ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 J.K.ローリング

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初読の際にもっとも苦手な1編だったこの「不死鳥の騎士団」。  今回は再読 & 再視聴です。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
ASIN: B000WGUSTA  ワーナー・ホーム・ビデオ  監督: デイビッド・イェーツ

615XWv7RchL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

壮絶なバトルがついに始まる!  ハリーの本当の秘密、解禁。
ホグワーツ5年生となったハリーを出迎えたのは、周囲の白い目と新聞のふざけた見出し。  ハリーがヴォルデモートの復活話をでっちあげたと書きたて、ハリー・ポッターならぬハリー・プロッター(策略家)と糾弾する始末。  更に悪いことに、魔法省大臣コーネリウス・ファッジが闇の魔術に対する防衛術の新任教師として送り込んで来たドローレス・アンブリッジの「魔法省お墨つき」の授業は、ホグワーツに迫り来る闇の魔術に対しては不十分であった。  そこでハリーはロンとハーマイオニーに説得され、有志を集めて「ダンブルドア軍団」を結成、厳しい監視の目をかいくぐりながら、きたる壮絶な決戦に備えるべく秘密の訓練を開始する。  (Amazon より転載)


そして、その原作本はこちらです。

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
著:J.K.ローリング 訳:松岡祐子  静山社

51HY5Q2PK8L._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

復活したヴォルデモートとの戦いはいつ始まるのか?  ハリーにはなんの知らせも来ない。  そして突然ハリーは吸魂鬼に襲われる。  「不死鳥の騎士団」に助けだされたハリーは、「騎士団」が何か重大な秘密を守っていることを知る。  新学期が始まり、恐ろしい新任教授アンブリッジと黒い扉の夢に悩まされ続けるハリーに、チョウ・チャンが微笑みかける・・・・。  (単行本裏扉より転載)

大切なO.W.L.(普通魔法レベル)試験を控えた5年生は、日夜勉強に追われる。  疲れ切ったハリーは、恐ろしい夢を見る。  謎の夢は、ハリーの出生の秘密に繋がっていた。  ハグリッドの秘密、スネイプの秘密、そしてダンブルドアの秘密・・・・。  過去から未来へそれぞれの運命の糸が紡がれる。  そしてついに戦いが始まった。  立ち上がるハリーと「不死鳥の騎士団」。  しかし、悲しい死が・・・・・。  (単行本裏扉より転載)

映画の方はここまで来ると正直なところ惰性で観ている状態になっていきます。  物語自体が「夢見るファンタジー」の世界からどんどん「暗黒戦争」へ向かっているので仕方ない部分もあるんだけど、観ていて「楽しい♪」という気分になれることがほとんどないんですよね~。  かと言って怖いかって言われると音楽と魔法杖から出る光線と場面全体の暗さだけ・・・・と言っても過言ではないような絵作りに感じられちゃうので、大の大人が観ていてゾクゾクするわけでもないような・・・・・・ ^^;

前作でセドリックの死という14~5歳の少年にはきつすぎる出来事にいきなり直面させられてしまったハリーの苦悩(そのセドリックがハリーの初恋のライバルだったというおまけつき!)も、ヴォルデモートが復活したという事実を魔法省が封じ込める背景の描写も、ハリーがマスコミやら悪意なき噂話の餌食となってどんどん孤立感を深めていくというあたりの描写もすべてが中途半端なために、ハリーが単なる癇癪持ちみたいになっちゃっていて感情移入しにくいんですよね~。

この「不死鳥の騎士団」の物語のいいところの1つは現実社会の中にもある「不平等」や「差別」というものを的確に描き出しているところ、そして「集団心理」というものの醜い一面をこの「混乱期の魔法界」の動きの中に上手に盛り込んであるところだと思うんですよ。  更に言えば人は誰もが同じ価値観で生きているわけではなくて、個々人が節目節目でする選択こそがそれぞれの人生観・個性・アイデンティティというものを作り上げていく・・・・ということが描かれていることだと思うんですよね。  そして社会というのはそんな個々人の集団で構成されていて、その社会の「悪意なき群集心理」が時に道を誤り、少数派を追い詰め、孤立させたうえで社会的に抹殺していく・・・・・・。  そんな「群集心理操作術」に長けた人間が「蓋をしておきたい見たくない真実」を見事に隠ぺいし、その裏で権力を掌握していく・・・・・。

この物語にはそんな社会性が濃厚であるにも関わらず「その後のハリーに起こった出来事(しかもバトル系中心)」の映画作りになってしまっているのがとても残念でした。  そしてもう一つ。  個人的にかなり残念だったのはラストのダンブルドアとハリーの会話の中に原作にはある「ネビルに関するお話」が割愛されてしまっていたことです。  これはラストを知っているから・・・・・ということもあるんだけど、ホグワーツ(学校)では決して目立つ存在ではなかったネビルのその後の活躍(実際には今作のDA;ダンブルドア軍団における彼の頑張りとか魔法省での死喰い人との闘いぶりからその片鱗は見られるのだけど)の重要な伏線であるだけに、これが割愛されているのはせっかくのシリーズものの意味が薄れちゃう・・・・・。  まあ、この映画を制作した時点ではラストは発表されていなかったわけだから仕方なかったのかもしれないけれど・・・・・・。


