傷のあるリンゴ 外山滋比古

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「本が好き!」で頂戴した3冊目の献本です。  多謝。  外山滋比古さんの著作はだいぶ前にブックオフで「思考の整理学」を入手して積読状態になっていて、いずれは読んでみようと思っていたところだったので、興味深く拝読しました。

傷のあるリンゴ
著:外山滋比古  東京書籍

41UBfUdthUL._SX230_.jpg  (Amazon)

常識の裏側を見抜く妙味あふれる最新エッセイ集
ヒマなほど忙しい
ひとりでは多すぎる
始めよければあとがこわい
親があっても子は育つ
不幸は好運のもと
親不孝の孝行
忘れるが勝ち ・・・・・等々
どこを読んでも味わい深い30編  (単行本帯より転載)

う~ん、かなりビミョーかもしれない・・・・・。  恐らく KiKi がまだ高校生ぐらいの年代だったら、それなりに楽しく、ついでにちょっと驚きの目を瞠ってこのエッセイ集を読んだかもしれません。  でも、大人になって、ついでに世間の荒波にもかなり揉まれて、その中でかなり多くの経験を積んできて、ついでに人生半ばにして自分の生き方を結構ドラスティックに変えてきた人間が読むと「ふ~ん」で終わってしまう内容かなぁ・・・・・と。

一番ビミョーだと感じたのは、KiKi 自身が受験生という年代からは遥かに遠ざかり、ついでに社会人1年生という時代からもかけ離れてしまった、「隔世の感」というフィルタがかかった目を持つ世代であるということがあるせいなのかもしれないけれど、要するにその世代に特有の「勝ち・負け(≒ 受験での失敗とか、大会社への就職とか・・・・・)」が必ずしも人生の「勝ち・負け」と一緒ではないという趣旨のエッセイ(これが結構多い! 笑)で、言いたいことはわからないじゃないんだけど要するに著者は人生の「勝ち・負け」にはかなり拘っているんだなぁと感じられちゃうあたり・・・・。  しかもたちが悪いのはその人生の「勝ち・負け」とはどういうことか?という定義をちゃんとしないままにこれを語っちゃっているので、言っていることに現実味というかリアル感が乏しくて、「要するに観念論よね・・・・」と感じられちゃって何となく「ハイハイ。」で終わっちゃう・・・・・(苦笑)


「ヒマなほど忙しい」と題されたエッセイなんかは、「仰っていることはごもっとも」と思わないわけじゃないんだけど、KiKi のように半端じゃないほど忙しい体験を20年近く実際にしてきた人間からすると、本当に忙しい生活を送っている人間っていうのはその真っ只中にいる最中には「忙しい」とか「暇があったら」な~んていうことを考えている時間さえなくて(≒ そんなことを考えている暇があったらこれをしなくちゃ とか あれをやっておかずにはいられない!とさえ思って動いている)、とにかく頭の中に溢れ出てくる To Do List をひたすらこなしていく(機械的にという意味ではありません)だけで、その To Do の中には当然のことながらサラリーマン生活において「仕事」と呼ばれるものとは別種の「仕事(≒ すべきこと、した方がいいと自分が認識していること)」も含まれているモンだと思うんですよ。  で、結果的に時間がたっぷりあるように思われる「休みの日」は読んで字の如く、「休養に専念する日」になっちゃうものだったと後になって振り返って思う・・・・・そういう類のことだと思うんですよね。

そして本当に忙しくしている人は多くの場合、それを「義務感にかられてやっている」わけではなく、「楽しんでやっている」ものだと思うんです。  義務感にかられてやっているケースではどうしても「やらされている感」があり、邪念も入るし(つまり「やりたくないことに時間を使っている → この時間があれば自分の好きなことができるのにと感じずにはいられない → そのやっていることの効率が必然的に落ちる → 結果的にやらされていることに思っている以上に時間をとられる → 自分の好きなことをする時間がなくなってしまう)、結果「忙しい」なんぞという言い訳を言い始める・・・・・   そういうモンなんじゃないでしょうか??

そんな中、1つだけ KiKi の心に深く残った一節がありました。  それは「多忙の効用」という題のエッセイの中の一節なんだけど、以下のような言葉があるんです。

超多忙なとき、忘却はフル回転して、ゴミのような情報、問題を片っ端から忘れていた。  それで本人たちは元気で健康でいられたのである。  それが引退すると、新しい情報はなにも入ってこないにもかかわらず、忘却力は同じようにせっせとゴミを出そうとする。  そのゴミがないから忘却は、空振りをくりかえすようになり、これではならじと、大事な記憶を切り捨てるようになってしまう。  それが続けば、認知症になり、アルツハイマーにもなるだろう。

これが医学的に正しいかどうかはさておき、KiKi の母親を見ているとこれは真実かもしれないと感じられるんですよね~。  KiKi の母親は元気だったころは好奇心が強くてあれもこれもと多くのことに手を出していたんだけど、ある時期から「そんなことをしても何の役にも立たない」な~んていうことを口走るようになり、元気だったころにはやっていたことを悉くやらないようになってしまったんですよ。  そしてそれから暫くして認知症を発症しました。

今にして思えば、それまでは「何の役にも立たないこと」に手を出し続けることによってインプットされていたそれこそ「何の役にも立たない情報」を忘却力とやらがせっせとかき出してくれていたものを「何の役にも立たない」とやめてしまったことにより、インプットされるものが全くなくなってしまった結果として別の記憶を掃き出しはじめちゃったということなのかもしれないなぁ・・・・・と。

アルツハイマーというやつは遺伝的な要因もかなり大きいみたいで、KiKi は祖母も母もこれに罹患したので恐らく自分もそうなるに違いないという確信みたいなものがあったりもするんだけど、それを自衛する1つの手段として仮に体力的にきついなぁと感じられるような年代に入ったとしても「何の役にも立たない」ことに変わらず手を出し続ける・・・・・ということを肝に銘じておきたいなぁと感じました。  もっとも、そう考えたことさえ忘れちゃうのがアルツハイマーのアルツハイマーたる所以なのかもしれないのですが・・・・・・ ^^;


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