最後のロシア皇帝 植田樹

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本来だったら「本が好き!」で献本いただいた本やら、現在進行中の「不毛地帯」を読み進めなくちゃいけないところだったのですが、たまたま東京でお仕事の連絡待ちをしている最中に池田理代子さんの「オルフェウスの窓(外伝を含め 全10巻」なんぞに手を出してしまった流れで、ついでにこの本にも手を出してしまいました。  ま、てなわけで本日の KiKi の読了本はこちらです。

最後のロシア皇帝
著:植田樹  ちくま新書

5136JKVCVNL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

ニコライ二世治世下のロシアは彼の意思に反して政情悪化の一途をたどり、ロマノフ王朝だけでなく、聖なるロシアそのものが徐々に沈んでいった。  時代を隔てて冷静に見ると、それは巨大な帝国が虚飾の栄光の陰で穏やかな死に赴く過程に他ならなかった。  ニコライ二世の目の前で聖なるロシアが奈落に向かって漂流していく。  (新書本表紙より転載)

皇帝ロマノフ二世(← タイプミスではありません。  本の扉の文章をそのまま転載しています)とその家族が西シベリア・エカテリンブルグで革命派によって銃殺されたニュースは当時世界を震撼させるものだった。  だがこの事件は、近年その遺骸が発掘されるまで、その後七十年もの間なぜか歴史の闇の中に置き去りにされたままにあった。  ソ連邦時代を通じて政府当局者さえその所在を知り得なかった事実は一体何を物語っているのだろうか。  皇帝一家の遺骸発掘を契機に次々と明らかにされる記録や報道をもとに、隣国ロシアの知られざる歴史の暗部に光をあてる著者会心の力作。  (新書本扉より転載)

KiKi の学生時代、日露戦争やら第一次大戦、そしてロシア革命そのものはそれなりに授業で扱われたことはあったものの、やはり東 vs. 西(もしくは民主主義国家 vs. 共産主義国家)という対立軸が顕著だった時代なだけに、ロシア史というのはさほど重要視されていなかったように思います。  と、同時に西欧社会(含むアメリカ)に追いつけ・追い越せという時代でもあっただけにロシアは正に近くて遠い国で、ついでに得体の知れない国という刷り込みのようなものさえもがあったように感じます。

そうであるだけに、この悲劇の最後のロシア皇帝は「大津事件」やら「日露戦争」やらでも我が日本国との因縁が決して浅くはない皇帝だったにも関わらず、それらの単語のキーワードとして以上の存在感をもって KiKi に迫ってきたことはほとんど皆無でした。  又、今回のこの本の読書のきっかけとなった「オルフェウスの窓」も大人になってから初めて読んだ KiKi にとっては「ベルばら」でフランス革命に興味を持ったほどにはロシア革命への興味をかきたてられるきっかけにはなりえませんでした。

そしてどちらかと言えば「ロマノフ王朝の秘宝(隠し財産)」とか「アナスタシア生存説」とか「怪僧ラスプーチンの醜聞」といった極めてワイドショー的な謂れのイメージばかりが先行し、ますますもって「得体の知れない国」感覚が際立ち、その行き着く果てに「臭いものには蓋」的な回避行動に走っていた・・・・そんな気がしないでもありません。


今回、たまたま「オルフェウスの窓」の全巻一気読み直しをし、たまたま比較的記憶に新しいところで司馬遼太郎さんの「坂の上の雲」を読んだり観たりしたということもあり、ついでに現在読み進めている「不毛地帯」では主人公の壱岐正がシベリア抑留帰還者という設定であったということもあり・・・・で、ずいぶん前に購入したきりになってしまっていたこの本を手に取ってみました。

この本を読んでかなりびっくりしたことは、ロシア革命(というよりはロマノフ王朝滅亡)のまさにその時に、ニコライ二世は一番の当事者であるにも関わらず首都にはいなかったという事実と、醜聞まみれのラスプーチンは実は第一次大戦へのロシア参戦に大反対し、革命運動激化を考慮して農民層の減税などを皇帝に進言するような一面をも持った人物だったということでした。  

ま、逆説的に言えば、それだけロシアの政治に口を出していた人物だったとも言えるわけだけど、少なくともニコライ二世はその進言に動かされたことはなかったようだし、だからと言ってラスプーチンが何かをしたということもなさそうだし、要するに KiKi が手前勝手に思い描いていた権勢欲みたいなものがあった人物というわけではなかったみたい・・・・・。  しかも金銭的にも決してゴウツクバリというわけではなく、個人財産を溜め込むことにはまったく無頓着だったとのことなので、要は皇帝一家に近づきすぎた普通の人(まあ、新興宗教の教祖みたいな人だから普通ではないけれど ^^;)だったのかもしれません。

ラスプーチンを稀代の悪人にしたてあげたのは当時のロシア宮廷と革命政府、そして図らずもその遠因を作っていたのは彼を信頼していたアレクサンドラ皇后ということなのかもしれません。

いずれにしろ最後の皇帝一家惨殺の模様は陰惨を極め、その後の一家の遺骸の扱い方を見ると、それまでの圧政に対する報復という面もあるかもしれないけれど、それ以上に人間性の欠如みたいなことを感じずにはいられません。  否、人間というこのどうしようもない生き物は本来残虐性に満ちた生き物なのかも・・・・・。  

個人的にはニコライ二世もアレクサンドル皇后もあの大国ロシアの絶対統治者としての器ではない人物(よき家庭人という感じ?)だったと感じられました。  いずれにしろ、一家の死の後にあの「得体の知れない、秘密主義の、謎のヴェールに包まれたソ連」ができあがったことはまぎれもない事実で、その原点がこの一家の惨殺事件にあったようにも感じられました。    

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年6月 6日 09:22に書いたブログ記事です。

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