ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第10番 Op. 74 「ハープ」

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この週末から今週火曜日にかけて KiKi は東京に来ています。  週末には例のベビー・キルトの赤ちゃんの「お食い初め」があり、日頃から賄いおばさんに徹している(?)KiKi は煮物やら紅白なますやらをLothlórien_山小舎で作ってタッパーウェアにつめて上京、お食い初め当日の日曜日には朝から鯛や蛤、ミツバ等々の買い出しに走り、お吸い物を作ったり、鯛の塩焼きを焼いたりと大忙しでした。  鯛の尾頭付きを購入するには、赤ちゃんが暮らすマンションの魚焼きグリルの寸法を測ったりして万全の準備を整えてスーパーに向かったものの、置いてあった鯛が悉く大きくて、対角線上に置けばギリギリ入るかもしれない・・・というサイズのものを選択。  念のために電子レンジのグリルで焼かなくちゃいけなくなることも想定して、クッキングペーパーなんぞも買ってと大騒ぎでした。

肝心の赤ちゃんは終始ご機嫌で、ニコニコしていてくれていたんですけど、ようやく準備が整った・・・・と思った頃にはホステス稼業に疲れちゃったのか、お昼寝モードに突入。  まあじゃあ今のうちに・・・・と集まった大人だけでお食事をしたんだけど、ついついうっかり「蛤のお吸い物」をみんなで全部飲んじゃって(^^;)肝心の「お食い初めイベント」の時には、身を食べ終わった蛤の貝殻をお椀の中でひっくり返し(空なのを隠すため)、ミツバを置いてお水を注いだものを「蛤のお吸い物」と見立てて写真撮影というインチキもしつつ、この一大イベントを終了しました。

自分の子どもがいない KiKi には一つ一つのイベントが新鮮で、何だか幸せのおすそ分けをいただいて得した気分の週末でした。  さて、そんな心温まる一日を終えて迎えた今日、今日の1曲は順番に従ってこちらのカルテットです。

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第10番 Op. 74 「ハープ」
シャルプラッテン TKCC-70655 演奏:ベルリン弦楽四重奏団(ズスケ・カルテット・ベルリン)

c0021859_056458.jpg  (Amazon)

(毎度のお断りではありますが ^^;)因みに、このCDは今では廃盤になっていて、リマスタリングしたこちら(↓)が現在の定番商品になっているみたいです。

51F0Zx4ZqbL._SL500_AA300_.jpgのサムネール画像  (Amazon)

ここまでのベートーヴェンの弦楽四重奏曲は第1番~第6番までが作品番号18でまとめられた連作、続く、第7番~第9番までが「ラズモフスキー・セット」とでも呼ぶべき連作の作品群でした。  そして、ようやく10曲目にしてベートーヴェン大先生は単作の第10番を書き上げました。  作曲時期としては中期と呼ばれるよく言えば脂の乗り切った(ペーペーでもなく、枯淡でもない)時期の作品で、「ラズモフスキー」で大変貌を遂げた弦楽四重奏曲分野での意欲作と言っても過言ではないように感じます。  何て言うか、それまでのどこか「気負い」みたいなところがある若々しい音楽とは異なり、ちょっと余裕・・・・みたいなものが感じられるように思うんですよね。  

同時期に作曲された曲としてはこの曲の前に交響曲第5番、第6番があり、ピアノ・コンチェルトの第5番があり、ベートーヴェンの名声が確固たるものになった時期ということが言えるだろうと思います。  ただベートーヴェンのキャリアという面では美味しいはずのこの時期、彼をとりまく環境の方はどんどん悪化していきました。  彼の持病の問題もさることながら、とにかくこの時期、世間が姦しい。  ナポレオン軍のウィーン占領とそれに伴うベートーヴェン後援者の疎開が顕著になり始めます。


この曲が献呈された「ロブコヴィッツ侯爵」という方もナポレオンのおかげで発生したインフレによる経済の大混乱(及び御自身の散財)のせいで、破産の憂き目にあったりしています。  因みにこの「ロブコヴィッツ侯爵」。  ベートーヴェンのパトロンとしては超有名なお1人で、とある就職先を世話されて本気でウィーンを離れることを検討していたベートーヴェンをウィーンに留めるために「法外といってもいいほどの年金」を約束した3貴族の1人(他2名はルドルフ大公とキンスキー侯爵)です。  で、彼の名前の冠された曲こそ作ってもらってはいないんだけど、数多くの傑作が献呈されているパトロンさんでした。  因みにこ~んなお顔(↓)をなさっていたらしい。


