ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第6番 Op. 18-6

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今日は最近のルーティンからすると、「ベートーヴェンのSQの日」です。  ここで期待(?)を大きく裏切って別の話題に持っていければいいんですけど、作品18の6曲目だけを残して・・・・というのも後味が悪そうだし、何よりもう選曲しちゃってこの曲がスピーカーから流れちゃっている以上、それを無視するわけにもいきません。  ま、てなわけで本日の KiKi のBGMはこちらです。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第6番 Op. 18-6
シャルプラッテン TKCC-70657 演奏:ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ・カルテット・ベルリン)

c0021859_23572981.jpg

(毎度のお断りではありますが ^^;)因みに、このCDは今では廃盤になっていて、リマスタリングしたこちら(↓)が現在の定番商品になっているみたいです。

51F0Zx4ZqbL._SL500_AA300_.jpgのサムネール画像  (Amazon)

ベートーヴェンという作曲家を語る際、彼の作品を創作時期に沿って「前期」「中期」「後期」と分けて語られることが一般的になっています。  それぞれの時期を簡単に総括するなら、ハイドンやモーツァルトが築き上げたある種の「完成形」を継承し、そこから創作活動をスタートさせたのが「前期」。  その「完成形」の更なる高みを上り詰めて、そこから己の音楽を語り始めたのが「中期」。  語り尽くした消耗感・・・・・のようなものを克服し、古典派のスタイルから完全に脱却し深い瞑想と思索、同時に幻想的な世界に踏み入ったのが「後期」という感じでしょうか。  その3期のうち、この作品18のカルテットは「初期」に位置する音楽なわけで、そうであればこそベートーヴェン節がまだまだ淡白な作品集となっています。

もちろんその6曲もそれぞれがそれぞれの個性を持っているわけですが、「実際のところこの6曲がどんな順番で創作されたのか?」を辿ってみると「なるほどなぁ。  ベートーヴェンはこの時期、進化し続けていたのね」と感じること間違いなしだと思うんですよね。

この6曲の作曲順に関してはかならずしも1つの見解に統一されているとは言い難いものもあるのですが、もっとも有名な説(定説と言っていいかもしれません)によると、以下の順番・・・・・ということになっています。

まず最初に作られたのが第3番でその後第1番、第2番、第5番、第6番、第4番。
 

先日、KiKi はこのエントリー

古典から学んだものを彼なりの言語で表した「明るさ、優雅さ」を重要視した第3番。  ベートーヴェン節の特徴の1つ、第3楽章「スケルツォ」を宣言し、そこかしこにハイドン・モーツァルトにはなかった語法を用いた第1番。  4つの楽器の対話を最大限に意識し、「挨拶」を交わし合わせた第2番。

と書いたけど、これに続けて作曲順にそれぞれの曲を一言で語ってみるなら、得意の変奏曲を取り入れ、後の「運命の動機」の萌芽がみられる第5番、ベートーヴェンにしては珍しいことに「憂鬱」と標題を付けたアダージョを序奏においた、自己主張のかけらが見られる第4楽章のある第6番、古典美と絶妙なバランスを保ちながら表現されたベートーヴェンの「怒り」が表現された第4番っていう感じでしょうか??

さて、肝心の今日の1曲、第6番をもう少し分解してみたいと思います。  この曲がこの最初の「SQ曲集」の最後に置かれていることにまず注目してみたいと思います。  そう思ってこの曲を構成という観点から見てみると、その後のベートーヴェンの楽曲のいわゆる「スタンダード」となっていくスタイルがここにはあります。  第1楽章:ソナタ形式  第2楽章:緩徐楽章  第3楽章:スケルツォ  第4楽章:冒頭こそアダージョの序奏で始まるものの、途中からアレグレットで快活な気分になり、憂鬱と快活の間をいったりきったりしているうちに、最後は一気にプレストでクライマックスを盛り上げ終了。  どこを切り取ってみても「ベートーヴェン・スタイル」です。

とは言ってもベートーヴェン節と呼ぶにはまだまだ抑制が効いていて、ハイドン・モーツァルトを超えようともがきつつも抜けきらない若さ、彼固有の「耳疾患」による苦悩がそこかしこに感じられる音楽になっていると感じます。

そうそう、ここで KiKi が今回このベートーヴェンのSQシリーズのエントリーを書き始めた際に、どうしてこの「ズスケ・カルテット」の演奏のものを選んだのか?をお話しておきたいと思います。  それはね、実はこの第6番の第4楽章の演奏にあるんですよ。  この曲の楽譜には「十分にデリカシーを持って演奏するように」というベートーヴェン自身の注文が書かれており、絶対音楽の権化みたいな側面さえも持っているようなベートーヴェンをして第4楽章に "La Malinconia, Adagio - Allegretto quasi Allegro" と書かせたこの部分をどう演奏するかはベートーヴェンの弦四を演奏するうえでものすご~く重要なことだと思うんですよね。

"La Malinconia, Adagio" の部分は感情に流されようと思えばいくらでも流せちゃうメロディ・ラインをもっていると思うんだけど、それにつられてホイホイと流されちゃったら「十分にデリカシーを持って」いることにはならないと KiKi は思うんですよ。  まして、この楽章はその Adagio と Allegretto をいったりきたりもするわけで・・・・・。  このバランス感覚が一番 KiKi に Fit したのが手持ちのCDの中ではこのズスケ・カルテットの演奏だったんです。

以前、このエントリーでも書いたことだけど、KiKi はズスケ・カルテットの「過度なロマンチシズムに走りすぎることのない "ザ・ドイツ" という感じの音楽作り。  音色はモダンなんだけど、古きよき時代の優雅さを漂わせている演奏」を聴くと、「ああ、このカルテットは信用できる」と感じるんです。  演奏家を信用できるっていうのはちょっとわかりにくい表現かもしれないけれど、「余計な神経を張りつめないで済む」とでも言いましょうか、「構えずに済む」とでも言いましょうか・・・・・・。  

さて、本来なら次は第7番になるわけですが、これは過去に一度 Review を書いているので、次回は第8番です。  Op.59 にまとめられた3曲は「ラズモフスキー四重奏曲」と呼ばれ、3曲あります。  初演時には「ベートーヴェンの悪い冗談だ」として笑いがもれるほどに不評だったと伝えられ、今ではカルテットの演奏会で取り上げられる頻度のやたら高いこの3曲。  久々に聴くことになるなぁ・・・・。

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