逆説の日本史 1. 古代黎明編 井沢元彦

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先日、たまたまTVをつけたら 「BS歴史館」という番組をやっていて、その日のテーマは「古代史最大のミステリー 邪馬台国の魔力に迫る」というものでした。  なかなか興味深く観ることができ、と同時に俄然日本の古代史に惹きつけられてしまったということがあって、山崎豊子さんの「二つの祖国」を読み進めている最中・・・・ではあるものの、長らく積読状態だったこちらに思わず手を出してしまいました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

逆説の日本史 1. 古代黎明編 - 封印された「倭」の謎
著:井沢元彦  小学館文庫

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教科書ではわからない日本史の空白部分に迫る。  従来の歴史学界の権威主義、史料至上主義、呪術観の無視、以上の三大欠陥を指摘しながら古代史の謎を推理、解明していく。  日本人の「わ」の精神のルーツは?  宮内庁が天皇陵の学術調査を拒み続けるのはなぜか?  あの出雲大社はオオクニヌシノミコトの怨霊を封印するために建てられた「霊魂の牢獄」ではなかったか?  当時最高の知識人であった聖徳太子はなぜ、「和」こそが日本人の最高の原理としてあげたのか?  など。  まさに、歴史こそミステリーの宝庫である。  (文庫本裏表紙より転載)

「倭」から「和」への転換、これは一体どうして行われたのだろうか。  つまり「ワ」とは「輪」であり「環」なのだ。  倭とは実は「環」であり、古代日本人は、集落のことを「環」と呼んでいた。
日本人の「わ」の精神を乱すもの、つまり怨霊は封印されねばならなかった。  すなわち、出雲大社はオオクニヌシノミコトの怨霊を封印するために建てられた「霊魂の牢獄」であった。
聖徳太子は当時最高の知識人であった。  その第一級の知識人が「最高の法律」を制定するにあたって、その第1条に「和が一番大事だ」という言葉を置いたのである。  なぜ、そんなことをしたのか、それはこの「和」こそが日本人に一番大事な原理だと判断したからではないのか。  (文庫本表紙より転載)

なかなか面白い読み物でした。  この本で書かれていることの真偽をとやかく言うほどの知識のない(ついでに言うと古文書に親しんだ経験もない)KiKi には、この本の説を鵜呑みにしていいのかどうかの判断まではつかなかったけれど、子供時代から今に至るまで古代史を見た時に感じたいくつかの「?」に対する1つの見解とか、手前勝手に膨らませていた個人的な妄想と合致するような説が書かれていたという意味では、「ああ、やっぱりこういうことを考える人がいたんだ!」と何となく嬉しくなるような読み物でもありました。

全編にくどいほど出てくる学会批判にはちょっと辟易としたけれど、歴史を暗記物・知識として学んできた KiKi にとっては、学問とは一線を画した歴史との向き合い方・・・・という意味でも楽しむことができた本だったと思います。  特に古代史においては KiKi が学生時代に学んだ古代史と現在の学校教育でなされている古代史には少なからず違いがあることを知っているだけに、教科書を金科玉条の如く覚えようとしていた(仮に何らかの疑問を持ったとしてもさほど深追いせずに「事実はそうだった」と鵜呑みにしようとしていた)自らの姿勢を問い直すという意味でも、なかなか興味深い読書体験だったと感じました。



古代日本に既に「怨霊信仰」があったかどうかはこの本だけでは判断がつかなかったけれど、古事記に書かれている「国譲り神話」にはどことなく胡散臭いもの(要するにそんなに平和裏に事が済んだとは思えない)を感じていたうえに、出雲大社でオオクニヌシノミコトが礼拝者にそっぽを向いているということを聞き知った時に「何でだろう??」と疑問に思ったことはあったので、出雲大社がオオクニヌシノミコトを封じ込めるための社殿だったというくだりは、少なくとも神道には無知な KiKi にとってはなかなか説得力のあるお話でした。

又、聖徳太子の十七条憲法の第一条に書かれている「和を以って貴しとなす。」に関しては KiKi は昔からこの言葉に込められた太子の想いが誤解されているように感じていたんだけど、そしてその誤解に近い認識を著者の井沢氏も持っている(もしくはその誤解が一般化していることを前提にこの論説が書かれている)ような印象を持ったけれど、それでも敬虔な仏教信者であったはずの聖徳太子が、第一条と第十七条にこれに関する言葉を書いているのは何故か?(要は「仏法を重んじよ」ではないのは何故か?)には疑問を感じていたので、「ふむふむ、なるほど・・・・・」とそれなりに興味深く読むことができました。

KiKi 自身はこの「和を以って尊しとなす」というのは「とにかくカドを立てないで(≒争いは排し)仲良くするのが一番大切」というような意味に捉えられがちだと思うけれど、実はそうではなくて、「人間というものはえてして自分の意見を通すために現代的に言うところの「派閥 or 党派」のようなものを作りやすく、そこには「個人の主張」のみならず「派閥の論理」のようなものが入り込みやすい。  そうなると、建設的な議論は望めなくなり他との対立がますます複雑になってしまう。  完全無欠な人間はおらず、不完全な者同士がそれぞれの立場で公平な話し合いを持ち、相手の言論にも耳を傾けながら問題解決を図ろうと努力すれば、そこで得られた合意はおのづから道理にかない、何でも成しとげられる」というような意味合いだろうと解釈しているんですよね。

そしてもう一つ面白かったのは、卑弥呼の失墜の原因は「皆既日食」だったのではないか?というくだりです。  つい先日、金環日食を経験し、宇宙の神秘を机上の知識ではなく実体験として堪能した直後だっただけに、原始的な太陽神信仰が篤かった時代に「皆既日食」なんていう滅多にない経験をすれば、当時の人々がそれ即ち「呪力の減退」という結論を導いてしまうというのはさもありなん・・・・・・と感じられました。

いずれにしろ、このての本は「正しい知識を得よう」として読むべき本ではなく、「こういう考え方はどうよ?」と提示されたものに対して、自分なりにあれこれ考えてみる・・・・・というスタンスで読むべき本なんだろうなぁ・・・・・と。  そして、とりわけそこに深い探求心を芽生えさせ、根気強く文献・遺跡と真摯に向き合う根性を養った人が学者になっていく・・・・・そういうきっかけになる本なんだろうなぁと感じました。      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年6月15日 10:22に書いたブログ記事です。

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