インド洋圏が、世界を動かす R.D.カプラン

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例の親戚の交通事故事件発生とほぼ同時に、献本(感謝! です)を受け取っていた本をようやく読了しました。  タイミングの悪さ(?)と本の厚さ、さらには内容に関する無知度が拍車をかけて読了するまでに結構な時間を費やしてしまいました。

インド洋圏が、世界を動かす
著:R.D.カプラン 訳:奥山真司・関根光弘  インターシフト

515ngIb0A1L._SX230_.jpg  (Amazon)

注目の巨大経済・文化圏は、どこへ向かうのか?  米政権ブレーンにして、「100人のグローバルな思索家」に選ばれた著者が徹底考察・未来戦略!  インド洋圏ならではのダイナミズムと全体像を、現地取材をとおして明らかにする。

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インド洋圏は、いま世界で最も成長しているエリアであり、巨大な経済・文化圏を形成している。  アフリカ東部から、アラビア半島、インドを経て、東南アジア、中国まで広がるこの海域は、遥か古代からモンスーンの風によって結ばれた大いなる交易圏だった。  (日本では海のシルクロードとして知られる)

インド・中国の台頭によって急速に変貌を遂げつつあるこの海域国家・都市群はどこへ向かおうとしているのか?

米政権のブレーンであり、国際ジャーナリストとして知られる著者は、インド洋圏各地を訪れ、タペストリーのように織りなされる複雑・多層なこの海域の文化・経済・政治・風土・歴史を読み解いていく。

米国の一極支配が弱まり、そのパワーをアジア太平洋(広域インド洋圏)にシフトさせた今日、インド洋圏の動向は多極化する世界の鍵を握っている。  本書は、たがいに深い影響で結ばれた「インド洋」という一大交易圏の全体像を捉えることによって、来るべき世界の指針と戦略を明らかにする。  (Amazonより転載)

なかなか読みごたえのある一冊でした。  本の厚さ & 重さもさることながら、やはり KiKi にとっては未知のエリアについて詳細に書かれていた本だったという意味からして、ゴロリと横になってさらさらっと読むには歯応えがありすぎで、同時に時に世界地図やらネット情報を参照しながらでないとなかなか読み進められない部分もアリで、久々に「知識を得るための読書をしたなぁ!!」と感じます。

800px-World_map_ocean_locator-en.svg.png

今、世界的に「7つの海」と呼ばれている海は「北大西洋」、「南大西洋」、「北太平洋」、「南太平洋」、「インド洋」、「北極海(北氷洋)」「南極海(南氷洋)」の7つ(上図参照)だけど、中世アラビアでは「大西洋」、「地中海」、「紅海」、「ペルシャ湾(アラビア湾)」、「アラビア海」、「ベンガル湾」、「南シナ海」を7つの海と呼び、中世ヨーロッパでは「大西洋」、「地中海」、「黒海」、「カスピ海」、「紅海」、「ペルシャ湾(アラビア湾)」、「インド洋」を7つの海と呼び、これがあの大航海時代になると「大西洋」、「地中海」、「カリブ海」、「メキシコ湾」、「太平洋」、「インド洋」、「北極海(北氷洋)」と変化していったと聞いたことがあります。

上記のいずれの「7つの海」定義にも今回読了したこの本がとりあげている「インド洋圏」はその全体か一部分のみかはさておき、ちゃんと含まれているにも関わらず、KiKi にとってはさほど親しい海域とは呼べずにここまで生きてきていることにまず少なからずショックを受けました。  地図上の日本からの距離感からすれば地中海やら大西洋なんかより遥かに近いのにも関わらず、現代日本が依存している様々な物資の通り道であるにも関わらず・・・・・です。  要するにこのエリアに興味を抱いたその度合いが大したことなかったんですよね~。      


最近(というよりもう何年も前から)、中国の世界戦略関係のニュースを読んだり聞いたりする際に、このインド洋圏地域への進出の話がひっきりなしに聞こえていたりもしたわけだけど、それでもさほどその戦略にもこの地域の文化にも積極的な興味を持ったことがあったとは言い難い KiKi。  今回この本を読んでみて「あれまあ、知らないうちにそんなことが?」と何度思ったことやら・・・・・・。  

今回、この本を読んでいる中でかなり勉強になったのは、地図の見方に関してです。  KiKi は世界地図をイメージする時、学生時代の地図帳の最初もしくは最後の頁にあったメルカトル図法のこの地図(↓)をイメージするわけだけど、この地図だとインド洋及びその周辺地域に自然と目がフォーカスされるという経験が全くと言っていいほどなかったような気がするんですよね~。

