ぼくの・稲荷山戦記 たつみや章

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「月神シリーズ」を図書館から借り出して読了したので、同じ作家さんの他作品も読んでみたいと考え「神様三部作」と呼ばれる作品群にも手をだしてみることにしました。  いくら外来物主流の世界とは言えどもアチラモノばかりを有り難がっているのもどうか?と思わないでもないし、肝心要の日本古来の宗教に関してはまったくと言っていいほど無知な西洋かぶれの自分に喝を入れるためにもいいかな?な~んていう殊勝なことを考えたっていうのもあります。  この本を読了したのは実は3月2日のことだったんだけど、3日 & 4日はちょっとした野暮用であちこち駆けずり回っていたので、このエントリーは今日になってしまいました。  ま、いずれにしろ本日の KiKi の読了本はこちらです。

ぼくの・稲荷山戦記
著:たつみや章  講談社文庫

51NK0V5A3NL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

先祖代々、裏山の稲荷神社の巫女(みこ)を務めるマモルの家にやって来た奇妙な下宿人。  腰まで届く長髪に和服の着流しの美青年・守山初彦(もりやまはつひこ)は、山と古墳をレジャーランド開発から守るために動き出す。  守山に連れられ、マモルがまみえた太古からの"存在"とは?   第32回講談社児童文学新人賞受賞の著者デビュー作。  (文庫本裏表紙より転載)

なかなか素敵な物語でした。  ただ、開発する側が「レジャーランド」という人が生きていくために必ずしも必須ではない施設を作ろうとしている会社で、明らかに「お金儲け」のために動いているという設定になってしまっているために、お話全体がある種の「綺麗事」になってしまっているのがとても残念な気がしました。  この方の作品の傾向なのか(と言ってもまだまだ大した冊数は読んでいないんだけど ^^;)、常にお話の中に登場する相手方が「悪の衣を纏っている」設定なんですよね~。  子供には分かりやすさが必要・・・・・ということなのかもしれないけれど、世の中、悪は悪の顔をしているとは限らないわけでして・・・・・・。

もっとも、そういう設定であればこそ、現代っ子の一少年がこの「環境保護運動」というような社会運動に身を投じる気にもなるんだろうけれど、逆に言えばマモル君の持つ「才」だとか稲荷神社の巫女の家系の生まれという設定があまり生かされていないお話になってしまっているのがちょっと残念でした。  まあ、「この世ならぬ者」と接触することができる・・・・・・というだけでも彼の「才」は十分すぎるほど生かされているということなのかもしれませんけどね(苦笑)


環境保護を訴えたりする社会運動って KiKi は興味がないわけじゃないんだけど、なかなか身を投じようとまでは思えないままこの年齢まできてしまいました。  KiKi が身を投じる決心ができずにきた一番の原因は、どこかに「偽善的な匂い」を感じていたからです。  そういう活動に身を投じている人を「偽善者」として非難しているわけではなくて、KiKi 自身がそれに身を投じた場合には偽善にしかならないということを直感的に感じていたっていう意味なんですけどね。

都会でマンション暮らしをして、食糧も衣類も生活を便利にする家電製品の類もすべてをお金で買って消費一方の生活をしながら、環境保護を訴えるのは、どこかチグハグな感じがして仕方ありませんでした。  本気で環境保護を人に訴えるなら自分の生き様がそれに見合うものなのかどうか、ちゃんと自己反省をする必要があると感じていました。  自分の生活は車や電車といったような利便性の高い道具に囲まれ、冬も夏も快適な室温を保つクーラーに守られながら、さらには買い物や交通の便利の良い都会に暮らしながら環境保護を訴えるのはお門違いだろう・・・・・と。  じゃあ、もうすでに手に入れて利便性を堪能し尽くしてしまった様々なモノを捨てる覚悟が自分にはあるのか?と自問してみれば、今更それらの利便性を放棄したくはなかったし、同じ世代の人たちと大きく異なるようなライフスタイルを選択して平然としていられる自信もありませんでした。  

