本へのとびら 岩波少年文庫を語る  宮崎駿

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昨日、図書館から新たな本を借り出してきました。  その本を今日はご紹介します。

本へのとびら 岩波少年文庫を語る
著:宮崎駿  岩波新書

31dZ7riRS2L._SL500_AA300_.jpg (Amazon)

「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」。  アニメーション界のトップランナーとして世界的に注目される著者が、長年親しんできた岩波少年文庫の中からお薦めの五〇冊を紹介。  あわせて、自らの読書体験、児童文学の挿絵の魅力、そして震災後の世界についてなど、本への、子どもへの熱い思いを語る。  (新書本扉より転載)

この本が出版されたことはずいぶん前から KiKi は知っていました。  確か、Amazon からのメールか何かで知ったように思います。  それを知った当初はあまり詳細を調べないまま「以前手に入れたこれと基本的には同じ内容の本なんだろうな。」と思い込み、敢えて読む必要はないような気がしていたのですが、よくよく調べてみたらこの小冊子からの転載部分と、あの頃TVで放映された「ジブリの本棚」の対談からの書き起し部分と、さらにはあの3.11以後のインタビューを再構成した部分とに分かれているということだったので、一度は読んでみようと考え今回図書館から借りてきました。

この本を読んでみて、KiKi がここLothlórien_山小舎生活を模索し始め、この Lothlórien_Blog を開設しようと思い立った(というより「岩波少年文庫読破企画」をぶち上げた)頃に感じていたことが、ここに言語化されていると強く感じました。


著者は言います。

風が吹き始めました。  この20年間、この国では経済の話ばかりしてきました。  まるではちきれそうなほど水を入れた風船のようになっていて、前にもあとにも進めない。  何時破裂するのかヒヤヒヤしながら、映像やらゲームやら、健康やら、犬を飼ったり、年金を心配したりして、気を散らしながら、けっきょく経済の話ばかりしてきました。」  不安だけは着々と膨らんで、20歳の若者も60歳も区別がつかなくなりました。  何かが起こるんだろうという予感は、みなが持っていたように思います。  それでも、どんなに立派な戦争より、愚かな平和の方が尊いと思うようにしていました。  そして、突然歴史の歯車が動き始めたのです。  生きていくのに困難な時代の幕が上がりました。  この国だけではありません。  破局は世界規模になっています。  おそらく大量消費文明のはっきりした終りの第一段階に入ったのだと思います。  その中で、自分たちは正気を失わずに生活をしていかなければなりません。  「風が吹き始めた時代」の風とはさわやかな風ではありません。  おそろしく轟々と吹き抜ける風です。  死をはらみ、毒を含む風です。  人生を根こそぎにしようという風です。

さすがに KiKi は宮崎さんほどは悲観的でも厭世的でもない(かった?)のですが、やっぱりあの当時思っていたのは、「大量消費文明は終わろうとしているに相違ない」ということだったし、「生きていくのがどんどん困難になっていくだろう」というある種の予感めいたものでした。  そうであればこそ尚更「生きる」ということを根源的に見つめ直す必要があるだろうというある種の焦りがあったことは否めません。

著者は「生まれてきてよかったんだ、と子供にエールを送るのが児童文学」と仰っていますが、KiKi の想いはもっと個人的なもので、KiKi が児童文学に親しんでいた時代、世界はもっと魅力がありそうで、期待に満ちたもので、「私が大人になる頃には・・・・・」と夢が膨らむ存在でした。  それは時代の勢いだったのかもしれないし、幼かりし頃の自分が無知であるが故の夢物語だったのかもしれないけれど、少なくとも「今を、そして明日を生きるためのエネルギーを生み出してくれるもの」であったのは確かで、その名残火が今も自分の中にほんのわずかになってはしまったものの残っていることを自覚したことにありました。  そして思ったのです。  もう一度あのワクワク・ドキドキ高揚する気分とそこから生まれるエネルギーを体感してみたい・・・・と。  ひょっとしたらこの年齢になると無理なのかもしれないけれど・・・・と。

思えば KiKi の青春時代の読書も宮崎氏と同じでした。  「大学生たるもの、最低でもこれを読まなくては・・・・」というある種の義務感にかられ、難解な書物を読み漁りました。  わかったのかわからなかったのかも定かでないままに多くの本を読みました。  読書が義務感に変わった頃から、KiKi の本棚は実利的な本に占領されるようになりました。  それはそれで無意味ではなかったし、知識に対する吸収力というか吸収したいという想いが強かった時代には必要なことでもありました。  でも今、少しずつ生きづらい時代になるにつれ、知識よりも「本当の意味での生き抜く力」をこそ欲している自分に気が付きました。

今、こうして「岩波少年文庫読破企画」に沿って児童書を読み進めているわけですが、そのことがどの程度 KiKi のエネルギーになっているか?は実はよくわかっていません。  でも、はっきりしていることは東京に住んでいた頃よりは今の方が「焦り」とか「悲観」とは無縁であるということだけは言えるような気がしています。  経済的にはかなり厳しいんですけどねぇ・・・・・ ^^;  それが環境の為せる業なのか、はたまた児童文学からおすそわけしてもらっているエネルギーのおかげなのかは定かじゃないんです(笑)

宮崎氏が仰る「これから起こるだろう、やけくそのデカダンスやニヒリズムや享楽主義」というものがどんなものなのか、正直なところ KiKi は正しくイメージできている気がしないのですが、1つだけ はっきりしていることはKiKi 自身は「贅沢じゃなくてもいいし最高級品じゃなくてもいいから三度の食事がちゃんと摂れて、凍えることなく着ることができて、雨風雪を遮ってくれる屋根があって、好きな本を読み、好きな音楽を聴くことができる生活ならそれでいい」と心の底から強く信じられるようになりつつある・・・・ということです。  そのためには少なくとも戦争とか災害からは無縁でいたいし、今持っている物だけは失うことなく(← このあたりがまだ「モノ」に囚われている証拠ですが)、耕す土地と最低限の収穫だけは確保しておきたいけれど・・・・・ ^^;  

さて、先日来干している「乾燥芋」の出来具合はどんな感じかしら??  これから味見をしてみたいと思います。  

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