罪と罰(1) ドストエフスキー

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光文社から「古典新訳文庫」という極めてチャレンジング(?)なシリーズが発売されるようになって5年ほどになります。  発売当初から興味を持ちつつも、文庫本の割にはちょっとお高め(仕方ないんだけど ^^;)の価格設定になかなか手が出せず、ついでに言えばこのエントリーでちょこっとお話した父自慢(?)の蔵書の中に「新潮社 世界文学全集」っていうサック付き、厚紙装丁の全集があって、多くの古典がそこには含まれているということも手伝って、ここまで「見ないふり」をしてきていました。  (それでもさすがにホフマンの「黄金の壺」が出版された時には購入してしまいましたけど ^^;)  

そんな KiKi がとうとうブックオフに並んでいた「罪と罰」 & 「カラマーゾフの兄弟」に手を出してしまったのは、中古本になってお値段が安かった・・・・・という事情ももちろんあったけれど、それ以上に活字の大きさが気に入ったから・・・・・というのがあります。  さすがに老眼が進みつつある昨今では岩波文庫なんかの活字はかなり苦しくなってきているんですよね~。  それにこの5年間に発刊されたタイトルを眺めてみるとあの「新潮社 世界文学全集」には入っていない作品もいっぱいあって、これは結構楽しみなシリーズになりつつあるなぁと感じているっていうこともあります。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

罪と罰(1)
著:ドストエフスキー 訳:亀山郁夫  光文社古典新訳文庫

51Yx-3qh0UL._SX230_.jpg (Amazon)

ドストエフスキーの代表作のひとつ。  日本をはじめ、世界の文学に決定的な影響を与えた犯罪小説の雄。  歩いて七百三十歩のアパートに住む金貸しの老女を、主人公ラスコーリニコフはなぜ殺さねばならないのか。  ひとつの命とひきかえに、何千もの命を救えるから?  (文庫本裏表紙より転載)

いや~、久々です、「ドストエフスキー」。  KiKi のこの物語の初読は中学2年生の頃でした。  例の「新潮社 世界文学全集 全50巻」の中の1冊で、かなり背伸びして読んでいたことを覚えています。  正直なところこの物語の主人公「ラスコーリニコフ」ほど、切迫した生き方をしてもいなければ、自我が確立できるほどまでには成長しきれていない平和な日本の中学生の女の子にはよくわからない物語でした。  ただ、1つだけ感覚的に掴むことができていたことは「何かに追い詰められ、解決策を見出すことのできない閉塞感(閉塞感なんていう言葉は知らなかったけれど ^^;)の闇の深さ」と「思考・思索に溺れすぎた人間の抱える非現実と現実の混同」みたいなもの・・・・・で、「人間って怖い・・・・・」と素直に感じた作品の1つでした。  季節は夏。  物語の中で事件が発生したのと同じようなうだるような暑さの中(当時はクーラーなんていうものはなかった)、背筋を冷やしながら読んだことだけははっきりと覚えています。

夏休み明けに当時の国語の先生が「夏休みにどんな本を読みましたか?」な~んていう質問をされ、「ドストエフスキーの『罪と罰』です。」と答えた KiKi に、先生が目を丸くしたこと、その後「どんなことを感じましたか?」と聞かれ、返事に窮してしまったことなんかをよく覚えています。  それまでに読んだどんな小説とも異なり、あまりにもいろいろなことを感じたうえに、それを言語化できるほどまでには咀嚼できていなかったことが原因でした。

  

次に読んだのは高校を卒業し、大学入学のために上京する直前で、読んだテキストは当然のことながら同じ「新潮社 世界文学全集」の中の1冊でした。  大学では英文学を学ぶことに決めていた KiKi は「恐らく大学時代にはロシア文学を読むことはほとんどないだろう」と考え、これを読み納め・・・・・とばかりに、あの複雑怪奇な物語に再度チャレンジしてみました。

中学時代に比べれば若干の精神的な成長があったせいか、単に「怖い・・・・」と感じる以上に「ラスコーリニコフ」を身近に・・・・・と言うか、彼の精神状態にある程度の共感(・・・・・とまではいかないまでも、理解)はできるようになったような気がしていたけれど、それでもやっぱりどこか非現実的な存在として捉えていました。  

