逆説の日本史 6. 中世神風編 井沢元彦

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チクチク作業邁進の煽りを食らって(?)、ちょっと時間がかかってしまった「逆説の日本史」読書。  ようやく第6巻を読了しました。

逆説の日本史 6. 中世神風編 ‐ 鎌倉仏教と元寇の謎
著: 井沢元彦  小学館文庫

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「神国」ニッポンは元冦勝利の"奇蹟"により何を失ったのか?!  鎌倉幕府滅亡の背景を掘り起こしながら、責任の所在が曖昧で、危機管理能力が欠落しているという現代日本の病巣の淵源を明らかにする。  昨今の有事論争をまつまでもなく、この国の今を生きるものにとって示唆的な警世の書、待望の文庫化。
第1章:鎌倉以前の仏教編
第2章:浄土門の聖者たち編
第3章:道元と日蓮編
第4章:元寇と日本人編
第5章:後醍醐天皇の野望編
第6章:後醍醐天皇の新政編  (文庫本裏表紙より転載)

日本が世界最強の元に勝てた最大の原因は、鎌倉武士の奮戦でも「神風」でもない。  大陸と日本の間に海が存在した、ということなのである。  モンゴル騎兵の最大の弱点が「海」であった。
後醍醐天皇は、宋学という当時最先端の「輸入経営哲学」によって、日本を改造しようとし失敗した。  日本の学者は、後醍醐の性格に問題ありとする人が多いが、むしろ後醍醐の「政治理念」が日本の根本的な統治理念である「血統信仰」に抵触するものであったことが、新政失敗の最大の原因ではあるまいか。  (文庫本表紙より転載)

冒頭で KiKi は「チクチク作業邁進の煽りを食らって(?)、ちょっと時間がかかってしまった『逆説の日本史』読書。」と書いたけれど、今回の読書に時間がかかってしまったのにはそれ以外にも理由があります。  それは冒頭3章の仏教の歴史を俯瞰した部分で、ここの内容が仮に著者が言うように「表層的」であったにしても実に読み応えのある部分だったからです。  著者が歴史学会のお歴々をメッタギリにして悦に入っている感もあるこのシリーズの中で、それらのちょっと過激な(に見えなくもない)権威筋に対する攻撃性がなりをひそめ、KiKi には極めて読みやすい文体(要するに著者の自己主張の薄い文体)で要約してあり、読み飛ばす余地がほとんどなかったんですよね~。

対して後半3章は「逆説の日本史スタイル」に戻ろうと抗っている感がそこかしこに見られ、文章自体もかなり粗雑な印象を受けます。  そうであるだけに、後半3章に入って「斜め読み体制」と言うか「読み飛ばし体制」に逆戻りし、そこからは一気に読了した・・・・・そんな雰囲気がなきにしもあらず・・・・です。


元寇の話題に関しては、我々は「元寇」と呼びあたかも元国の正規軍が攻めてきたかのような印象を持ちがちなあの戦役において、元が遣わした軍団が今日で言う「多国籍軍」であり(要するに史上最強軍団そのものではなかった)というあたりがちょっぴり「へぇ!!」で、それ以外の部分はさほど目新しい話、「逆説的なアプローチ」はないのかなぁ・・・・・と。  

そして後醍醐天皇の登場と同時に久々に「言霊信仰」だの「ケガレ」だのという著者の論旨の骨子たる部分が復活(笑)。  まあ、そのあたりもそういう展開になるだろうということは想像に難くもなかったりしたわけで、尚更、飛ばし読みモードに拍車がかかりました。

ここまで読み進めてきて痛切に感じるのは、ことさらに「逆説」を強調し、学会等の権威筋に喧嘩を売り、時に感情が赴くままに「自己陶酔型文章」を書く彼のスタイルにある種の「ファッション」というか「ポーズ」のようなものが漂っている・・・・・ということでしょうか。  彼の描く歴史観及び目の付け所は面白いだけにそのポーズが何となく「受け狙い」「売れ狙い」という感じがしちゃうんですよね~。

この巻の最初の3章では「へぇ、井沢元彦ってこんな文章も書ける人だったんだ」と感じただけに、ちょっと意地悪な見方かもしれないけれど、この逆説シリーズの基本基調に対してKiKi にはある種の不自然さ・・・・みたいなものがあるように思えてしまいました。  

もっとも・・・・・・

逆に言えば最初の3章に関しては「井沢元彦なりの考察が書かれているか?」と問えば、「否。  先達の教えを整理してまとめたもの」という感じもなきにしもあらず・・・・・(苦笑)  でも、「整理してまとめる」という作業にしろ、そこそこの知性と忍耐力がなければこれだけの内容のものはそう簡単には書けないんじゃないかと思わせてくれるあたりは、さすがとしか言いようがありません。

さて次は「太平記」の世界を扱う第7巻です。

  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年6月30日 08:04に書いたブログ記事です。

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