不毛地帯(1)&(2) 山崎豊子

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野良仕事に追われまくっている間に少しずつ、少しずつではあるものの読了した本が2冊あるので、忘れてしまわないうちにその Review を書いておきたいと思います。

不毛地帯(1)
著:山崎豊子 電子書籍

51qESAxre1L._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)  (Sony Readers)

拷問、飢餓、強制労働――11年に及ぶ地獄のシベリア抑留から生還した壹岐正は、第2の人生を商社マンとして生きる事を決意する。  「商戦」という新たな戦いに身を投じ、戦後日本の高度成長を陰に陽に担った男を活写する、記念碑的長編。  (Sony Readersより転載)

不毛地帯(2)
著:山崎豊子 電子書籍

51aiCpxk8ML._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)  (Sony Readers)

商社マンとして生き抜くことを宿命と感じるようになった壹岐は、防衛庁の次期戦闘機選定に伴う商社、メーカーの熾烈な受注合戦に巻き込まれる。  国防のため、真に優れた機を採用させようと奔走するが、背後には次期総裁選をめぐる暗闘が横たわっていた。  壹岐は政界や防衛庁内の利害が複雑に絡み合う「黒い商戦」で水際立った手腕を発揮する。  しかし、その代償もまた大きかった。  (Sony Readersより転載)

KiKiの学生時代、文系男子大学生にもっとも人気のある就職先は商社でした。  今はどうなんだろう??とちょっと興味を持ったのでネットで調べてみたら、相変わらず文系男子の希望就職先ランキングでは上位を占めているみたいですねぇ。  因みにその時代、文系女子の希望就職先上位は JAL や ANA のスッチーでした。  天邪鬼の KiKi は「どうしてみんな空飛ぶ女中にそんなに興味があるんだろう??」と公言して、顰蹙を買っておりました。

まあ、綺麗な制服を着て、海外にしょっちゅう行けて、ペイも悪くなくて・・・・という意味では憧れる気持ちもわからないじゃないし、未だに「男尊女卑」が根強かった日本社会においてスッチーという世界だけに関しては「女性天国」みたいなイメージもあったんですよね。  KiKi は大手の会社で「うちの課の女の子」に甘んじる気はさらさらなかったけれど、かと言ってスッチーになる気にはどうしてもなれなくて、夢想していたのはスッチーとして人様にサービスする側よりもスッチーにサービスしてもらう側の人間になりたいと思っていました(苦笑)。

さて、この物語、KiKi が初めて読んだのは学生時代でした。  「戦争を知らない子供」として生まれた KiKi にとって、この物語の第1巻で描かれるソ連抑留時代の主人公の描写はショックを通り越して、毎晩うなされるほどの衝撃がありました。  そして平和な時代に生まれ、国家に守られているという実感こそないものの、日々生命の危機を感じずに生きられることに深く感謝したものでした。

余談になりますが、大学院進学という選択肢もあった中で「早く社会に出て一人前にならなくては!!」という焦りにも似た気持ちを持った背景には主人公をはじめとする戦後日本の復興に尽力する商社マンたちの生き様に影響を受けた部分が多分にありました。  「自分が社会のために何ができるのか?」は当時の KiKi にとって想像を絶するほどの甚大なテーマでした。  と同時に KiKi が生まれて初めて「女に生まれたこと」に対して、ある種の置いてけぼり感を募らせた物語でもありました。

と言うのも、当時の商社では「女子社員」というヤツは男子社員の花嫁候補生、いわゆる「腰掛け就職」が歓迎される風潮のようなものが根強くあったんですよね~。  学生時代までは男女差別とは無縁の世界で時間を過ごしてきたにも関わらず、社会に一歩踏み出そうとすると「性差別」が根強く蔓延っていた時代、根拠はないまでも「その気になれば KiKi だって!!」というような想いに苛まれたものでした。

主人公の壱岐正を自社に是非と乞う大門社長の言葉に「嘗て国家の総力を傾けて養成し、今の貨幣価値に換算すれば、1人数千万の国費をかけた参謀クラスの人材」というものがあったけれど、KiKi の場合国費こそかけてもらったことはないけれど、地方の薄給教員の決して潤沢とは言えない家計の中から4年生大学までの教育費を惜しみなく投入してもらった負い目・・・・みたいなものがあって、「ひとかどの者になる」ことは半ば義務のように感じていたものでした。

そうであるだけに、あくまでも観念論の世界ではあるものの「役に立つ人材」であることを早く証明しなければいけないようなそんな気持ちがありました。  でも、そんな自覚を持ちつつも KiKi には欠けていたもの、それは「誰の役に立つことが大切か?」というこの「誰」がはっきりしていなかったことです。

この物語の主人公、壱岐正はちょっと理想化されすぎている感は否めないと感じるんだけど、さすが国費で養成された人物だけのことはあり、明確に「国益のため」という意識が漲っています。  この年齢まで生きてきた KiKi にとってはこの「国益のため」というのもかなり胡散臭い言葉だと感じているのは正直なところだけど、KiKi のように「何のため」が不明確だった人間にしてみればその良し悪しはともかく、対象物を明確に意識できているだけでも物凄いことです。

敗戦国日本が、戦後復興の様々な努力の中で、アジア諸国から憧憬のまなざしで見られるほどの経済復興を成し遂げた陰には、この「国益のため」に果敢に経済戦争に身を投じていった先人の努力があったことを改めて感じました。  高度経済成長の真っ只中で、ひたすら浮かれて学生時代を過ごしていた我が身を省みると穴があったら入りたい気分です。

第2巻で描かれる前半の防衛庁・戦闘機購入にまつわる商戦に関しては KiKi にとって未知のビジネス領域の話だったので面白く読むことができたし、後半の業務本部で取り組む会社の方向性確定、革新という話は KiKi にとってはどちらかというとお馴染み(要は仕事で何度も携わってきた分野)のお話で、ありがちな確執・ドロドロに懐かしさに似たものを感じました。  たまたま今、某社でそっち系のコンサルタント仕事の話がきている時なだけに、ちょっとしたウォーミング・アップにもなったし・・・・(笑)

さて、第3巻は外資自由化のお話です。  外資系企業を渡り歩いてきた身としては「これ」があったから食い扶持に困らずにここまで来れた・・・・・とも言えるわけで、興味深いのと同時に、そんな外資畑でグローバリゼーションの強烈な洗礼を受けたものの、最近ではローカリゼーションにもかなり傾斜しつつある自分の立ち位置を意識しながら読み進めたいと思います。 

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