次に手を出したのは大学生の頃でした。  「英文学を選んだからといってロシア文学を読んじゃいけないわけでもあるまいに・・・・・」と大学の図書館で借りてみたんですけど、バブル期の浮かれた女子大生だった KiKi にとって、「ラスコーリニコフ」は更に非現実的な存在にしか映らず、じっくりと腰を落ち着けて読もうという気力も湧かず、結局途中まで読み進んだ状態で返却。  初めての「挫折本」となりました(笑)。  何となくロシア文学の深刻さが「時代遅れ」のような感じがしちゃってねぇ・・・・・。  ま、そうやって考えてみると大学時代の KiKi が KiKi の人生の中で最も愚かな時代だったことがよくわかるわけですが・・・・・・ ^^;

そして今回、ようやくこのロシア文学に戻ってきました。  社会人としてバリバリ働いていた間はさすがに「ロシアもの」の長さ & 登場人物の名前の複雑さは敬遠する要素となることはあっても、好んで再読しようという気にはさせなかったし、その延長線上に今回読了したこの「光文社古典新訳文庫」の発刊があったわけです。  

まだ読了したのが第1巻のみで、さりとて、全体のストーリーを知らないわけではない KiKi がこの1巻単体で Review を書くのはかなり難しいんだけど、1つだけはっきりと言えることは「とても読みやすかった」ということでしょうか?  色々な書評で賛否両論渦巻いているみたいだけど、KiKi にとっては良書でした。  

特に気に入ったのは巻末にある「読書ガイド」で、近くて遠い国ロシアのことをあまり知らない日本人にとって、この心遣いはホント嬉しい。  又、付属の栞にメインとなる登場人物の一覧表があるのも嬉しかった!!  嘗てはロシアものの何が辛いって人の名前がわかんなくなっちゃうことが一番大きな問題だった KiKi にとって、この配慮は嬉しいと言うのを通り越して「買い」です。  さらに言えばこの新訳では個人名の愛称はできるだけ一つに統一してくださったとのこと。  昔は、一人の人間を呼ぶ名前が3つも4つも出てきたのに悩まされたりもしていたわけだけど、そういうロシア人にとっては大切かもしれないけれど異文化で生まれ育った人間には混乱の極みにすぎない部分への配慮は、素晴らしいと思いました。  

ただでさえ、ロシア文学って「やたら長い」という、本離れの激しい世代へのイヤミみたいなところがあるうえに、更には「暗い」っていうアメリカナイズされた日本人には罪悪にも等しいと感じられちゃうようなところもあるわけで、これに「名前がわけわかんない」まで追加されたら、目も当てられません。 

ま、何はともあれ、次は2巻目です。     


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お久しぶりです、ぶひ 今年初めての投稿です

私が初めて手にしたドストは「カラマーゾフ」でした

感想はきわめて単純
長い上に濃い小説
・・・大審問官 よくわからん。。
インテリのイワン 哀れすぎ・・・でした

ドストで読んだことあるものは
「カラマーゾフ」
「地下室の手記」
「罪と罰」
「悪霊」

はっきりいって 若かりし頃 
果てしなく暗い ここまで描くんかー という感想どまりでした
とかく 根暗な おにーちゃんや イカレタ人々だわと。

そもそも”宗教にうとい”ぶひでございまする。

ところが
社会に出て 理不尽なことに遭遇したり
予期せぬ出来事 
避けれきれない出来事にあったりすると
また違った感想を持つようになるのかなと。


やたら長い台詞もあったり 癖のある人物も あちらこちらで登場

でも 自分の身近にないのか?
かくいう自分もそういう面をもっていないのか?
ここまで彼を追い詰めたのは何?
自分も追い詰める側なったことは?
そもそも人間って?
 
思わず目を背けたくなる
”人間らしさ”
つまり あまりの汚らしく痛すぎる場面・人を
これでもかっ!!とイキイキと鮮やかに描きまくって
かっ広げてしまうのは
ドストの 強さゆえか?優しさゆえ?(いや、、、弱さなのか?)

「ドストエフスキーさん あなたって一体どんなひとだったの?」
と 思ってしまい
ついつい 読みなおしたくなるのですね

重たいので時間があるときじゃないとめげそうですが(笑)

ああ うまく表現できないコメント
駄文でスミマセン

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