逆説の日本史 2. 古代怨霊編 井沢元彦

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先般、上京した際にブックオフに並んでいたこのシリーズを第7巻まで大人買い(?)しちゃっているので、とりあえず先に進んでみることにしました。  ま、てなわけで、本日の KiKi の読了本はこちらです。

逆説の日本史 2. 古代怨霊編 - 聖徳太子の称号の謎
著:井沢元彦  小学館文庫

51B8EFC1FAL._SL500_AA300_.jpg  (Amazon)

なぜ聖徳太子には「徳」という称号が贈られたのか?   『日本書紀』は天武天皇の正体を隠すために編纂された。  奈良の大仏は怨霊鎮魂のためのハイテク装置だった... など、日本人の「徳」の思想と怨霊信仰のメカニズムを解明する衝撃の推理。  「彼がだれよりも日本の歴史を愛し、日本人とはなにかと問い掛け続けている存在であるのは承知している。  井沢元彦は歴史という大海をたった一人で渡る冒険者なのだ。  日本の歴史は井沢元彦を得たことでいっそう面白くなった」(高橋克彦氏解説より)。  (文庫本裏表紙より転載)

「徳」は最高の人格者であることを示すと同時に、本来は「王者としての必須条件」を示す文字だ。  そういう文字を、本当はそうではなかった王者に与えることが「鎮魂」と考えられたに違いない。
日本にはそういうキリスト教的な最高神はいない。  天罰というのは天照大神の下す罰だとは誰も思っていない。  もちろん仏でもなければ、現人神たる天皇でもない。  その候補は「怨霊」しかいない。
「聖」というのは、本来怨霊となるべき人が善なる神に転化した状態を表現した文字だということだ。  その「聖」と「徳」の名を持つ太子の日本の「まつりごと」の歴史における地位は、限りなく大きい。  (文庫本表紙より転載)

この巻に関しては面白い部分が多々ありつつも、KiKi にとってはかなり不満な内容でした。  それは目次を見た段階でもある程度予想はついていたことだったんですけどね。  因みにこの巻の目次はざっと以下のような感じです。

第1章:聖徳太子編 - 「徳」の諡号と怨霊信仰のメカニズム
第2章:天智天皇編 - 暗殺説を裏付ける朝鮮半島への軍事介入
第3章:天武天皇と持統女帝編 - 天皇家の血統と「日本書紀」の作為
第4章:平城京と奈良の大仏編 - 聖武天皇の後継者問題と大仏建立

あれ?  あれれ???  どうして「大化の改新」の章がないんだ???  あの権勢をふるった「蘇我氏」があれよあれよという間に歴史から姿を消していったあの一大事(乙巳の変)が抜けているというだけで、KiKi にとっては何となく中途半端感が漂っちゃったんですよね~。  特にそれまでの時代は天皇という存在が脈々と続いていたとは言えども、天皇を中心とした中央集権国家というよりは、飛鳥豪族を中心とした政治が行われていた(と学んできていた)だけに・・・・・。  

そしてね、なおさら感じるのは怨霊になることができるのは「天孫」たる「皇室の人間だけ」だったという前提条件があるのかもしれないけれど、(そんなことないよね??  だって彼の「怨霊説」の中には菅原道真がしょっちゅう出てきているぐらいだから)井沢氏の説の骨格を成しているといっても過言ではない「怨霊」、しかもかなり「パワフルな怨霊」になりそうな存在として、蘇我氏を忘れちゃいけないように思うんだけど・・・・・。  まあ、飛鳥寺が存続しているうえにあそこに鎮座している飛鳥大仏は日本最古という有り難~い誉れで伝わる仏像ということなので、あれが蘇我氏の「怨霊封じ」の象徴なのかもしれませんが・・・・・・。

「徳」という諡に秘められた考察にしろ、天智 vs. 天武の争い及び壬申の乱に関する考察にしろ、大仏開眼に秘められていたかもしれない聖武・光明夫妻の本当の狙い等々の話にしろ、一つ一つはそれなりに(と言うか、かなり)面白いと感じられたのですが、その話を語る上でそこかしこに挟まる学会批判が長い、長い、長い・・・・・・。  しかもいつも同じ文言なのでくどい、くどい、くどい・・・・・・。  これを「ここまでしなければ学会につぶされてしまうと感じている井沢氏の恐怖心」の為せる業と見るべきなのか、「彼固有のけんか腰(論調が議論調というより喧嘩調 ^^;)」と見るべきなのか??  古代黎明編であれだけ言い切っていた「和の精神」とやらはどこへいっちゃったんでしょうか??という感じです。

それにね、そういう話が出てくると「またか・・・・」と思って流し読みモードに入ってしまうので「閑話休題」となった時に肝心なテーマに乗りきれずに読み飛ばしちゃっているところがあるんでしょうか?  時にその学会批判とそれにまつわる余計な話に振り回されているうちに、何が論じられていた文章だったのか、焦点がぼけてしまって、挙句、結論が変わってしまっているような印象を受けた箇所もなきにしもあらず・・・・・だったんですよね~。

で、普通の本だったら「元い・・・」と読み返してみようと思うところが、ことこの本に関してはあのくどくて長い、それでなくても何度も同じような文章で繰り返されている学会批判を読み返すことにもつながると思うと、その意欲までなくなってしまうという負のスパイラルへ・・・・・。  結果、KiKi の印象としては「何となくご都合主義??」「論旨が一貫しているようで、意外と矛盾アリ??」となってしまい、「まあ、お説、承っておきましょう・・・・」でお茶を濁してしまう(苦笑)、そんな感じになってしまうんですよね~。

目の付け所は面白いと思うし、彼の設定した仮説に沿ってかなりの線までは考え抜かれ、調査もしているような印象を受けつつも、文章にする際にはそれを感情的に書き散らしているが故に、却って論旨がぼやけてしまう・・・・そんな印象なんですよね~。  もうちょっと整理して、あっちへいったりこっちへいったりせず、仮に別のところで述べたことがあるような話でも要点だけをちゃんと述べ直したうえで、きっちりと結論まで持って行ってくれたらいいのに・・・・・と感じること多々アリなのです。

最後に・・・・・

個人的には「まつりごと」という言葉を「祭政一致」という感覚で理解・納得していたんだけど、それが井沢氏が唱えるような説にもつながる(怨霊を祀る)というあたりがかなり面白かったです。  そして「さわらぬ神に祟りなし」のくだりも・・・・。  さて、次は第3巻。  平安建都と万葉集だそうです。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年6月20日 10:35に書いたブログ記事です。

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