米をつくる 米でつくる 西沢江美子

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昨年末に借り出し、返却期限が迫っている図書館本の第二弾。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

米をつくる 米でつくる
著:西沢江美子  岩波ジュニア新書

51466FVQ6JL._SL500_AA300_.jpg (Amazon)

ほかほかのご飯はおいしい。  でも、その米がどのようにつくられているか、きみは知っているだろうか。  酒や味噌は米をどう加工しているのだろうか。  苗づくりから刈り取り・脱穀まで、おいしいご飯の炊き方、米からの食品づくりなどを、この本でしっかり学んでほしい。  米こそ、日本人がもっとも発達させた食料なのだから。  (新書本裏表紙より転載)

恐らく KiKi が昨年から米作りに挑戦していなかったら、ひょっとしたらこの本は手に取ってみようと思わなかったかもしれません。  でも、今回この本を読んでみて、つくづくこれは良書だなぁと感じました。  世間一般でブームのように言われている「地産地消」とか「スローライフ」とか「食料自給率」な~んていう言葉にはない、食に、そして米に対する著者の真摯な愛情を感じられる本だと感じました。

この本の素晴らしい所は、米という1つの農産品にまつわる多角的な考察にあります。  そもそも私たち日本人の祖先がどのようにして米と出会ったかの考察(かなり大雑把ではあるのですが ^^;)から始まり、稲を育てるというのはどういうことなのかを「初心者向け農業指南書」的に描き、次にはご飯の美味しい炊き方に触れます。  そこから米を利用した発酵食品の紹介と米を原材料にした新しい加工食品(それぞれ比較的簡単な食べものの作り方レシピ付き!)の紹介と続きます。  それが終わると今度は所謂「藁細工」のあれこれに触れ、最後に日本人の心の文化、行事食としての米に関する記述があります。  


KiKi はこれまでの人生の中で東京生活が今のところ一番長いのですが、大学に入学する前は静岡県の片田舎で育ちました。  小学生の頃の同級生には「農家の子供」が半数以上いたし、田んぼの風景というのは見慣れたものでした。  そんな時代にある1つの思い出があります。  父の友人(東京暮らし)の親子が夏休みを利用して KiKi の家に泊まりがけで遊びに来たことがありました。  その親子と一緒に車で自宅近くの道を走っていた時のこと、父がその子(男の子)に田んぼを指さして、

「○○君。  これ、何を作っているか知ってる??」

と聞いたのです。  KiKi にとっては馴染み深い光景だし、KiKi 自身は東京という町のことを知らなかった時代。  KiKi はその○○君の返事を待たずして思わず口走りました。

「田んぼを知らないわけないじゃない、ねぇ?」

するとその男の子は恥ずかしそうに小さな声で

「知らなかった・・・・・。  これが田んぼなの??」

と答えたのです。  この答えは当時の KiKi にはショックでした。  恐らくその○○君にとってもショックだったことでしょう。  この時 KiKi は初めて「東京で生まれて育った子は田んぼを見たことがない」という現実に直面したのでした。  その後長ずるにつれ、「都会の子供は魚は切り身で泳いでいると思っている子供がいる」 とか 「泥つきの野菜を見たことがない子がいる」 という類のニュースを聞いても驚くことだけはなくなりました。  と、同時に自分が食べているもののもとの姿を知らないとは何て寂しい事だろうと思ったものでした。

KiKi が子供の頃は、今ほどスーパーマーケット全盛の時代ではなく、お米はお米屋さんで、魚は魚屋さんで、肉は肉屋さんで買うのが普通でした。  お米はお米屋さんが精米して販売するので玄米を見ることは決して特別なことではありませんでした。  魚は1匹の姿で店先に並びこちらの注文に応じて捌かれ切られるのが普通でした。  肉屋さんには足の形が判別できる肉が天井からぶら下がっていました。  八百屋さんの裏では八百屋のおばさんがせっせと野菜を水洗いしていたりもしました。  そういう姿を見て育ったことがどれだけ大切 & 幸せなことだったかを理解したのは大人になってだいぶたってからのことでした。

元の姿をある程度知っていれば「いただきます」という言葉は自然と出てくるようになるものだし、スーパーで売られているプラスチック容器に盛りつけられたものであってもそれが育っていた環境を思い描くことができます。  でも、それを知らずにスーパーで綺麗に並べられたものを買うだけでしか食材と接したことのない人はそれが「農産品」であれ「工業製品」であれ「お金を払って購入する商品」という一括りのものでしかないことに気が付いたのです。  お店の立場からすると「農産品」も「畜産品」も「鉛筆」も「鍋」も「ゴミ袋」も商品であることに違いはないけれど・・・・・・。

そしてそういう生活しかしてこなかった人に限って「食生活がおざなりになりがち」であることを、東京時代の KiKi は嫌と言うほど見てきました。  何て言うか食べものを機械的に食べていて、極論すれば空腹が満たされれば何でもよくて、ちょっと面倒くさいことがあると食事を抜くことを何とも思わない・・・・・。  中には「食事って面倒くさいのよね。」とあっけらかんと口にする人さえいました。  でもそういう人に限って、ダイエットとかオシャレには夢中なんですよね~。  そんな人たちを見て「KiKi が田舎者だから違和感を感じるのかもしれないけれど、それにしても何だかなぁ・・・・・」とため息をついたものでした。

この本はそんなタイプの人の興味はひかない本であることは百も承知だけど、そういう人にこそ読んでほしい本だと思います。  そして、この本を読むことによって「食材」を考える人が増え、「米」が見直される時代が来ることを願ってやみません。  もちろん今の時代、知ってしまったパンや麺類から離れることはできないにしろ・・・・・・。  おらが村の遊休耕作地を眺めるにつけ、そんなことを感じるのです。


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