20100509151149234.jpg


そう言っちゃなんだけど、ラズモフスキーさんよりは「貴族然」とした風貌であらっしゃるようにお見受けします(笑)  で、この方に献呈された音楽をご紹介しておくと、まず交響曲ではあの「エロイカ」とあの「運命」。  カルテットではあの6曲セットの作品18とこの第10番。  ピアノ・ヴァイオリン・チェロのための三重協奏曲 ハ長調 作品56 もそうだし、歌曲集「遥かなる恋人に寄す」作品98 もそうです。  で、さらに因みに・・・・ではあるのですけど、この大恩人に対し、後日ベートーヴェンは「年金不払い訴訟」なんちゅうもんを起していたりします ^^;

ま、ある意味では彼のおかげで私たちはベートーヴェンの傑作の数々を楽しむことができている・・・・と言っても過言ではないわけで、一説には約20年間で莫大な財産を使い果たされたそうなんですけど、そのおこぼれはボヘミアとはまったく縁のない(彼はボヘミア貴族)極東の島国に住む我々が享受していることになるので、彼に足を向けて眠ることはできません(笑)。

さて、この曲。  「ハープ」なんていう優雅な名前がついておりますが、KiKi は初めてこの曲を聴いたとき「この曲のどこがハープなのかさっぱりわからん hatena.gif 」と思ったものでした。  で、ライナーノーツを読んでみたら「第1楽章の主部にあらわれる弦のピツィカートから名付けられた」ということだったので、もう一度聴き直してみたんだけど、もちろんピツィカートはわかるんだけど、「これのどこがハープなんだ?? hatena.gif  言うほどじゃないんじゃないか??」と思わずにはいられませんでした。  そういう意味では正直、今もって納得はしていなかったりします(苦笑)

でもそのピツィカートが印象的であることまでは否定しないので、まあ今となっては「ハープもどき」ということでいいか・・・・と。  今日のエントリーの冒頭で書いた「ある種の余裕」みたいなものをもっとも感じさせるのが第1楽章冒頭の落ち着きのある和音と続く第2楽章の荘重な響きの部分です。  第2楽章のアダージョは叙情的で甘美。  ここを聴くと KiKi なんかは彼の後期の音楽の萌芽みたいなものを感じるんですよね~。  そして KiKi の大好きな第3楽章プレスト。  好きだなぁと思ったらここ、やっぱりハ短調なんですよね~。  そしてスケルツォでもあります。(スケルツォとは宣言されていないけれど・・・・)  4人の奏者の対話がくっきりと印象付けられる音楽であることもここが好きなもう一つの理由です。  

そして主題と6つの変奏で締めくくられる最終楽章。  この変奏曲では KiKi の大好きな楽器、チェロが大活躍してくれていてもうそれだけでOKっていう感じ(笑)  変奏曲というスタイルをとっているせいもあって、ある意味ベートーヴェンらしい「クライマックスで爆発!」という音楽ではないんだけど、あの何かに追いかけられているようなスケルツォの後だけにいい感じだと思うんですよね。  更に長いコーダが徐々にテンポアップしてクライマックスに流れこむあたりを聴いていると後の「大フーガ」の予兆みたいなものが感じられるようにも思うんですよね~。


最後に余談ながら・・・・・

今回、久々に東京のマンションの音楽鑑賞環境(再生機器 & スピーカー)で音楽を聴いてみたわけですが、やっぱりここにセットしてある機器はいいなぁ・・・・。  DVDを 5.1Ch で鑑賞するためにしつらえたセットで、音楽を聴くのに必要な3Chのスピーカーに関しては必ずしも最高峰のものではなかったけれど、それでもクラシック音楽を聴くことを前提にいくつも視聴したうえで厳選した B&W のもので、当時の KiKi としてはかなり大枚はたいたシロモノだったんですよね~。  そうであるだけに音が柔らかくてふくよかなんですよ。  

これに対しLothlórien_山小舎のAV視聴環境はお値段もプアなら音もプアな間に合わせ的なものばかり・・・・・。(とは言っても KiKi のことですから「何でもいいや」的な選択はしていなくて、予算の範囲内では厳選したんですけどね。)  そんな貧弱で硬質な音に慣らされてしまっている耳にはここの音楽は半端じゃなく心地よい。  ただ、さすがに都心だけに周りがウルサイ(車の音やら工事の音、生活音等々)のと昨日まではともかく今日は暑いのが難点ですけど・・・・・。  

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年7月 9日 09:18に書いたブログ記事です。

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