リスト 2つの伝説(S.175)より「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」

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本日ものだめちゃんの2回目のサロン・コンサートのプログラムからの1曲です。  リストの「2つの伝説」の中のもう1曲、別のフランチェスコさんから題材をとった音楽の Review はこちらです。

リスト 2つの伝説(S.175)より「水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ」
NAXOS 8.553594 J.ヤンドゥー(pf)

51Ik03GKocL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

この曲を聴く際にはやっぱりこの絵を傍らに置いて耳をすませたいものです。

5388e5b9.jpg

曲調もそのまんまでも描写的なうえに、この絵を見ながらこの曲を聴くと、高音のトリル & トレモロを奏でているのが鳥たちの囀りに、低音の落ち着いた語り口がフランチェスコの説くキリストの教えに聴こえてきます。  最初は思い思いに囀っていた鳥たちが中間でフランチェスコの言葉に耳をすませ、その後は彼の言葉に反応し、言葉を交わしあうようになり、最後は再び静かになり、低音の主旋律とトレモロ・トリルが対話するように交互に歌って、両方の旋律がポロロンと優しく鳴ってエンディング・・・・そんな風景が目に浮かぶのではないかしら。


因みにこのフランチェスコさんのお名前はアメリカのとある大都市の名前にも影響を与えています。  そう、あの「サンフランシスコ」の名前の由来はこのフランチェスコさんにあるんですよね~。  この方、若かりし頃には放蕩息子みたいな生活をしていた金持ちの鼻持ちならない「ぼんぼん」だったのが、ある時改心してキリスト教に帰依し、フランシスコ修道会を起すに至ったというと~っても偉いお方なのです。

キリスト教とはあんまり縁の濃くない一般的な日本人にとっては「修道会」な~んて言ってもあんまりピンとこないことも多いけれど、実はこの修道会、キリスト教の教えを広めるためにはと~っても大切な役割を担っていたんですよ。  イエスは弟子たちに、全世界に福音(Gospel、「神の国が到来した」というイエスのメッセージ)を宣べ伝え、その教えを広めるようにと言い残しました。  私たち日本人にとって「ミッション(mission)」と言う言葉は、ミッション・インポッシブルなんかで使われているように「使命」と認識されがちだけど、もとはと言えば、この「福音宣教」とでも呼ぶべき意味合いで使われていた言葉でした。

イエス直系の弟子たちの時代にはこの言い残しを大切に、熱心な布教活動に励んだのが初期キリスト教の姿で、その過程では多くの苦難・迫害に遭遇したわけだけど、キリスト教が世界各国に伝わっていって一大勢力を築き上げた後、いわゆる「中世」と呼ばれる時代に入る頃になると、教会の姿も少しずつ変貌していきました。  そんな頃に登場したのがこのアッシジの聖フランチェスコさんです。

彼が起した「フランシスコ修道会」は「托鉢修道会」と呼ばれるカテゴリーに属し、この「托鉢修道会」は中世中期に広大な土地を所有し経営を行って荘園領主化していった修道会の腐敗に対する反省として生まれたものでした。  既存の教会や修道会に対して厳しい批判をする人たちの集まりということもあり、従来の聖職者との衝突は避けようがなく、これらの「托鉢修道会」の多くはローマ教皇の力によって解散の憂き目を見ることになります。  そんな中、この「フランシスコ会」とか有名なところでは「ドミニコ会」などはローマ教皇から認知され、ローマ教皇を中心としたキリスト教支配体制の中に徐々に組み込まれていきます。

さて、大きな組織体制の中に組み込まれるということは、存続の危機という憂き目からは逃れられるものの、設立当初に彼らが独自に掲げたビジョンとは相容れない部分が出てくるという宿命を負うことを意味します。  そこで、聖フランチェスコさんは修道会を設立した当初の志に立ち返る必然性を感じるようになるのですが、結果的にはローマ教皇庁の圧力に屈することになりました。

これを潔しとしなかった聖フランチェスコさんはもはや自分の手からは離れてしまった修道会を高弟に委ね、彼と志を同じくする数名の弟子を連れて「アルヴェルナ山」というところに入り、祈りと瞑想の生活を送り始めます。  ものの本によれば、この時に山で彼ら一行を迎えたのが小鳥たちで、フランチェスコは鳥たちを相手に「説教(の練習)」を始めたとのこと。  これを見た弟子たちは、「鳥たちすらも師の説教に聞き入っている!」と感銘を受けたとか、受けなかったとか・・・・。

これが本当の話なのかどうか・・・・はともかくとして、ジョットという偉大なフレスコ画家に前頁で紹介した絵を描かせ、リストという偉大な音楽家 兼 宗教者にこんなにも魅力的な曲を作曲させ、世界中に「フランシスコ」に由来する名前を持つ都市を残した・・・・・というだけでも物凄い事だよなぁと感銘を受けずにはいられません。

もっとも・・・・・・

これって言ってみれば か☆な☆り 巧妙な「プロパガンダ」であることは否めないんですけどね(苦笑)

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