どんどん自然が破壊されていることを知識として知っていて、どこかで歯止めが必要だと頭ではわかっていても、今さら昔の生活に戻れるわけでもなし、せいぜいが昭和35年ぐらいまでの生活がいいところだろうなぁ・・・・・と。  因みに KiKi は昭和36年の生まれなんだけど、KiKi の家にTVが来た(当時はTVが家に設置されると、TVが来たと言っていた 笑)のが、幼稚園の年長さんになってからで、電話は小学生になってから設置されました。  クーラーは高校生になってからようやく設置されたので、夏は扇風機 & うちわ、冬は石油ストーブ & コタツが当たり前という時代でした。  食べるものと着るものには不自由しなかった(但しデザインがどうこう言えるような代物ではなかったり、とか、持っている洋服の数なんかは今とは比べものにはならなかったけれど)し、とりあえず寒も暖もとれる状態ですねぇ。    

でも扇風機は電気がなければ動かないし、石油ストーブは灯油がなければ使えません。  それらの大元となる資源は結局は自然から人間が略奪して得ていたものだったたわけで、そこまで考えていくと結局、どこまでだったらOK、ここからはNGと言えるものなのかどうかもよくわからない状態で環境保護を口にすることはできないなぁと思っていたのです。

他の生き物のことを人間よりも劣るものと考えるような考え方はさもしいと思いつつも、蚊やハエを見れば眉をしかめ駆除に走り、虫食い菜っ葉や実の大半を動物に食い荒らされたとうもろこしやらイモやらを「C級品(販売できない品質のもの)」として扱うような人間本位の価値観を持ちながら、環境保護もへったくりもない・・・・・・というのが KiKi のホンネだったりもします。  

以前、まだ村に来て間もない頃、ある農家さんとお話をしていた際に彼女が仰った言葉が端的にそれを表していると思うんですよね。

都会の人って面白いよねぇ。  ハエがブンブン飛んでいると不衛生とか言って殺そうとするし、虫に刺されたと言っては大騒ぎするくせに、「有機栽培野菜」だったらお金を出すって言うんだから・・・・・。  そんなに有機栽培がいいんだったら、ハエや虫で大騒ぎするなって言うの。  自然にしていたらハエや虫はいるもんなの!  

そうなんですよね~。  人間の自然志向っていうのはことほど左様にご都合主義なんですよ(苦笑)。  我がLothlórien_山小舎の庭先農園で収穫した葉物野菜なんて、見た目は虫食いだらけのうえ、茹でていると煮られちゃった青虫がプカ~っとお鍋に浮かんできたりもするんだけど、元が田舎育ちの KiKi はそれを見ても別にショックは受けない(ああ、可愛そうなことになっちゃったなぁ とは思うけれど)けれど、昨年の夏に我が家に遊びに来た都会人は一様にショックを受けていたんですよね~。  菜っ葉についた青虫なんていうのは菜っ葉しか食べていないようなものだから、害も何にもないうえに、ほとんどの場合そうやって茹でている間に浮かんじゃうから、それをちゃんと取り除けば菜っ葉と一緒に食べちゃうリスクなんてそんなに大きくはないんですけどねぇ・・・・・・・。

ま、そういう意味ではこの物語の中で社会運動を取り上げているのは正直なところあんまり感心はしなかったりもするんだけど、現代のコンクリートジャングルに育った子供たちに、本来自然っていうのは休みの日にレジャーで行く観光地だけにあるものではなく、私たちが暮らしている身近なところにあったものだったんだということの気づきの文学としてはいいんじゃないか・・・・・と。  ただ、弱いなぁと思ったのは「人は存在するだけで、そして繁栄すればするほど環境を破壊するものである」ということまでは至っていない、やっぱりどこかに人間のご都合主義を許したままのお話になってしまっているあたりでしょうか。

この物語の中でミコト様が仰る「石から芽吹く緑にわたしを見よ」が名言です。  都会のアスファルトだらけの道路でも時に見かける、コンクリートの割れ目から芽吹いている雑草の逞しさ。  多くの場合、それは税金で雇われたどこかの誰かがシーズンごとに抜き取ったりしているので、山の中のように大々的に繁茂して草ボウボウとまではなっていないんだけど、あれが自然の力であること、自分ではない誰かが雑草駆除の活動をしていて、都会が作られていることに現代の子供には気がついてもらいたいものです。    

さて、次は「夜の神話」です。  どうやらこちらは「原子力発電所で発生した事故」に関して触れられた物語になっているようです。    

    

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年3月 5日 11:42に書いたブログ記事です。

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