本の方は冒頭にも書いたけれど初読の時にはどうも苦手な1冊でした。  と言うのも、この物語を単体で読むと(もしくは全体の流れから切り離して;間に時間が空くとか・・・・・)、いかにハリーが思春期真っ只中、アイデンティティ形成期と言えども、彼の持ち前の明るさ、素直さ、我慢強さというものがなりを潜め、偏屈な扱いにくい癇癪持ちになっちゃっていたので・・・・・・。  もちろん彼が置かれている一種異様な環境によるものであることは理解できたとしても、ダンブルドア、ロン、ハーマイオニーという彼を支え続けてくれ()ている人たちに対する態度はちょっとなぁ・・・・・という感じがしちゃったんですよね。  もちろん

僕の気持ちがわかるもんか!

と叫ばずにはいられない彼の気持ちは痛いほどわかる・・・・つもりなんですよ。  普通の少年少女であってもこれと同じような感覚は誰もが通過儀礼的に通り過ぎる感情であるうえに、ハリーの場合は人とは並はずれた厳しい試練(ヴォルテモートとのあれこれしかり、興味本位でマスコミにさらされる有名税部分しかり、彼の存在そのものを無視しているかの如くの家庭生活しかり)を受け続けているだけにそれが増幅されちゃうのもよ~くわかる・・・・・。

だから世間一般に対してはあんな態度を取り続けていても KiKi は「まあ、そういうお年頃よね♪」と思ってあげられるような気がしないでもなかったんだけど、さすがにロンやハーマイオニーに対する態度はいただけないなぁ・・・・と感じていました。  逆に、ロン & ハーマイオニーは偉いなぁと思わずにはいられなかったんですよね。  まだまだ幼さが残るロンが見せるハリーへの寄り添い方なんて、天才的だと思っちゃったぐらい(笑)  男子二人よりは「大人っぽさ & 思慮深さ」を示すハーマイオニーの態度も見習うところ大です。  

でも、今回は1巻から間を空けずに続けて読んでいるので、彼のイライラが単なる思春期特有の揺れる心理というよりは、凍りつきそうなほどの恐怖心の表れの1つであることもよくわかるし、ヴォルデモートの脅威と唯一対決した人間としての焦り(しかも世間はおめでたすぎるほどの楽観者ばかり!)でもあることがヒシヒシと伝わってきました。

それにしてもハリーの父親って若かりし頃にはいけすかない野郎だったんですねぇ。  スネイプ先生じゃなくてもああいう傲慢 & 自己陶酔型の♂は許せない!!(笑)  顔も知らない父親を英雄視していたいハリーにとってはかなりショッキングな父親の姿だったよなぁ・・・・・。  でも、あの過去を知ったうえであってもシリウスを誰よりも愛するハリーを見ていると、彼がいかに「愛に飢えた子供」だったのか胸が痛みます。  だって、実際にはシリウスとの接点はさほど多くもなかったうえに、あの過去ですよ!!  KiKi だったらシリウスをあそこまで一途に愛せるかどうかわからない・・・・。

ドビーはここでも大活躍!!  「秘密の部屋」で自虐行為ばかりしているドビーに初めて会ったときは「何だ? コイツ??」と思わないでもなかったんだけど、そして映画では扱いがかなり軽いドビーだけど、実は彼ってハリーと並んでこの作品の中では超重要人物(妖精)なんだと思います。  だいたい「自立を求めたいとさえ思わない種族」の中でただ一人孤高の理想を掲げて頑張っている姿は美しくもあり、滑稽でもありで目が離せません。  と、同時に「環境が人を作る」という典型的な一例がこのドビーには良く表れていると思います。  (特に相も変わらず自虐癖が治らないあたりに・・・・・苦笑)

ネビルがその本領を発揮し始めるのも素敵です。  学校なんかでは決して目立たない(つまり勉強ができるわけでもなければスポーツが得意なわけでもなく、いわゆる地味な子)存在でも、実は根っこはかっこいいという「一般人の代表選手」です。  ハリーみたいに「生まれながらに特別」に見える子とネビルみたいに「脇役に甘んじそう」に見える子が実は本質的には変わらない・・・・・というのも素敵なテーマだと思いました。


最後に・・・・・・

この物語で描かれている「ハリー中傷合戦」の描写を読んでいるとき、KiKi はあの「福島原発事故以来の政治家の皆さんのあれこれ」や「風評被害」という現象を思い出していました。  そしてストーリー全体を知っている私たちは「日刊予言者新聞」の胡散臭さを知ったうえで魔法大臣ファッジやマスコミに翻弄されているフツーの魔法使いの皆さんを腹立たしく感じたりもするわけだけど、これを私たちの日常生活に置きかえた時、あの「日刊予言者新聞」に踊らされていたフツーの魔法使いの皆さんのことを決して笑えない自分の姿をもう一度省みることにもなりました。

世の中で何が恐ろしいって「悪意なき○○」「善意のつもりの○○」の持つ落とし穴ほど恐ろしいものはないなぁと改めて感じました。

    

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年2月14日 12:07に書いたブログ記事です。

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