図南の翼 小野不由美

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図書館で借りた本を読む間、ちょっと据え置き状態になってしまっていた「十二国記シリーズ」の6作目を読了しました。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

図南の翼
著:小野不由美  講談社X文庫

51FECXWD4QL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

恭国は、先王が斃れてから27年。  王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。  首都連檣(れんしょう)に住む珠晶(しゅしょう)は、豪商の父をもち、不自由のない生活と充分な教育を受けて育った。  しかし、その暮らしぶりとは裏腹に、日ごとに混迷の様相を呈していく国を憂う少女は、王を選ぶ麒麟に天意を諮るため、ついに蓬山をめざす。  珠晶、12歳の決断。  「恭国(このくに)を統べるのは、あたししかいない!!」。  (文庫本扉より転載)

前回読んだ「風の万里 黎明の空」の Review でも書いたように、KiKi はこの恭国の珠晶という女の子(と言っても王様だけど・・・・ ^^;)に並々ならぬ興味を持っていました。  恐らくもっと若い頃の KiKi であればあの子のこまっしゃくれた感じ、小賢しい感じにちょっとした反感みたいものを感じたかもしれないんだけど、この年齢まで生きてきて、社会の荒波にもそこそこ揉まれて、人の上に立つ経験もしてきた身からすると、あのセリフを衒いもなく言い切れるということだけで彼女の潔さ、傑物ぶりが頼もしく感じられることはあっても、嫌いなものではありません(笑)。

そんな珠晶の「じゃじゃ馬ぶり」が全開なのがこの物語だと思います。  まあ、「女の子は可愛くあれ」「誰からも愛される奥ゆかしさを持て」というような類の教育方針を持つ親だったら「目も当てられない・・・・(ため息)」というような女の子だとは思うけれど、もしも KiKi が彼女の母親だったら誇りに感じるだろうなぁ。  それは結果的に王になれたからというよりは、彼女の言動一つ一つが素晴らしいと感じる故なんですけどね。  

彼女のもっともすごいところは自分が「並はずれた考える力を持つ者」であることを信じられるところだと思います。  そして常にその並はずれた考える力をフル動員して考え続けることを諦めないところ。  ただ考えて理屈をこねまわすだけではなく動いてみること。  考え動いた結果が望ましいものではなかった場合には、最悪の結果だけは回避するためにそれまでのありとあらゆる学びを生かす方策を考え実行できるところだと思うんですよね。

そうであればこそ、彼女自身は「運がいい」の一言で済ませている様々な出来事がちゃんと彼女の身に帰ってくるんだと思うんです。  日ごとに混迷を増す国で、人並み以上の生活ができていて何不自由ない暮らしをし、用心棒までいて我が身の安全は他の人よりもずっと担保されている少女が、義務感にかられて昇山(しょうざん ≒ 王の資格があるかどうかを問う厳しい旅に出る)というのにまずガツンとやられます。  1億総評論家とまで言われる現代社会の中でここまできっちりと「義務感」を意識できる人はなかなかいないんじゃないかしら・・・・・。  旅の間、かなり生意気っぽい、「我こそは王にふさわしい傑物なり」的な口をきいている珠晶だけど、最後の最後に王の役目を自分が果たせると本気で思っているのか?と天仙に聞かれた時に

「そんなこと、あたしにできるはず、ないじゃない!」

と叫び、それなのに何故恵まれた暮らしを捨ててまでして昇山しようと思ったのか?と問われると、

「そんなの、あたしばっかりだいじょうぶなんじゃ、寝覚めが悪いからに決まってるじゃない」

という彼女が本当にカッコイイと思うんですよね~。  正直なところ、「なるほど、それだったのか!!」と納得させられちゃった感じです。  KiKi はある年齢になるまでは人様にご迷惑をかけない自分を確立するためだけに必死だったし、「自分さえよければそれでいい」とまでは思わなかったけれど、「人のことを考えられるようになるためにはまず自分」と思っていたのは事実だし、「自立した個人の集まる社会を目指すべき」とさえ考えていたような気がするんですよね。  でも彼女は自分が恵まれていたからこそ・・・・ではあったかもしれないけれど、義務感を募らせたっていうのは凄い事だと思う。

人は恵まれている人をうらやみ「苦労知らず、世間知らずのお嬢さん(お坊ちゃん)」とやっかみ半分で陰口をきいたりするものです。  そしてそんな陰口をきかれても仕方ないタイプの人間も確かにいるわけだけど、中には珠晶のように恵まれすぎている自分の境遇に疑問を感じ、ある種の羞恥心までもを抱えながら自分の思いを口に出すことができずにいる人もいる。  何故ならそんな人が何を言っても「苦労知らずで頭でっかちの減らず口」としてしか扱ってもらえないことがわかっているから・・・・・・。  だからこそ珠晶は「この国を統べるのは、あたししかいない!」と言うしかなかったし、何はともあれ行動に移すしかなかった・・・・・・。  そんな彼女の心の筋の太さ、真っ直ぐさがまぶしく感じられます。

命からがらの昇山の旅もほぼ終わり・・・・というところで、逢山から「王気が見えた」と麒麟が珠晶を出迎えにきたあとの彼女がこれまたカッコいい♪

「だったら、あたしが生まれたときに、どうして来ないの、大馬鹿者っ!」

いやはや、これでこそ KiKi が一目ぼれした珠晶です(笑)

最後にもう一つ・・・・・

「東の海神 西の滄海」で印象的な脇役として登場した更夜(こうや)がこの物語で再登場してくれたのも嬉しかった。  何だかとっても懐かしい友達に再会したような不思議な気分でした。

     

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年3月 2日 11:08に書いたブログ記事です。

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