不毛地帯(3)  山崎豊子

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6月から1か月限定の出稼ぎ仕事がある・・・・はずだったのですが、急遽そのお仕事は大手コンサルティング・ファームに持っていかれ、再びプ~に戻ってしまいました。  まあ、下手にこの仕事が長引くと秋の稲刈りに問題が発生することを心配していた KiKi としては仕事がなくなってしまったことに安堵するような、がっかりするようなちょっぴり複雑な心境だったんですけど、何よりも残念だったことは通勤時間を利用しての読書タイムがなくなってしまったことだったりします(苦笑)

ま、その仕事の関係で上京し、たまたまこちらでの生活のためにネット注文していた「おぎのや空釜専用漬物キット」(← これ、美味しいんですよ。  以前「横川SA」で購入して、以来、KiKi は大ファンなんです 笑)が届くのを待っている時間を利用して、読了本の Review を書いておきたいと思います。

不毛地帯(3)
著:山崎豊子  電子書籍

51UFyVzlsaL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)  (Sony Readers)

次期戦闘機商戦に勝利し、中東戦争をめぐる商機を掴んで利益を挙げた壹岐は、社の経営方針転換を提唱。  経営不振の千代田自動車への関与を深めようとした矢先、米巨大自動車企業フォークの社長が突如来日する。  虎視眈々と日本市場を窺うフォーク社に対し、壹岐はアメリカ近畿商事の社長となって千代田自動車との提携交渉を進めるが......。  国際経済戦争の過酷な現実に壹岐は苦悩する。  (Sony Readersより転載)

この巻の中心となるお話は日本の「資本自由化」の時代の商社マンたちの経済戦争のお話です。  メインとなる商談は「自動車会社の資本提携」で、かつての鎖国時代さながらに国内産業擁護一辺倒だった我が日本国がグローバル化への舵をきりはじめた時代を描いています。  KiKi にとって最も感慨深かったのは、あの戦争が終結し、そこそこの時間を経て強いアメリカ自動車産業が弱い日本自動車産業に食指を伸ばし始めていた時代があり、そこからさらに又そこそこの年月を経て、KiKi の学生時代には「日米貿易摩擦」な~んていうことが言われ始めた時代があったという事実でした。

KiKi は学生時代にESS (English Speaking Society) というクラブに所属し、1年生の時のその活動の中の Discussion で、「日米貿易摩擦」をテーマにした大学対抗の大会に出場しました。  これは壱岐さんたちが必死になって強者アメリカに対峙していた時代とはパワーバランスがある意味で逆転し、低燃費の日本の自動車産業が世界ブランドになり、日本が一方的な(?)貿易黒字を謳歌していた時代に、これから日本の貿易はどうあるべきか?を議論する場でした。  でも、この物語で描かれているアメリカ > 日本 というパワーバランスの時代は、そのほんのちょっと前、KiKi の子供時代の出来事だったんですよね~。  そしてこの日本の経済成長の果てに「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」がありバブル崩壊があったわけです。


物語の中ではシベリア抑留帰還者で私欲とは無縁の善人壱岐 vs. 嫉妬に燃える男・里井副社長という対立軸やら近畿商事の頭脳の壱岐 vs. 東京商事・商社マンの鑑(?)の鮫島という対立軸ばかりが強調されているけれど、個人的にはそのあまりにも「とってつけたような人物設定、対立設定」に胡散臭さみたいなものを感じました。  

まあ、会社社会の中での男の嫉妬なるものの壮絶さ(?)は KiKi 自身、社会生活の中で嫌って言うほど見てきているけれど、里井さんは単なる権力欲・出世欲だけで動いていた人物ではなかったんじゃないかな?・・・・・と。  もちろん壱岐さんの方が上手だったのは間違いのないことだったんだろうけれど・・・・。

又、上司には恵まれなかったけれど、部下の信望は厚いっていうのもねぇ・・・・。  あの「高度成長期」の「会社人間」の原型みたいなものを感じるだけに、正直、綺麗ごとに過ぎるかなぁ・・・・・と。  今でこそ「プライベート・ライフを大切に」は当たり前みたいになっているけれど、日本の高度成長の背景には「滅私奉公」が暗黙の了承事項だったような時代があったんですけどねぇ。  物語の中では壱岐の部下のアメリカ人の奥さんが愚痴をこぼしているシーンがあるけれど、ここで敢えて日本人ではなくアメリカ人の奥さんにしているあたりが、商社マンらしさ・・・・を表現していると言うよりは、ある意味の逃げだなぁ・・・・と。  そうやって滅私奉公で頑張った末に「濡れ落ち葉」な~んていう陰口をたたかれた哀しい男性がいっぱいいたわけでして・・・・・。

個人的に一番気に入らなかったのは、「内助の功」の見本みたいな奥さんを交通事故で失ったという設定でしょうか。  何て言うか、そこにこのどちらかというと硬派なこの小説にラブ・アフェアという軟派なプロットを持ち込むためのご都合主義みたいなものを感じちゃいました。  (基本的に KiKi は天邪鬼ですから 苦笑)

と、ちょっと否定的なことをあれこれ書いちゃったけれど、全体的にはよくできた作品だったと思います。  かなりグイグイと「読まされちゃった」物語でしたし・・・・・。  そして最後に・・・・・・

この物語を読了した今、一番感じることは、かの大戦では石油に泣かされ、その後の経済発展の中でもエネルギーに課題を抱えていた我が日本が、未だにそこに何ら「あるべき解決策」を持ち合わせていないという事実を再認識したということでしょうか。  この物語の流れの中で、「原子力依存体質」が育まれたことは容易に想像がつくし、それもある意味では「仕方なかったこと」だったかもしれないけれど、あのバブリーな時代に原子力以外の次世代エネルギー開発に我が日本国がどれだけの資本を投下してきたのか、どこかで一度しっかりと調べてみたいなぁと思いました。

そして物語はいよいよ「シベリア」に続く不毛地帯、中近東へ移行します。  

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年6月 5日 09:00に書いたブログ記事です。

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