イサナと不知火のきみ たつみや章

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今日もまた、たつみや章さんの作品です。  本日の KiKi の読了本はこちらです。

イサナと不知火のきみ
著:たつみや章 絵:東逸子  講談社

51TEX7S30ML._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

綿津見一族の娘イサナは、不思議な声に導かれ、大船を造るための大木を探しに、兄やクレとともに船出した。  やがて声のするマツの木を見つけるが、その中には龍王の子が封じこめられていて、イサナが木から助けだしたために、龍の魂をねらう悪しきものや恐ろしいシャチに追われることとなる・・・。  神とともに生きる海の民綿津見一族と、不知火の海を支配する龍一族の海洋冒険ファンタジー。  (単行本扉より転載)

KiKi は自分のことを「海の人」というよりは「山の人」だと感じているようなところがあります。  日本は四方を海に囲まれた島国で、KiKi 自身は静岡県で生まれ育ち、泳ぎはプールというよりは海で身につけ、子供時代には父親と一緒にトローリング(と言ってもマリーナなんかに係留されているようなカッコいいモーターボートではなく、ゴムボートに船外機をつけただけの船だったけれど)をはじめとする海釣りの経験もそこそこあったりする人種ではあるのですが、長じるにつれ海よりは山に惹かれるようになりました。  惹かれるという言葉だと憧れみたいなニュアンスが入っちゃうとするならば、落ち着くという言い方の方がピッタリくるかもしれません。

そうであるだけに KiKi の血の中には「弥生人の血」よりも「縄文人の血」の方が濃く残っているんじゃないかとず~っと思ってきたんだけど、ここ、高山村に来て知り合いからいただいたクマ肉が食べられないという経験をしてからこのかた、その「縄文人の裔を継ぐ者」であるという自信(?)はずいぶん揺らいじゃいました。  そう、食生活だけを考えると KiKi が好むのは肉よりは魚、つまり「山の人」というよりは「海の人」なんですよね~。  その割には相も変わらず「やっぱり KiKi は山の人」と無理やり自分に信じ込ませようとしているようなところがあります。

そうであるだけに、海洋冒険ロマンというやつは KiKi の食指にはこれまであんまり働きかけてくるものがありませんでした。  でもね、そんな KiKi であってさえも水神様の龍にだけは無関心じゃなかったりします。  それは多くの場合、山の中の水源なんかで祀られている水神様も龍のお姿をとっていたりすることとも無関係ではないのかもしれません。  ま、てなわけで、この物語も龍が出て来なかったらひょっとするとちょっぴり敬遠していたかもしれません。

   

龍って言うのは不思議な生き物ですよね~。  多くの場合生き物にはその種固有の「生息地」があったりするものですが、西洋のファンタジーに出てくる龍(というよりドラゴン)はその大半が山にいるような気がするけれど、我が日本国では「水」というキーワードだけは共通しているものの、「海神」だったり「山の神」だったりするんですから。  まあ、それもこれも「想像の産物」故なのかもしれませんが・・・・・。

でもそんな風に神出鬼没(?)な存在であるだけに、この物語で不知火のきみの子供であるヒコナ(実は龍神)が松の木に宿って成長したな~んていう荒唐無稽な出だしであっても、「まあ、龍ならさもありなん・・・・・」と何となく納得させられちゃうんですよね~(苦笑)。 

この物語は連作なので、この「イサナと不知火のきみ」だけだと、このファンタジーに登場するすべての人たちの顔見世と言う感じで幕を下ろしてしまうんだけど、今回の物語はどうやら「綿津見一族 & 不知火の神 & 龍神連合軍」(善) vs. 「シャチに率いられた禍々しい海洋生物連合軍」(悪)の闘いの物語・・・・・という展開になるようです。  相も変わらずたつみや作品らしい「善 vs. 悪」の対立の物語なんですねぇ。  まあ、これが児童文学の書き方の鉄則なのかもしれませんが・・・・・・。

絵画的な描写という意味ではやはりだいぶ洗練されてきた感じはあって、東逸子さんの秀逸な挿絵の力もあって、一つ一つの場面がくっきりと想像できる美しい物語だと感じたけれど、はてさて、この物語はどんな風に収束していくのかしら・・・・・・。  それにご本人もあとがきで仰っているけど、「最強肉食海洋生物;海のギャング」と呼ばれるからといってシャチを悪役にしちゃっていいのかなぁ・・・・。  彼らだって肉食獣(魚?)として生まれちゃっただけで、そこに善悪な~んていう感情はないのにねぇ。  

因みにこの物語に登場する主人公の1人、イサナ(彼女の作品には珍しく女の子♪)の人物造形はかなり現代的です。  龍神さまであるはずのヒコナも KiKi がイメージする日本の神様らしい尊大さは辛うじて言葉づかいや居住まいに反映されているけれど、もっともっとくだけて親しみやすい感じです(苦笑)  そういう意味ではイサナ & ヒコナの夫婦漫才を読んでいる気分にならないでもない・・・・・。

この本を手に取ったときから「イサナ」は「イザナミ」から採った名前だろうなぁと思っていたんだけど、そこは案の定だったみたい。  今のところ漂流民でありイサナに助けられたクレの正体がまったくはっきりしないんだけど、彼はこれからどんな活躍をしてくれるんでしょうか??  多くの謎を頭の片隅に置きながら、下巻(「イサナ 龍宮の闘いへ」)にすすむことにします。


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年3月 9日 11:28に書いたブログ記事です。

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