まして「海の繋がり」という観点であんまり物事を見て来なかったような気がするんですよね。  正直なところ今回この本を読むまで「スエズ運河」がどういう意味を持つインフラだったのか、KiKi はちゃんと理解できていなかったように思うんですよ。  もちろん知識として「スエズ運河は地中海と紅海(スエズ湾)を結ぶ、海面と水平な人工運河で、この開通によりヨーロッパとアジアはアフリカ大陸を回りこまずに海運でを連結することができるようになった。」とは知っていたんだけど、今回この本を読んでその意味する本当のところがしっかりと KiKi の中に落ちてきた・・・・・そんな感じです。

World_Map.gif

これが米国で使われる地図だと地図の真ん中に来るのは当然のことながらアメリカ大陸で、アメリカ大陸の左側には太平洋が、右側には大西洋がドド~ンときたらインド洋への関心があまり喚起できなかったとしても無理ないなぁ・・・・と。  で、ヨーロッパの国々の地図だったら今度は太平洋が分断された絵になる(つまり太平洋の大きさはこの絵よりも感じにくい)のだろうし、これに反してユーラシア大陸という大きな大陸の印象が強くなるだけに、早くから交易相手として意識されていたのもさもありなん・・・・・と。

そうやって考えてみると子供時代にどんな地図で地理を学んだのか?ということにこれまで KiKi は意識を向けたことがなかったんだけど、実はそれって想像以上に重要なことなのかもしれません。  今まで「地域地図」(「アジア」とか「南米アメリカ」とか「ヨーロッパ」とか「アフリカ大陸」とか)かこの構図(↑)の世界地図ばかり見てきた KiKi は「中心点をずらした世界地図」をイメージしたことが皆無と言ってもよかったように思うんだけど、その必要性を痛感した読書だったように思います。

又、この本の中で著者も何度か繰り返しているように、このエリアの特徴と言えば、政治・経済的には安定せずどことなく混沌としているイメージが強く、宗教という観点にたてば日本人にとってもっとも距離感を感じる(要するによくわからない)イスラム圏だったりもします。  生活文化的な部分でも「豚肉は食べない」とか「お酒は飲まない」とか、要するに何気に「仲良くできなさ感(個々人に対する好き嫌いとか人種に対する感慨とは別次元で、例えばこの文化圏の人と一緒に暮らしたら息が詰まっちゃうような気がする感覚)」まで漂う国々であるだけに、ある種の心理的壁みたいなものも醸成されちゃってきたように思うんですよね。

でも、今回この本を通読してみて感じたことの1つはこのエリアが混沌としている原因の1つは東西の文化交流(というよりは物流?)の交差点にある国々であり、それだけありとあらゆるものが通過していった(雑多なモノ、ヒトに晒され続けてきた)ゆえの「思想・活動の一本化の困難さ」みたいなものがあったのではないか?ということでした。  同時に赤道に近い気候風土ということで「じっくり物事を突き詰めて考えることの困難さ」みたいなものもあったのかもしれません。  少なくとも KiKi なんかは猛暑日が続くとあれこれ物事を考えるのは面倒くさくてたまらない・・・・・ ^^;


この本の中で KiKi がかなりガツンとやられた一文は以下の一文でした。

アメリカは民主制度を、法律や選挙のような基準から杓子定規にとらえすぎる傾向があるように思う。  中東のような国々における「民主制度」は、公式な手続きというよりも、統治者と被統治者のあいだの非公式な相談というかたちに近い。  アメリカ人は自国の恵まれた歴史という「善きなるものの一致」のおかげで、「善いもの」はすべて同じ源泉、つまり民主制度、経済発展、もしくは社会改革などから来るものだと信じている。

これって著者が米政権のブレーンだし、衰退傾向にあるとはいえ現段階ではまだ「パクス・アメリカーナ」の余韻が残っているだけに主語が「アメリカ」になっているわけだけど、その西欧先進文化(文明)を死に物狂いで吸収してきた我が「日本」もその考え方にある意味毒されている部分はあったりもするわけで、そうであればこそ「混沌 ≒ 未発達」というプロトタイプで物事を捉えすぎているきらいがあったのかもしれないなぁ・・・・と。

いずれにしろ、これまで KiKi がまったく気が付いていなかった多くのことに「気づき」をくれた貴重な1冊だったと思います。  「献本いただき感謝!」の1冊でした。


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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年8月 9日 11:21に書いたブログ記事です。

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