指輪物語 4 2つの塔(下) J.R.R.トールキン

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昨晩、早く布団に入り過ぎたせいか、はたまた暑くて寝苦しかったのかは定かではないのですが、今朝2時半頃に目が覚めてしまいました。  のどが渇いていたので、冷蔵庫で冷やしてあった麦茶を飲んだのですが、その効果(?)もあってか、その後布団に入って目を瞑ってもどうしても寝付けません ^^;  仕方ないのでその後2時間ほど読書にいそしみ、それからようやく襲ってきた眠気のため就寝 Zzz。  結局今朝は朝寝坊してしまいました。  ま、てなわけで深夜に布団の中で読了しちゃったのはこちらです。

指輪物語 4 2つの塔(下)
著:J.R.R.トールキン  訳:瀬田貞二・田中明子  評論社

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フロドは、指輪所持者として冥府モルドールに向かわねばならない、という使命の過酷さに苦悩していた。  しかし、それにつけこみ、指輪を力づくで奪おうとしたボロミアの変貌を目の当たりにして、かえって自分の使命を受け入れる決意をする。  フロドは1人、姿を消した。  しかし、忠実なサムが懸命にフロドを探し出し、2人はモルドールへの道をたどる。
仲間のところから逃げ出して1週間、エミン・ムイルの山中から何とか脱出することができた2人のそばへ、忍び寄る黒い影。  それは、今なお指輪への渇望がやまないゴクリだった。  2人はゴクリを捕らえるが、フロドには、憐れみから、ゴクリを殺すことができない。  フロドの思いが伝わったためか、指輪への執着のためか、ゴクリは、モルドールへいたる道の案内にたつことになる。  さて、行く手には・・・・・・。  (単行本扉より転載)

さて、前の巻(二つの塔 上巻)ではまったくといって出て来なかったフロ・サム・コンビですが、その穴埋めでもするかのようにこの下巻は、全巻通してフロ・サムの行程が描かれます。  こちらは息をつかせないような戦いがあるわけでもなし、描写されている景色だって荒れ地がほとんどで殺伐としているし、ダムが決壊しているわけでもエントの大行進があるわけでもなく、見どころ(?)と言えるのはせいぜいが「死者の沼地」のおどろおどろしさと、ファラミアに連れて行かれる「ヘンネス・アンヌーン」の美しさぐらい・・・・(苦笑)  

読んでいてちょっとほのぼの~とできるのはサムの「ウサギシチュー」のくだりぐらい・・・・・ということで、ある意味とっても地味~なシーンが続きます。  でも、KiKi は今回の読書を始めるにあたってこの巻を読むのをものすご~く楽しみにしていたし、「積年の疑問を今回の読書でこそ、ちゃんと解決しなくちゃ!」意気込んで読み始めた物語でもありました。


KiKi の積年の疑問、それはね、「どうしてフロドはゴクリを案内人として連れ歩くことを決意したのか?」ということなんです。  と同時に、「どうしてゴクリは2人のホビットを案内している過程でサムが懸念していたように寝首をかいたり襲ったりという直接行動に訴えて指輪を手に入れようとしなかったのか?」ということでもあったりします。

もちろんゴクリは指輪に半端じゃなく執着しているわけで、そうであればこそここに至るもっと前、モリアあたりからフロド達の後をつけてきていたわけだけど、とうとうここでフロ・サム・コンビと否応なく対峙することになります。  で、その対峙のステップ1ではサムに押さえこまれそうになったところを反撃し、フロドに「つらぬき丸(スティング)」を突き付けられ、挙句、エルフのロープで縛りあげられ「痛い、痛い」と叫びます。

で、その直面している痛みから解放されたいが故に彼は

「わしら、このしとのしてほしいこと何でもしるって誓うよ。  そうよ。  そうよ。  スメアゴルはいとしいしとにかけて誓う。」

と言います。  で、それに対してフロドは

「いとしいひとにかけてだと?  よくもお前はそんなことがいえるな。  考えてみろ!  『1つの指輪は、すべてを統べ、くらやみのなかにつなぎとめる。』  スメアゴル、お前はこんなものに言質を与えるのか?  あれはお前を手離すまい。  しかしあれはお前よりも術策にたけている。  お前の言葉を曲げてしまうかも知れぬ。  気をつけるがいい!」

と言い、さらにスメアゴルは

「とてもとてもいいスメアゴルになることだよ。  スメアゴルは決して、決してあれをあいつに渡さぬことを誓う。  決して渡さないよう!  スメアゴルはあれを守る。  だがスメアゴルはいとしいしとにかけて誓うほかないよ。」

と言い、これを受けてフロドは

「だめだ!  あれにかけて誓ってはならない。  お前はそんなことをしたら気が狂うと知りながらも、できればあれを目で見、手で触りたくてたまらないのだ。  あれにかけて誓ってはいけない。  もしそうしたければ、あれの前で誓うがよい。  なぜなら、お前はそれがどこにあるか知ってるからだ。  そうだ、お前は知っている、スメアゴルよ。  それはお前の前にある。」

と言い、同じホビットのサムでさえ入り込む余地のないある種の連帯感(指輪保管者という経験を持つ者同士)で結ばれているフロドとゴクリは、「二人は互いに相手の心に届くことができ」て、スメアゴルから以下の言葉を引き出した後、フロドはサムに命じてゴクリを縛っていたロープをほどいてやり、尚且つ彼らの案内人としてゴクリを受け入れます。

