の中ではかなり「骨太」な作品だとは思うけれど、それでもそこはかとな~く漂うのは「上品さ」なんですよね~。  この物語の登場人物たちは総じて「みすぼらしい身なり」をし、「秘密結社」な~んていう男臭さを持ちつつもやっぱりほのかに香ってくるシャボンの香り・・・・・みたいなところがあるんですよ。  そういう意味ではせっかくの冒険活劇ではあるけれど「男の子」の興味はあんまりひかない作品なのかもしれません。

  

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