ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番 Op. 59-3 「ラズモフスキー第3番」

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今 KiKi はベートーヴェンの「ラズモフスキー3部作」の最終曲を BGM に、夏の定番「葭簀」を窓にかけるべきか、梅雨明け宣言まで待つべきか、思案の真っ最中です。   昨日までのそぼ降る雨の日にはそんなことをは一切考えないんですけど、今日ぐらいカッと強い日差しが窓の外に広がると、途端に暑くてたまらないような気分になってくるんですよね~。  なんせ、ここ Lothlórien_山小舎にはクーラーなんぞという文明の利器は設置していないものですから・・・・・(苦笑)

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第9番 Op. 59-3 「ラズモフスキー第3番」
シャルプラッテン TKCC-70012 演奏:ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ・カルテット・ベルリン)

61mPqeHOAGL._SL500_AA300_.jpgのサムネール画像  (Amazon)

(毎度のお断りではありますが ^^;)因みに、このCDは今では廃盤になっていて、リマスタリングしたこちら(↓)が現在の定番商品になっているみたいです。

51F0Zx4ZqbL._SL500_AA300_.jpgのサムネール画像  (Amazon)

最終曲を迎えるにあたって、この3つのカルテットの注文主であるラズモフスキー伯爵について、ちょっとお話しておきたいと思います。  

ラズモフスキー伯爵は1752年ペテルブルグに生まれたロシアの貴族で、海軍士官として訓練を受けたのち外交官として国に仕えるようになりました。  1788年にウィーンで音楽愛好家として知られたトゥン伯夫人の娘エリザベートと結婚、1801年から正式にウィーン駐在のロシア大使に任命されるに至ります。  

ラズモフスキー伯爵は裕福で金遣いが荒く、自前で豪邸を構え(これはその後消失)、蒐集家ならびに芸術のパトロンとして名をはせていました。  ベートーヴェンの有力なパトロンの1人でもありました。  1808年には自前の弦楽四重奏団を抱え、自らその第2ヴァイオリンを担当するなど、音楽の素養もなかなかのものがあったようです。  と言うのも、この弦楽四重奏団、当時は全欧に並ぶものなしといわれるほどの存在感を示すカルテットだったのだそうです。

因みにこ~んなお顔をしていらしたらしい・・・・

patrons_razumovsky.jpg  (こちらのサイトより転載)

ま、こういう注文主の出自を考えると、このラズモフスキー四重奏曲の中にロシア民謡が取り入れられている理由もよ~くわかったりもするわけですが・・・・。  と同時にベートーヴェンの「傑作の森」の背景には彼のようなパトロンの存在が無視できないという事実にも気が付くわけで、やはりある程度の安定した生活あってこその「傑作の森」とも考えられちゃうわけでもありまして・・・・。  まさに「同情するならカネをくれ!」の世界です(苦笑)


ま、それはさておき、この第3番。  恐らく当時の人にとってはアバンギャルドが過ぎて理解の範疇を超えていたのではないでしょうか??  曲の規模そのものは第1番と比較して必ずしも長大とは言い難いものがあるんですけど、何て言うか「濃縮ジュース」みたいなところがある音楽だと思うんですよね。  明るさの中に不安とか焦りというようなある意味「負のエネルギー」に突き動かされている推進力みたいなものがあると思うんですよ。

不安定なスタートで始まる第一楽章には不安、悲しみ、それに打ち克とうとする強い意志、懐かしさ、希望、というような様々な表情が表れ、それに続く第2楽章ではチェロのピチカートが「ボン!」とはじけると低音を中心にチェロ・ヴィオラなど低音域を受け持つ楽器がやや暗めのフレーズを奏でます。  曲調もどこか不安に脅えたような悲しいフレーズなんですけど、この悲しみは極めて内省的です。  時折入るヴァイオリンの高音域のフレーズが何とも美しい・・・・。  そして第3楽章はある意味普通にメヌエット(笑)  伸びやかなメロディにここまで強いられてきた緊張がほぐれていきます。  そして最後の最後にまるでジャズ・セッションのような第4楽章。  フーガ調のスタートなんですけど、そこからなだれ込む疾風怒濤の展開には舌を巻きます。  聴いていてこれが楽器4本の演奏であることを忘れちゃうぐらいスリリング。    

この最終楽章曲の特徴を映像でよ~く表しているような気がする動画を見つけちゃったのでご紹介しておきますね。

因みに、先にご紹介したラズモフスキー伯爵お抱え四重奏団のリーダーであるイグナツ・シュパンツィヒが「ラズモフスキー・セット」の演奏の難しさについて作曲家本人に不平を言ったことがあったのだそうです。  それに対するベートーヴェンの返答は?と言うと・・・・・



精神が私に語りかけているとき、あなたの可哀相なヴァイオリンのことなど考えていられると思うか?



・・・・・・というものだったのだとか。(真偽のほどはよく知りませんが ^^;)  KiKi は弦楽器奏者ではないので、本当のところこの曲集の演奏の難しさ自体はよくわかっていないんですけど、この動画を見る限りでは、この丁々発止のやりとりは一筋縄ではいきそうにもないなぁ・・・・・・と。  まあ、これはカメラ・ワークのおかげ(?)というのもあるのかもしれませんが・・・・・。

ここに至り、弦楽四重奏曲は「ディヴェルティメント」的な性格から完全に脱却したと得心できる音楽だと思います。

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コメント(2)

kikiさん、こんばんは。
下界は暑いです。でもクーラーなしに頑張ってますす。

同じ時期にラズモフスキー3番でしたね。
お恥ずかしいことに、ラズモフスキーさんのご尊顔を初めて拝し奉りました。
結構、パッとしない方ですね(笑)。
でも、金と技量さえあればヨシです。
こんな方々がいてこそ、芸術に幅が出たんですもんね。
感謝しなくちゃいけません。

わたしは、酔いにまかせ、体をくゆらせつつ書いてしまった記事ですが、kikiさんの記事にいちいち合点がいき、なるほどそうだそうだの連続でした。
この終楽章の映像は素晴らしいですね。
人間って、こんなことができるんだと思ってしまうくらい。突き詰めると、音楽も演奏もそんな風になるんですね。
最近、音楽する方々がとても羨ましく思います。

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年7月 4日 10:41に書いたブログ記事です。

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