「わしはいとしいしとの主人に仕える。  いい主人だよ、いいスメアゴルだよ、ゴクリ、ゴクリ!」

KiKi はね、正直なところこれまでの読書で何回ここを読んでも、そして映画を観ても、どうしてこういう展開になるのか(≒ ゴクリのような信用できそうもないヤツをフロドは案内人として受け入れ、ゴクリもその後、シェロブの棲家に彼らを連れて行ったとは言え、自ら手を下して実力行使で指輪を奪おうとしなかったのか)、ちゃんと理解できずにいたんですよね~。  まして映画の方の該当箇所のフロドのセリフの字幕は

「指輪には心を許せないが、お前は約束を守れ」

な~んていう何言っちゃってるんだかまったくわかんないモノだったし・・・・・ ^^;  で、今回の読書ではここを何度も何度も読み返してみました。  ついでに映画の方も英語字幕で観直してみました。  で、ここのフロドのセリフは英語字幕ではこうなっています。

The ring is treacherous. It will hold you to your word.

これ、ほぼ直訳してみると「指輪は術策にたけている。  (だから)指輪はお前をその誓いから離すことはないだろう。」というほどの意味だと思うんですよね。  それらを頭の中でまぜこぜまぜこぜしてみて、現段階で KiKi が出した結論は以下のような感じです。

フロドはホビット庄から指輪をず~っと持ち続けているので指輪が自分に、そしてスメアゴルにどんな風に影響するのかを身を以って知っています。  そうであるだけに、フロドは危険な指輪に執着し続けているスメアゴルを哀れだと思うし、その指輪にかけて誓うと言ったスメアゴルの言葉が、その時点ではスメアゴルの真実の気持ちであることがわかったんだと思うんですよ。

同時にフロドは、スメアゴルが実際には「善」の存在ではないことも、指輪に誓っちゃったら最後、その誓いに縛られてしまうこともわかっているし、結果としてスメアゴルが「指輪が欲しい」と渇望する気持ちを持ち続けつつ、「指輪をあいつに渡さないために努力せざるを得ない」し、「いとしいしとのいい主人」に仕えざるをえなくなることもわかっているんだと思うんですよね。  だから彼はスメアゴルを案内人として雇うことに決めたんだと思うんです。  だって、スメアゴルがどんな悪党だったとしてもフロドとサムの2人だけではモルドールに辿りつけそうにないから・・・・・。  彼の究極の目的は滅びの山だから・・・・・。

でも、もちろんその案内人が寝首をかいてくるようなヤツじゃあ、オチオチ旅なんてしてはいられません。  でも、スメアゴルは指輪にかけてあれやこれやと誓っちゃった。  その誓いからスメアゴルが解放されることはなくて、そうである以上彼はフロドに仕えざるをえないし、あいつに渡さない協力をせざるを得ない。  当然のことながらスメアゴルが2つの考え方に引き裂かれそうになることはフロドにはある意味でお見通しだったんだと思うんです。

もともと孤独な時間を長く過ごしてきたゴクリは多分に二重人格的な要素を持っていたけれど、ここで指輪に誓っちゃったおかげで、この後フロ・サムとの旅の過程でその二重人格度は右肩上がりでアップする(映画ではもっとすごい!!)し、挙句、自分では手を下せないからシェロブにお任せして漁夫の利を得ようと考えるに至る・・・・・そういうことだったんじゃないのかな?・・・・・と。

だからこそ黒門やシェロブに襲われる直前にフロドはこんなことを言っているのじゃないのかなぁ・・・・と。

@黒門

「スメアゴルよ、お前は危険な状態にあるんだぞ。  私が言っているのはこの3人が共有している危険のことではない。  お前1人にだけ関わる危険のことを言っているのだ。  お前はお前がいとしいしとと呼ぶものを証人として誓言した。  それを忘れるんじゃないぞ!  それはお前に約束を守らせるだろう。  けれどもそれはその誓言の意味をねじ曲げる方法を求め、お前自身を破滅に導くだろう。  もうすでにお前はねじ曲げられようとしている。  たった今、愚かにもお前は本心を洩らした。  『あれはスメアゴルに返しておくれ。』  お前はそう言った。  二度とこんなことを言ってはいけない!  こんな考えをお前の中に育ててはいけない。  あれはお前の手には決して戻ってはこない。  しかしあれを欲しいと望む気持ちがお前を裏切って苦い破滅をもたらすかもしれない。  あれはお前の手には決して戻ってはこない。  ・・・・・(この後の言葉は物語の最終シーンの伏線だと KiKi は思っています。)」

@シェロブに襲われる直前

「あの混乱した頭の中にたった一つだけはっきりした企てを持ってるとは思わないね。  あいつはわれらの敵からいとしいしとを守ろう、自分にできる限りの間は守ろうと本気でつとめてるところもあると思う。」

まあ、この KiKi の推測が正しいかどうかはもう2~3回、この巻を読み直してみないとわからないだろうし、可能なら原文にもあたってみないと結論は出せそうにないんだけど、今回の読書で考えたことの備忘録として今日のエントリーを書いてみました。      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年8月27日 10:37に書いたブログ記事です。

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