フランバーズ屋敷の人びと 4 & 5 K.M.ペイトン

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「フランバーズ屋敷の人びと」4部作を読了しました。  この「愛ふたたび」と題された第4部は先の3部完成後12年という時を隔てて、読者の要望に応える形で執筆されたものとのことです。

フランバーズ屋敷の人びと 4 愛ふたたび(上)
著:K.M.ペイトン 訳:掛川恭子  岩波少年文庫

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屋敷の主となったクリスチナは、使用人ディックと再婚した。  戦時下の困難にもかかわらず、家庭も、農場も、すべてうまくいくかにみえた。  しかし、瀕死の重傷を負ったマークが屋敷にもどり、感情のもつれが新生活をおびやかす。  (文庫本裏表紙より転載)

フランバーズ屋敷の人びと 5 愛ふたたび(下)
著:K.M.ペイトン 訳:掛川恭子  岩波少年文庫

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クリスチナとディックは、階級のちがいを愛でのりこえて結婚したはずだった。  しかし、考え方も感情もかみあわず、二人の関係はどうしようもなくこわれていく。  何を求め、誰を愛するのか、クリスチナは再び決断のときを迎える。  (文庫本裏表紙より転載)

第3部「めぐりくる夏」で感じた KiKi のある種の失望感はこの第4部を読むことにより確定的になりました。  う~ん、あの第1部で感じた期待値は何だったんだろう??  これは KiKi 自身が平和な時代に経済的に自立した生き方を長年してきてしまった故に感じざるをえない「時代遅れ感」のなせる技か、はたまた著者の描く人物たちの変貌のせいか??

できるだけ好意的に捉えようとは試みてみたんです。  日本人には理解しがたい「複雑怪奇 & 根深いイギリスの階級社会のしがらみ」が根底にある物語故だろうとか、はたまた第一次大戦という近代戦中・後の混乱期を生き抜く人々の物語故だろうとか、とか、とかね。  でもこの第3部、そして第4部を読了する過程で、KiKi にはクリスチナという人物が「その時々のクリスチナの気分・状況で都合のいい男の間をフラフラしているだけの女」に感じられ、どうにもこうにも共感することができませんでした。


何て言うか彼女の人生の中での選択って、とかくいきあたりばったりで、自分がふとイメージした「夢」というか「希望」だけに突き動かされた衝動的なものに過ぎなくて、ついでに言えば身勝手極まりないものだよなぁ・・・・と。  そもそもウィルが亡くなった後のクリスチナのやっていることって、KiKi の眼には親の遺産を背景にした偽善以上でも以下でもなくて、いかにもお嬢様、いかにも世間知らず、いかにも我儘放題としか感じられなくなってしまいました。

フランバーズ屋敷に帰ってきて「農業をやる!」と決めた割には、農作業にいそしむ姿は全くと言っていいほど描かれず(古き良き時代の貴族はそれで良かったと言えばそれまでだけど)、結局は昔なじみのディックに頼り(それでもディックが自身がその気になっているわけだからいいけれど)、挙句「農夫」としてのディックを見込んで「フランバーズ農場再建計画」に着手したにも関わらず、少し落ち着いてきたらディックには「農夫」ではなく「社交生活を楽しむ上流紳士」への変貌を要求するという時点で目がテンになってしまいました。

それが彼のような「労働者階級」出身でありながら「上流社会の令嬢を射止めた不埒もの」という空気が蔓延している閉鎖社会の中での要求であるだけに彼女の「享楽的」な性格ばかりを強調し、どうにもこうにも馴染めません。  そういう意味ではディックとの再婚を決めた際のグレイスおばさんのアドバイスはまさに的を射ていて、やはり年長者のアドバイスというのはどんなに耳に痛くても一聴の価値は必ずあるものだと思わされます。

ウィルとの結婚生活が仮に戦争がなかったとしても常に死と隣り合わせだったために刹那的な人物になってしまったとも読めないじゃないけれど、それならそれでもう少し描きようもあったんじゃないかなぁ・・・・。  それに、ウィルとの結婚時代に出会ったドロシーの扱いも途中から変わっちゃっているように思うんですよね。  最初のうちはドロシーに対してどちらかというと批判的だったクリスチナが、いつの間にかドロシーを大親友のように扱うのもちょっとねぇ・・・・。  

人生の中で出会う人がそんなに多くはないのはわかるけれど、そもそもフランバーズ屋敷の近所にマークとウィル以外に友人がいないかのごとくで、それも KiKi にはちょっと理解不能。  まあこれはラッセル家のお家柄故ということなのかしら??  いずれにしろ、男選びにしろ友達選びにしろ、生き方選びにしろ全てがいきあたりばったりで、彼女の中に核になるものが何一つ感じられず、結局巻が進むにつれ、「クリスチナとは絶対にお友達にはなりたくない感」が湧きあがってきてしまいました。 

物語では結局クリスチナはマークを選び、そんな彼女の選択を後押しするかのごとく、「夫に先立たれた妻が、夫の兄弟と結婚できるようにするための法律修正案」(そもそもそれが法律によって禁止されていたというのもビックリだったけれど、教会閥の決めた法律であることを知り納得。  修正案が出された背景は大戦により多くの男性が亡くなった 即ち 世の中未亡人だらけ)が可決しそうな~んていう話が唐突に出てきます。  これを読んだとき、天邪鬼の KiKi は「娯楽小説にいきなり社会小説の要素を持ち込んだ結果として支離滅裂なお話になっちゃったのか!!」と思っちゃったぐらい(苦笑)。

そもそも第1巻の時点で KiKi はクリスチナがマークにそんなに惹かれている印象は持たなかったんですよね~。  せいぜいが自分のものだと決めていたおもちゃを他の誰にも取られたくないという子供っぽい独占欲と大差ないような印象だったんですよ。  そうであるだけにマーク vs. ウィルではウィルを選んで結婚したところまでは彼女の行動にもそれなりの説得力があったと思うんです。  でもウィルの死後ディックを選んだのは「自分がイメージしている農園経営に都合がいい農夫がディックだったから」に過ぎないし、ディックとと破局した後マークを選ぶのは「農園経営は軌道に乗ったから、これからは社交三昧に明け暮れるのに都合がいい紳士はマークだったから」選んでいるようにしか見えません。

ま、てなわけで散々な Review になってしまいました。  でもね、この物語を読んでみてよかったこと(?)が1つだけあります。  それは現在積読状態になっている光文社古典新訳文庫の「高慢と偏見(上)(下)2巻」を再読してみたい意欲が俄然湧いてきてしまったということです。  光文社古典新訳文庫もこのブログでは独立カテゴリーを設けているシリーズであるだけに、そちらに手を伸ばす1つのきっかけが与えられたことには感謝♪です。      

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このページは、KiKi (Brunnhilde)が2012年9月21日 11:43に書いたブログ記事です。

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