ハリー・ポッターともうひとりの魔法使い M.シャピロ

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ハリポタシリーズを読書している間は、せっかく図書館から本を借りてきてもそれらの本をなかなか返却期限までに読み終えることができないことが実証されました。  前回、図書館から借りてきた本のうち「電子書籍の衝撃」以外はまったく手をつけることさえできないまま返却期限を迎えてしまった KiKi。  そこで借りてあった未読本を「読まないまま返却しても惜しくない本」「できれば返却せずに読了したい本」に分けました。  後者に残したのはウンベルト・エーコの「フーコーの振り子 上下2巻」で、そちらは貸し出し延長手続きを、貸出上限5冊のうち残り3冊は薄くてさらっと読めそうで、仮に読了することができなくても惜しくないと思える本を新たに借り出すことにしました。  その「薄くてさらっと読めそうで、読み終えることができなかったとしても惜しくない3冊のうちの1冊」を昨日読了しました。 

ハリー・ポッターともうひとりの魔法使い J.K.ローリングの素顔
著:M.シャピロ 訳:鈴木彩織  メディア・ファクトリー

513CB1BDKWL._SX230_.jpg  (Amazon)

離婚、失業、生活保護・・・・。  カフェの片隅で乳母車をゆらし魔法の世界を紡ぎ続けたシングルマザーの物語。  平凡の中に非凡があり、偶然の中に必然が潜む。  「ハリー・ポッター」シリーズの作者、J.K.ローリングの伝記。  (Amazon より転載)

個人的にはこの手の便乗本はあんまり好きじゃないし、ことこの本に関しては薄さから判断するに大した内容ではないだろうとは思って手に取ったのですが、そこはやっぱり案の定(?)でした ^^;  J.K.ローリング本人や彼女の周りの人を直接インタビューしてまとめた本・・・・と言うよりは、ハリポタ人気によりあちらこちらのメディアである時点までに行われた膨大な量のインタビューとか、インターネット上の情報を集めて繋ぎ合わせてまとめただけ・・・・・という印象の本です。

それでもこの本を読んでみようと思ったその訳は、マスコミ等がJ.K.ローリングを紹介する際に必ず使う、そして上記の Amazon の紹介の中にも書かれている「離婚、失業、生活保護・・・・・。  カフェの片隅で乳母車をゆらし魔法の世界を紡ぎ続けたシングルマザー」という決まり文句にある種の不快さを感じていたからにほかなりません。  「生活が苦しかったシングルマザーの女性(つまり普通の女性よりは可哀相度が高い女性)のサクセス・ストーリー」というイメージ作りの仕方が気に入らない・・・・・とでも言いましょうか?(笑)

 

今回、「ハリポタ」を再読してみている中で KiKi がず~っと感じていたこと。  それは名もない新人作家の彼女が書いた「ハリポタの世界の構築の仕方」の巧妙さと、新人作家に最初から連作のオファーがあったとは考えにくいわけで、そんな彼女がどうやって連作を書くに至ったのか?ということに猛烈な興味があったんですよね~。  つまり第1作を書く時点で、第7巻までのおおまかなプロットがすでに構築されていたのかどうか、それが出版されることを前提としていたものだったのかどうかに興味があったわけです。  (ま、興味があったとは言うものの、彼女のインタビューを欠かさず読もうと思うほどは熱心ではなかったけれど・・・・・ ^^;)  

例えば J.R.R. トールキンの「指輪物語」を例にとるならあの作品は彼自身のライフワークの結実という側面(≒ 世界観の構築に長い年月が費やされている)が一方にあり、作家としての認知度としては「ホビットの冒険」の成功体験というものが先にあったうえに、彼の本職が大学の先生という箔までついている中で書かれた作品が「指輪物語」なわけです。  そんな彼の作品と比較してこの「ハリポタ」を俯瞰してみると、「生活保護を受けなければならなかったほど困窮していた可哀相な女性がふと思いついて書いた物語」でありうるはずがない・・・・・と。

例えば KiKi のもう一つのお気に入り本、上橋菜穂子さんの「守り人シリーズ」はシリーズが進むにつれ世界が広がっていっている(扱う国が異なる、文化が異なる)わけで、登場人物や世界観こそどこかで重なっているものの、どう読んでみても第1作の「精霊の守り人」を書いた時点で最終作の「天と地の守り人」までの流れが作り上げられていたとは考えにくい(そこまで伏線が張られているわけでもない)と思うんですよね。

対する「ハリポタ」は第一作の時点ではさほど伏線らしきものは張られていないように感じられるし、せいぜいが「運よく連作になったらハリーの何年後かにはヴォルデモートとの直接対決がある」ということと、ホグワーツの1学年につき1作ずつ書けたら楽しいなぁ♪」ぐらいの感覚で書かれた物語だったような感じがするんですよね。  でも、第二作あたりからは連作を前提とした伏線が張られ始めている・・・・・。

その理由がこの本を読んでみて理解できました。  彼女は出版される本の作家としては新人だったけれど、人生の中でずっと物語を書き続けてきた女性だったこと。  たまたまこの「ハリポタ」を書き始める時点では1年間だけ社会福祉のお世話にならざるをえないちょっと不幸な境遇の女性だったけれど、本質的には子供時代から作家だったこと。  物語の世界を構築するために多大な準備期間があったこと。  第1作が英国のみならず米国でも販売されることになったことを契機に7作の連作ものになることが決定されたこと。  第1作を書き上げてから第2作に着手するまでにそこそこ時間があり、その間に連作全体のおおまかなプロットが固まったこと。 etc. etc.  

なるほどね~。  そんないきさつがあったからこそ、第2作ぐらいから最終作を意識した作品作りになっていったんですねぇ。  納得です。

さて、今回借りてきた「薄くてさらっと読めそうで、読み終えることができなかったとしても惜しくない3冊」の他の2冊は以下の通りです。


幻の動物とその生息地(ホグワーツ校指定教科書 その1)

マグルのためのハリー・ポッター魔法百科


ホグワーツからは能力的にも年齢的にも決してお呼びがかからないだろう「魔女願望」のある KiKi (マグルのはしくれ)がホグワーツの教科書を眺める機会があるというだけで楽しめそうでしょ♪  本作のデザート感覚でさらっと流し読みできればと思っています。


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年2月15日 11:34に書いたブログ記事です。

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